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＠下北沢 ザ・スズナリ (1999/2/2-7 7ステージ) 全自由前売り3000当日3500
作・演出：宮本勝行 照明：倉本泰史(A.P.S) 音響：青木タクヘイ(Stage
Office)
舞台監督：高橋大輔（至福団） 舞台美術：埋橋真理
出演：
山口雅義 ：山ノ口（同僚の結婚２次会の余興決まらず。手品セットは買った）
村越保春 ：村ノ越（↑のねたを考えてあげる）
北沢紗菜 ：北ノ沢（メグ） （余興のロミジュリ練習。青木とラブラブ！？）
青木 豪 ：青木（ライアン）（↑に稽古をつける。某有名新劇劇団・養成所出身）
新井さとし：一休 （坊主頭の近所の中学生、↑にちゃちゃをいれる。）
山岸辰哉 ：三休 （↑とおなじ格好が可笑しい。↑と同）
加藤留美 ：ルリルリ（余興の唄を練習。そのためにキーボードを買った。）
蔵澤 満 ：蔵ノ澤 （↑。ともかく歌えるので張り切っている、作詞作曲も）
蒲田 哲 ：蒲ノ田 （花嫁が元恋人、未練たらたら。式をぶち壊すととち狂う）
宇奈月慎太：宮ノ本 （結婚式と2次会の幹事役になって大変。）
1999/2/7(日)晴れ 2:10-3:45(1'35) 最前列より 客席超満員(130人)
客層：20-30才代中心。老若男女とりどり。男女半々。
客入れ：定席数以上の詰めは行わず。最前列はゆったり座れるよう、後で調整あり
気が利いてて○。荷物預かりはなし。
宮本勝行、待望の1年ぶり公演。当初映画＋芝居企画がなんかあって中止。芝居1本
実質にんじんボーン公演に。お馴染みの役者にモデルの子、ＣＧデザイナーなど
とりどりの出演者を加えての今回限りユニット。
舞台。猫の額な小さい公園。前側に砂場、両側にベンチ、その間奥に小庭然と囲わ
れた木立。地面にペイントされたタイヤ、ウサギの乗物、くずかごとか。四方に綱
な囲い。きちんとつくられた装置で○。
お話。明日に迫った、会社元同僚の結婚式＠茨城。二次会の余興練習をなんか気合
いれてする人達。というのも、社長賞金５０万が掛かってるから。調子いいスね。
でも、首尾はぜんぜんだめですよというお話。会社真下の公園を舞台として。
(1)余興のねたが決まらず、公演に村ノ越を呼び出した山ノ口。相手のねたをばかに
しつつ、脅しすかし文句言いながらねたもらい。酷いよ、山ノ口。村ノ越、なんか
当然に怒って会社戻っちゃう。特訓すると山ノ口はどっかへ。仕事しなよ、山ノ口
(2)ロミジュリ寸劇の稽古する、ラブラブな北ノ沢と青木。芝居無知な北ノ沢に新劇
劇団出身という青木は見たような演技で勘違い指導。公園に居合わせたお揃いの坊
主頭な中学生・一休と三休はあほらしくてちょこちょこ質問してはからかい。無視
して二人の世界の青木も、自称演劇部の二人が「つるの恩返し」を始めると、キレ
ちゃう。卑怯な誹謗中傷の徹底攻撃。さすがにうなだれる中学生。稽古再会、あま
りの酷さに一休はたまらなくなったか、舞台に立つ役者が成すべきことを説く。が
、バカな二人にはちんぷんかんぷん。
(3)余興に唄、バンド演奏の練習しようと集まる3人・ルリルリ、蔵ノ澤、蒲ノ田。
問題は花嫁に捨てられた蒲ノ田。格好つけだけの彼にむかつく2人。投資したのに
歌いたいににと文句いい。自暴自棄な蒲ノ田は「卒業」みたいに略奪、留められる
と式をぶち壊すと暴走。そこに幹事・宮ノ本。花婿が逃げ出したと連絡があったこ
とを告げに来る。どうすると動揺する一同。投資が無駄になると自分勝手だったり
花嫁を気遣いつつバカな周囲を罵ったり、それを悔いたり。花嫁の心は自分のもの
と勝手に思いこんでる蒲ノ田はさらに暴走、中学生を理由無く打ち倒したり。もう
滅茶苦茶。
面白い。役者、みんな巧すぎ。観てて嬉しくなるねこ。出番がちと少なめなれど、
宮本、山口の丁々発止な余裕演技。蔵澤蒲田もきっちり。モデルな北沢さんもかわ
いくて笑えるバカ女好演。おまぬけな鬼畜役・青木はおいしい役所。中学生役2人の
うりふたつ坊主拵えが可笑しくて○。
宮本演劇論、またまた炸裂。1年溜まってたのが噴出？。スラップスティックな（マ
ンガみたいな）人物の笑えるやりとりのなかにクールな視点。既成演劇を内から、
さらに現実とのギャップまで含め、客観視。世界と私達を冴えた目で捉えてて◎。
１の余興稽古なエチュード。抽象的な指示、演出にとまどい、不審を抱く山ノ口が
ナンセンスな演技を自らしてしまうという皮肉。２は舞台つくり。役者が舞台で成
すこと。「名作」にぶら下がり、知ったかぶりで借り物な演技。実在の新劇劇団出
身という青木。そこらの中学生に本と現場主義の拮抗、リアリズムとはなにかを説
かれ、痛烈に批判される。宮本さんの新劇評は昔と変わらず、辛辣。今回は表現が
ストレートすぎるきらいあるけど。おばか芝居の中、突然放たれる鋭さは印象的。
しかも、この中学生、実は演劇部でもなんでもないという足下をすくう必然の崩壊
と、皮肉のおまけつき。
３は不条理な今の世界。寝取られた蒲ノ田の不安と怒りの前に理屈なし。花嫁の強
奪、もしくは式の破壊だけ。暴走した蒲ノ田に２の中学生は暴行され、地面に突っ
伏す。そんな彼らをみて村ノ越は口封じと１万円を顔に乗せ。あろうことか、起き
あがれないとみると、今度は回収して助けもしない。ひどすぎなラスト。正体不明
な、一番演劇的なキャラである中学生が、リアルそのものな暴力になすすべもない
という。まあ意味深なこと。
女子供への誹謗、差別の言葉、理不尽な行状はやさしさの逆説。酷い世界をくっき
りと描きながら、どうしようなくバカで哀しくて面白い人を認め、観る目は暖かい。
今回は批判と皮肉が勝って、この辺の味わいが薄く感じられたねこ。残念といえば
残念。
7月、今回出演の新井さんＰ公演を宮本さんが演出するとのこと。ちょっと期待した
いねこ。