＠渋谷 青山円形劇場（2003/11/7-30 30ステージ）11/17休演
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全指定 前売り当日とも6500円
作：テネシー・ウィリアムズ 演出：鈴木勝秀 翻訳：小田島雄志
照明：倉本泰史 音響：井上正弘 衣装：原まさみ 美術：石井みほ
演出助手：長町たず子 舞台監督：安田美知子
コーディネーター：マーチン・ネイラー 宣伝美術：鳥居和昌 宣伝：吉田由紀子
制作：小池義圓ほか プロデューサー：池田道彦
主催：テレビ朝日 企画製作：アトリエ・ダンカン
前回（ねこ未見）今回 2001/9/7-24 2003/11/7-30 17ステージ 30ステージ 青山円形劇場 ← 上演3時間弱 2時間45分 （休15分含） (休10分含) 5500円 6500円 演出：鈴木勝秀 ← 美術：鈴木勝秀 石井みほ 出演： ブランチ・デュボア ：篠井英介 ← スタンリー・コワルスキー：加勢大周 古田新太[劇団☆新感線] ステラ・コワルスキー ：久世星佳 ← ハロルド・ミッチェル ：田中哲司 ← ユーニス・ハベル ：伊東由美子 花山佳子 スティーブ・ハベル ：石橋 祐 ← パブロ・ゴンザレス ：宇治川理斉 山崎康一 集金人の若者 ：吉守京太 ← 物売りの男 ：永島 克 ← 見知らぬ男／医師 ：鈴木慶一 ←
2003/11/15(土)小雨 7:03-9:54PM(72/休11/83) 上段脇より 客席満員(350人)
客層：女性9割、20才代後半なお姉さん中心。おじさんちらほら。
客入れ：当日券あるも詳細不明、最後尾の席列かしらん。鍵穴状のステージ周囲に
円形客席。上段部脇席は役者超至近でおいしいところ。今回は客だしアナウンスも
カーテンコール止まらず(5分ほど）。折り込みパンフなし。物販。パンフ(A4短辺の
正方形 13ページ 800円） あいさつ、役者紹介、「セリフにしか登城しない人
たち」についてコメント、スタッフ掲載。ポスター 1000円。16,17ソワレのリーディング
?特別講演のチケット販売。
女形・篠井嬢ブランチ、早くも再演。
舞台。円形のセンターを一段あがった扇形舞台に連ねた、前方後円墳。床は淡いメー
プル色。壁はなく、汚れがこびり着いたガラス天井が頭上に吊られ。終盤に下がって
低い天井と化し、閉息感を醸し。円形部からの2方向通路は上と下の階段設定。
調度類は米国仕様・浜辺のバンガロー趣。円形部中央に丸テーブルとビニールクッシ
ョンの丸椅子。ペール缶の上に電話、雑多なものが舞台縁に並べられ。扇状部はバラ
ックベットが置かれたブランチの寝室。
お話。米国南部、没落農家のオールドミスが、妹の粗野な夫に辱められ、精神に異常
をきたしてしまう。
シンプルな舞台、異色ながら的を射た配役と演出、がっつり充実の役者芝居。演劇を
観る快感に溢れた上出来の再演。全体にコントラストがくっきりとして、鮮度高し。
ありがちな、スモーキーで気怠い、イメージ先行の従来とは異なり。シャープな照明
、男気なロック音楽、ブランチ耳を聾する轟音効果など、ハードボイルド兄貴な
スズカツ演出らしいところ。
意外な配役は、逆にふむふむと得心させられ。彼らのがちんこ勝負の会話強度は強く
胸を打たれ。ブランチは女形、装う貴婦人な彼女を体現。「裸」になる終盤の哀れさ
をくっきり。スタンレーは野生の豚、怒ると止めらんねえ、けど、実は知性と誠意が
潜心。荒ぶれた中も、ステラへの語らずとも感じさせる愛情しみじみ。実は可愛い男
ぶり。そのステラは飾らずの自然体で、主人公三人のかすがいとなり。ほか、優しい
男・ハロルドは、恋いやぶれてもあくまで優しく、哀れ。しみじみ滋味を感じさせて○。
モノトーンの衣装とくすんだポップ配色の装置。すっきりと姉妹を浮き立たせ。ブラ
ンチの黒、ステラの白は、ブランチ陵辱後ともに反転。野郎どものラフな服も同様。
ステラや周囲→ブランチに視点が移ったことが伺え。前半の皆さんに生かされてきた
の台詞と、終盤の孤独な狂気の態が理解できるなるほろ。フランス語でナレーション
し、舞台の黒子となる原作にない男もまた。ブランチの(お客ともに）異邦人である
ことを浮きだたせ。と、あれこれふーむねこ。決定版らしいけど、是非とも月満ちて
いつかの再演を希望ねこ。
役者。久世・ステラ。すっぴんの態、真摯な直球芝居。悲しみと優しさがよく伝わる
演技で舞台の要となり。ブランチとの別離にこぼれる泪には、もらい泣きねこ。
古田・スタンレー。前述の通り。マントを羽織れば、プロレスラーにも見える新たな
スタンレー象を創り上げ。既存のハンサム男優がしてきたイメージを刷新する好演。
篠井・ブランチ。これも前述。朗らかになるほどに切なくて素敵。