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 犬と串 case.9「さわやかファシズム」

 @王子 王子小劇場(2012/10/3-14 16ステージ)
 http://www.en-geki.com/
 全自由 前売2500円 当日2800円 学生2200円 高校生以下1000円
 早期割(前売・当日共)2300円 学生2000円 友情カード割 100円引

 作・演出:モラル 照明:伊藤孝(ART CORE) 音響:志水れいこ
 舞台美術:満間昂平 舞台監督:鈴木拓、遠藤晃弥 衣装:小原敏博
 小道具:辻本直樹(Nichecraft) 映像:守屋雄介 演出助手:陣内ユウコ、
 染谷彩花、成瀬光憂 宣伝美術:藤尾姦太郎 制作:横井佑輔
 出演:
 佐藤拓之[双数姉妹] :業田猛死(たけし ワンマン実業家)
 竹田有希子[ぬいぐるみハンター] :業田松子(しょうこ 長女 魔法少女)
 藤尾姦太郎:業田竹晴(ちくはる 長女 平凡)
 一色洋平 :業田梅男(ばいお 次男 野心に溢れた天才幼稚園児)

 萩原達郎 :オロチ(業田猛死に復讐を誓う)
 鈴木アメリ:デッパ(魔法少女 立法志向)
 岸晃太朗 :マゴコロ(漫才師 ハートウォームなねた志向)
 竜史[20歳の国]:リュウシ(幼稚園児 極貧)

 満間昂平:服部(オロチ同級 善人)
 石黒淳士[ぬいぐるみハンター]:翼(オロチ同級 スポーツ青年)
 澤田海:ケビン(服部と同じ部活 昔の遊びをするサークル)
 堀雄貴:めるる(デッパ 飼い犬)
 後藤慧[劇団コーヒーカップオーケストラ]:1号(竹晴と過激漫才コンビ)
 帯金ゆかり:ちか先生(梅男の奴隷)

 2012/10/13(土)秋空 2:07-4:17PM(2'10)中段中央 客席ほぼ満席(70人)
 客層:学生も多い20代客席、ときどきおじさん。男性過半数かな。
 客入れ:整理券なし、先着順。開場まぎわに30人ほど。ベンチ1ひな壇に椅子5列の
 通常。折り込みチラシ A5 3ページ。挨拶、配役、スタッフ、別紙で予定。
 次回公演。10月にLIN'X東京版。4月に本公演。物販。台本1000円。公演DVDほか。
 カーテンコール1回。

 早大劇研アトリエ卒業後、初の本公演。口コミ効果が出やすい2週間ロングラン。
 舞台。ナチスの赤旗、ハーゲンクロイツならぬ犬マークが壁際。中央に電飾
 犬マーク。調度は無し。

 お話。牛に長渕某を聞かせて精力アップ、生産性を高め、畜産を足がかりに財を
 築いた男・業田猛死。山を崩しゴルフ場建設事業に取りかかろうとする彼と、その
 個性派の子供達に立ちはだかる男・オロチ。不遇の人生への憤りを彼への憎しみに
 変え、全てを許すとの宗教めく市民活動を起こし。猛死へ良心のかしゃくを仕向け
 洗脳、つぎなる魔の手を子供達に向けるのだった。勝ち組な彼らの運命やいかに。

 過激な風刺の毒気ありも、苦みをはじける笑いと若さで払拭して賑わうエンタメと
 し。大衆に迎合する、付和雷同の気持ちの悪い今の日本を過剰にしたような展開。
 敵対の構図はやがて、感動も意見も気持ちいい全員一致しか許さないという、
 爽やかな全体主義へと変化。致死性のアレルギーをもった者へ食べることを強要
 (でも平気というナンセンス)。業田もオロチも、野望も恩讐も祭りの中で溶け込んで
 しまう(というブラックジョーク)。もやもやしてる客も、ハッピーエンドと勘違い
 してる客も一緒くたに、総立ちでリノリウム振るラスト。ねこもしぶしぶ、でも
 振っちゃいましたよ、踏み絵かよこの舞台。してやられて小憎らしいねこ。

 めくるめくハイテンション/脱力芝居の嵐。脱ぐは下ネタ上等だわ、たとえ引いても
 醒めてもやりたい放題、むしろ爽やか。業田が劣勢になる中盤からちょっとぐだぐだ
 シーソーゲームにしてもらった方がより楽しめ。無駄に逞しい身体をもつ、長男役・
 藤尾さん。切れまくる、血管既に切れてるかもな次男役・一色さん。長渕が似合う男
 ムーディ・佐藤さん。滑舌を封じられた役でちょっと可哀想、アメリさん。血走り
 芝居はやはりこの人、帯金さん。がとくに印象。

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