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 ファーザーズ・プロデュース「悪霊 下女の恋」

 @新宿・シアタートップス(1997/8/19-28 15ステージ)
 前売り椅子指定3500ベンチ3300(当日3800)
 作・演出:松尾スズキ[大人計画]
 出演:広岡由里子、池田成志、池津祥子、松尾スズキ

 1997/8/24(日)晴れ 2:00ー4:00PM 中段から 客席超満員(160人)
 客層:20〜30才代中心。女性過半数。 客入れ:当日券は開演1時間前から。早速
 に完売の模様。ベンチシートはちと狭そう。でもかぶりつきでいいなあ。下手上
 の字幕が見えにくいかな。

 快調、松尾スズキ。岸田戯曲賞受賞後の実質第一作。脚本、ほしかったっス。
 舞台。夏のお庭。上手、よしず張りに木の縁側な小さな家。一部見える内装が緋
 色なのが異様。下手にかけて庭。白いテーブルと椅子、鉢植えの植物を積んだ棚。
 と竹?の壁が天まで。奥に木戸と、風見鶏を冠した鋭い屋根の一部。空には雲が
 たなびいてたりする。

 お話。夫をどうにかしちゃって!?、遺産相続な母(広岡)。漫才師な子(松尾)
 を溺愛、超独りよがりに。子はなんとかしようと女(池津)を愛して人生リセットと
 もがくも、事故ったり不具したりで、ますますアリ地獄。実は妾腹・弟な相方
(池田)と妻の不倫ラブも、素知らぬ振りで苦悶。逃避は「井上」のためになにか
すること、嫌われ者だったやつ、いまや子の支配者な。折しも、母親は事故死。
 これで開放と思いきや、母親が生前手配、母とそっくりな家政婦(広岡)が
 やってくる。どうして、生き写し?。家政婦は妾腹・弟に一目惚れ、命かけて。
 妾腹・弟が兄を亡き者にすればと、弟をそそのかす。そのころ、不倫な2人には
 子供が。まずいッスと妻は子・夫の高ぶりに乗じてSEX。同じくして、催淫剤
 を弾みで飲んだ妾腹・弟は、家政婦をレイプ。月日たち、2人とも臨月。子・兄
 はあの日、妻を張り型攻め、だのに子供ができてるなんて、ははは〜んさ。
 兄の疑惑を聞いた弟、死を覚悟。ピンチに家政婦、子・兄を撃つけど果たせず。
 妻の子はなにやらダメで、産婆でもある家政婦の手で殺され。母の愛と父の
 憎しみは因果応報、どん詰まり。泥沼万歳天国、ははは〜んさ。
  
 面白い。他の芝居霞んじゃう毒気一杯、シニカルなスラップスティック。夫への
 憎悪故の、子かわいがりか。異常な母の支配愛を軸に、これでもかとある不幸の
 てんこもり。エゴと偽善の良心地獄が、息つく暇もなく展開なわくわく◎。あんまり
 にも非日常な「超悲劇」と、エキセントリックで不自然なギャグ会話のせいか、
 感情移入なしの表層感触。おかげで、ブラックなドロドロ世界もさっぱりと
 見られる感じ。残暑だし、これは○。字幕が哲学してる、宇宙的視野。舞台の
 不合理と相反するよで、いい味わい。前半のなんかギャグとしても○。

 役者。さすがみな、この作品に応えてる。広岡さん。正体しれない唯我独尊母。
 もちまえのキャラとあって◎。ミュージカルシーンは大笑い。池津さん。流されて
 酷いことになっていく様がいい。池田さん。アクはこの中じゃ薄いけど、それも
 キャラに合ってる感じ。松尾さん。変な動きが結構あって楽しめたねこ。「井上」
 の歌を始め、2人のやり取りはいちいちおかしかったねこ。


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