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 劇団ひまわり/電通 「少年H」

 @初台 新国立劇場 中劇場 (1999/8/4-16 19ステージ)
 前売当日共 S-8000 A-6000(B-4000劇団のみ)

 原作・美術:妹尾河童 脚本:マキノノゾミ[M.O.P] 演出:栗山民也
 照明:勝柴次朗 音響:山本浩一 音楽:甲斐正人 衣装:宮本宣子 
 方言指導:大原穣子 プロデューサー:元木たけし 舞台監督:今野忠明
 製作:劇団ひまわり/電通 企画:砂岡事務所
 出演:下記

 1999/8/16(月)晴 12:05-3:05PM(75/休20/85) 1F後方から 客席8割(800?)
 客層:幼児、小学生〜初老のご夫婦まで家族連れ多数。
 客入れ:当日券。S席のみ後方一列とぱらぱら、30-40席ほど。最後尾3,4列は
 がらがら。パンフ(1500)。美術プラン記事がないのが残念。ほかTシャツ、マグ
 カップやらグッズ多数。

 ねこ未読の大ベストセラー('97-)、舞台化。美術は原作の河童氏自身で。
 舞台。転換装置に美しい背景。客席2列潰し、石階段な張りだし舞台。上手下手に
 駅舎、民家ら木造建物のミニチュア。主人公の家とご近所を回り舞台で連ねて、
 ぐるぐると転換、人が往来。前後のせりも巧みに使用。星空のアナゴ釣り場面。
 蒼茫の元、後方奥に暖色団らんな家、手前に少年達を配置。回想するHからの
 時間な距離感を巧く出したり。自殺を試みる鉄道場面。パースした線路の無限遠から
 強烈な灯りを照らし、不安と恐怖を醸したり。外洋に少年達が冒険に行く場面。
 一転の青空に海原を展開したり(ちと歌舞伎っぽい船装置)。青空な背景は文字
 通り晴れやかに、時に哀しくあって印象的。特にラスト、鉄道場面から一転の空は
 すっと彼方まで美しくあって◎。Hの未来なメタファーも思われて、感動ねこ。

 お話。好奇心一杯の少年H。自由にある彼と家族の日常はしだい、戦下のもと居心
 地が悪くなってゆく。親しいいとおしいもの達の消失。召集令状1枚で死地に向う
 おじさん、徴兵拒否し逃亡の末自殺した映写技師、思想犯の疑いで逮捕された隣の
 兄ちゃん、疎開で離別させられた妹、空襲で死んだ隣家の赤ん坊。戦争が悪いのに
 誰もそうとは言えない、戦争が終わっても誰がと、ましてや自分が悪いなんて言わない。
 その不条理さへの疑問に応えはなく、Hはしだい行詰まっていって・・。
 前半では小学生時代の自分を中学生のHが回想。そんな2人な少年の視点で、戦争
 があったあのころを描いていく。

 前半、装置を活かしたテンポいい転換芝居。モブな人物の動きも楽しい。後半しだ
 い会話劇。戦争の原体験はなくとも、家庭と日常生活の出来事から描く物語は近し
 い人が亡くなる痛みをリアルに感じさせる。どこか懐かしげな美術もあって感情移
 入ねこ。終盤近くの家庭内劇はじっくりとみせ、手応えあり。けど、それまで動き
 ある場面が続くので、ちと睡魔憶えた(のは睡眠不足が悪いかも)ねこ。

 役者。小学生時代H役。やんちゃで面白い。けど台詞がよく聞き取れない。子ども
 だからって訳でもなさそうで残念。中学時代H役。一転、よく声が通る。キャラも
 違ってクール。Hに何があったの?って位違うのに、うーん。親切な羽田野のおじ
 さん役(仲本工事)。ホンと暖かい人柄が滲み出てて、ほっとするねこ。他適材適所。
 人数が多いせいか、個々の出番が少ないのが残念。 

 出演:
 長瀬寛海 :少年H(小学生)       岡本士輝 :少年H(中学生)
 平田満  :妹尾盛夫(父)        キムラ緑子[M.O.P]:妹尾敏子(母)
 高畑充希 :妹尾好子(妹・幼児)     伊東由起子:妹尾好子(妹・小学生)
 高橋和也 :鈴木康夫の父/林五和夫   手塚とおる:オトコ姉ちゃん/小倉
 伊崎充則 :うどん屋の兄チャン/炭山  浅野和之 :在郷軍人/横田
 仲本工事 :羽田野のおじさん      剣幸   :造船技師の奥さん
 小林勝也 :氷屋/田森教官       梅沢昌代[MODE]:うどん屋のオバチャン
 小野賢章、北村優、岡田茂宏、半沢昇、高村剛史 :友達(小学生)
 福島靖夫 :校長先生/町の人      長嶋弘和 :町会長/町の人
 大阿久隆雄:昆布上場のオヤジ/町の人  吉崎敏夫 :中年の男/町の人
 真田登久子:大橋りつ(切符切りのオバチャン)/町の人
 川村寧麿 :うどん屋主人        久保田博之:金田/町の人
 鈴村近雄 :青年(耕平の友人)/町の人 川上典子 :大川のオバサン/町の人
 石川美奈子:オバサン/町の人
 高橋浩平、近藤大介:長田署の刑事/町の人
 横山 敬 :長田署の刑事/紙芝居屋のオヤジ
 小野篤志 :長田署の刑事/悪がき
 石丸昌代、関口雅子、竹橋道子、奥井奈緒子:オバサン/伝導隊の婦人
 森河圭太 :杉田/町の人        中村絃子 :オバサン/町の人
 樫 律子 :吉本のオバサン/町の人    
 北材 優 :小田勇太          小野賢孝 :イッチャン
 高村剛史 :林五和夫(小学生)     半沢 昇 :鈴木康男
 岡田茂宏 :フジオ
 
 小野正詩、山下真矢、北野慶太、下山彩鳥那、高横沙耶、杉山裕哉、塚田玲奈、
 長橋良枝、宮崎彩加:子どもたち/悪がきたち/隣家の子どもたち

 

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