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＠大阪 扇町ミュージアムスクエア(2001/3/2-4 5ステージ)
全自由 前売3,000円 当日3,300円
原作・出演：若浦宗八 作・演出：蟷螂 襲[PM/飛ぶ教室]＝＊
舞台監督：宮田重雄 照明：呉光雨 音響効果：Alain Nouveau
宣伝美術：monqee 制作：西尾友里
出演：
内田淳子 ：ヨシコ（ガクの相棒な女性）
若浦宗八 ：ガク （チャズの願いを聞き、旅する男）
田中亜紗子＊：トト （逝ってしまった若い女性。フリソデの娘）、アン
や乃えいじ＊：男 （ガクのオヤジ）
福井玲子 ＊：フリソデ（ヨシコの同級生）
蟷螂 襲 ＊：タカシ （フリソデの夫。ガク、ヨシコの友人）、チャズの声
山藤貴子 ＊：サラ （チャズが恋した女性を世話する女性）
ゲスト
大上留利子
白百合少女合唱団（荒木千枝子、石丸まる子、かたやまみき、スージー
Cho-Cho、吉べぇ、モモちゃん）
2001/3/4（日)晴 6:05-7:55PM(1'50) 中段より 客席満員(120人）
客層：ライブハウス？な小劇場とは違う音楽好き客、３割。年齢層やや高し。
客入れ：全椅子席。ＯＭＳの長手方向を目一杯使って、見切れあるかも客席。
ゆったり埋まり、開演時には満席。折り込みパンフ。長い蟷螂 襲さんの作品と
ゲストの出会いに関わる思いの丈掲載。物販なし。
PM/飛ぶ教室のチラシデザインを手がけている、俳優・若浦宗八さん原作公演。
若浦さんは小説も書くらしく、過去２作品を合わせたという今回。
舞台。通常客席側まで、ＯＭＳの長手一杯使用。淡い水色床壁、上手にさげられた
窓枠、中央木製ベンチ、下手に段付き高台。上手客席側まで張り出しステージ、
幕越しにコーラス隊のシルエットをみせたり。
お話。どうしてか、ガクにだけその声は聞こえた。チャズというその男。外国人、
ジャズマン？。それって、たぶん、とガクの友達ヨシコ。チャールズ・ミンガス、
２０年以上前に死んだジャズベーシスト。アメリカに働きにわたっていた、ガクの
オヤジの友人だったという。疎遠にしてる老いたオヤジ、アメリカでの若く元気な
姿に、たまらない想いのガク。チャズのお願い。君たちの古い友達に会わせてあげ
る、だから自分の頼みを聞いてくれないか。若い頃、ピアノを教えてくれたアンに
会ってほしいという。
ニューヨークから一瞬でそこはイタリア・トスカーナ。二人が再会したのは学生
時代の同級生、いまは夫婦。若い頃ヨシコを巡って恋のライバルでもあった男
二人。恥ずかしい、けど懐かしい思い出。画家という夫君が描く少女トトの絵は
、しかし白いキャンバスにしかみえない。ヨシコが見えるという、一輪の花を
除いては。絵はラブレター、いまは届かない想いをのせたと、夫の告白。トトは
もう逝ってしまった二人の娘、絵は墓標。そして、夫婦二人は娘の後を追い、
そこにいるけどいない故人になってしまっていると。天から花が舞い、イタリアの
高くある青空の元、哀しみが静かに降り積もっていく。
ガクのオヤジがまもなく逝ってしまう、とチャズ。ガクと一方通行の再会。場所は
また変わり、アンのもと、スコットランドのアイラという小さな島。アンの世話を
している女性サラ。アンの近況、嵐が来た後春がくるというスコットランドのこと
アンがいま逝ってしまったとわかった、チャズの慟哭。生前のアンの哀しみのこと
を語るサラ。それはアンの姪のこと。傷ましい遭難事故から一人だけ生還した後、
理由はわからないが自分のピアノやらを置いていた納屋を焼いてしまった。焼け跡
がまるで彼女が受けた癒えない傷のように思えると嘆いていたと。ヨシコは提案。
焼け跡に花を植えましょう、哀しみを癒すためにきれいな花を。
重なり合う人の哀しみ。流す泪は心傷を癒していく。等身大の人情芝居の蟷螂襲
らしくて、らしくないのが魅力。珍しく時空や生死を越えた展開。天井からは思
いの丈とばかりに、手紙や花が降る。芝居の転換には、逝ってしまった少女トト
が受難にある人の苦しみと慰めを綴る聖書を朗読。そしてきれいな高音の大上
留利子さんのリードヴォーカルと清涼なコーラスでのゴスペルナンバー。登場
人物はいつものようにみな親しみに明るくて自然体。会話に微笑み絶えず、
だから、運命が哀しくて泣かされるねこ。でも、なぜかすっと清められたように
感じられて不思議。哀しみは哀しみを癒すのね。
逝った者も残された者も「生きている」舞台。悔恨、哀しみ、愛おしさの思い強く
あるほどに。それを語り合うことで癒されていく人たち。心共にして、自らも泪を
止めることをしない蟷螂襲の視点は変わらず優しい。と書いてて、また泣けてくる
ねこ。実在の夭逝ジャズマンの名前多数登場。ちょっと音楽に彼らプレイを絡ませ
てくれたらとも、おもったねこ。
役者。観劇動機その２な、内田淳子さん。明るく活き活きとして、すべて受け入
れるヨシコ役。菩薩な笑顔に心とろけ、慰められる思いねこ。
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