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＠新宿・タイニイアリス (1998/9/2-6 7ステージ)
全自由前売り3200当日3500 (9/3M 2700）
プロデュース：佐藤和代 作：平田俊子 演出：鶴田俊哉 宣伝美術：高野文子+
遠井明巳 出演：佐藤和代、久保酎吉、大崎由利子、瀬川哲也
1998/9/5(土)曇り 7:05-8:05PM 前方より 客席満員(80人)
客層：平均30才代後半？。年齢層高めの老若男女。
客入れ：開演15分前入場、待たされなくて○。整理券を早めにとったのに入場を待
たされて、と怒るおばさんあり。まあそれもそうだけど、怒ることないんじゃ。
不思議な雰囲気をもってたガム兄さんに続く、詩人・平田俊子さんのホン。転形劇
場の佐藤和代Ｐ。文学座の鶴田俊哉演出、小劇場のベテラン役者で上演。
舞台。下手、アルミサッシ引き戸から庭を望む居間。中央、先細り三本足の頭でっ
かちの不安定そうなテーブル、と椅子。下手、電話ラック、上手奧、小さなカウン
ターと上方に換気扇。壁は斜めった格子に覆われ。
お話。都心からすこし離れた住宅街。嵐が近づいている、日曜の午後。景一（久保
）の会社同僚２人が結婚の相談で来るという。そのことはなんでもないかのように
年上の妻信子（佐藤）は死と生にまつわることを愉快そうにおしゃべり。調子合わ
せていた夫も、飼い猫の死に激しく憤る妻には当惑。と、景一の会社同僚・オール
ドミス遠山（大橋）が突然やってくる。あけすけに自分はもう待ちすぎた、奥さん
と別れて結婚してくれと景一に迫る、遠山。それほどに身の覚えのない景一は！？
包丁を持ち出し脅迫する遠山をよそに、夫婦はなぜかのどか話し、妻はあからさま
に遠山に嫌がらせ。それも飽きたのか、妻は飼い猫を根本に埋めた木でできたとい
う、３本足テーブルを愛撫、ブラシをかけはじめる。卵から雛が孵るように飼い猫
もいずれ生まれ出てくるという。泥沼展開と女２人を理解できずに出て行く夫。残
された妻はテーブルに抱きつき、遠山はただ待つばかり。夫も家もどうでもよいと
家出をほのめかして、妻は奧に引っ込み。その間隣家アパートからパンツを風に飛
ばしたという、初老の男（瀬川）がやってきたり、で遠山は妻を装い応対。わざと
飛ばしているらしい、その男も帰り、残された２人はただ居残って・・。
呑気な笑いと悪意ある、大胆で繊細なお芝居。些末を切り捨て、役者演技と演出で
補完、１時間におさめたの○。情念の強さを伺わせる台詞にどきどきねこ。呑気な
口調で狂っている妻のが特にそう。瀕死のけが人を乗せてる救急車のサイレンは呑
気で愉快。男のかわりはいるけど、猫の替わりはなかなかいない、とか。
死なせた猫の再生を願う妻、腐ったうずらの卵を持ち歩く押し掛け女。叶わないと
知りながら、なにをか願わざるを得ない２人。荒天にも穏やかな家中のどん詰まり
から炙り出される孤独。換気扇のばたつき、３本足テーブルのぐらつき、など生理
的演出と相まって、女達の危うさを巧みに描いてて○。
役者。微妙な芝居を支える演技。目配せ、間合い、とくに表立たない嫌悪感にベテ
ランのうまさ。佐藤さんの内実の狂気の様が◎。