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 急な坂スタジオ きたまり×白神ももこ×筒井潤「腹は膝までたれさがる」

 @横浜 のげシャーレ(2015/1/16-18 3ステージ)
 http://nigiwaiza.yafjp.org/
 全自由 一般 2500円 学生2000円 シニア(60歳以上)1000円
 当日 一般3000円 学生2500円
  @京都 京都芸術センター 講堂 12/12-13 3ステージ

 演出:筒井潤[dracom] 振付・出演:きたまり[KIKIKIKIKIKI]、
 白神ももこ[モモンガ・コンプレックス] 舞台監督:浜村修司 照明:藤原康弘
 音響:荒木優光 衣裳:臼井梨恵(モモンガ・コンプレックス)宣伝美術:斉藤高志
 共催:横浜市文化観光局、京都芸術センター 主催・制作:急な坂スタジオ

 2015/1/16(金)曇 7:31ー8:45PM(1'44)中央後方 客席9割(30人)
 客層:20代後半中心に学生〜中年層まで。女性過半数。
 客入れ:開場時10人弱。パイプ椅子1、劇場ベンチ2、3列。前から埋まり。
 折り込みチラシ厚め。パンフ A5 3ページ。物販なし。カーテンコール1回。

 果敢なダンサー二人の挑戦企画。演出はdracom筒井潤。テーマは老い、モチーフは
 フランスの実存主義者シモーヌ・ド・ボーヴォワールの著作「老い」からの言葉
 とか。
 舞台。中央スクリーン。問いや指示テキスト、名言、あと映像。老人のなんだっけは
 与えられるもの。

 構成。・補助車を押しながら、パステル色スエット(背中に輝くイニシャル付き)の
  上下の二人。もっさりと周回。(背景で老人が体のことインタビュー。)
 ・「踊る時間です、踊ってください。」もっさり動作、補助車に座ったまま。
 ・ポース、ストレッチ。「できる/できない」きたまりは機敏で柔軟性を活かした
  動きが得意。白神は定型のバレエぶりが得意。どちらも相手ほどにはできない。
  ストリートダンスはどっちも不得意のよう。「ピカノ言葉とか」。

 ・できるで打ち込みリズムでユニゾン。
 ・高齢者体験。白神、負荷制限を加えるサポータ、重石、ゴーグルを装着。
  さきほどのできるダンスを再びユニゾン。杖に頼りに覚束ない動き。
 「できて当然とするまなざしに晒される」

 ・「アポートーシス 遺伝子のプログラム通りに細胞は死亡する」。二人、大の字に
  なって仰向けに寝る。支えがないと立てない、互いを支えにしようとして、絡まり
  団子になる。
 ・(老人の話。長生きの秘訣。)「レミニセンスバンプ。青春時代の記憶を特に沢山
  思い出す」(越路吹雪の熱烈なファンだったという老人の話)「老人福祉施設では
  懐かしいヒット曲のカラオケが老人たちに大人気」ポーズダンス。
 ・「年を取ったとき歌うヒット曲はなにかまじめに考えた」。バラック仕立ての
  ラックにモニタ、アンプとミラーボールを乗っけた手作りマシンを持ってくる。
  「きたまりが心を込めて歌う(だったかな)TROU LOVE」泳ぐように揺ながら、
  時々こぶしを聞かせて。「生き続ける青年を老人とするのだ プルースト」

 ・「老いは喜劇」。白神、補助車からペットボトルや財布を出そうとして、周囲に
  まき散らかしてしまう。どうも横断歩道の中途のようで、クラクションが沸き
  上がるが、白神は急いでは片付けられない。脇にきたきたまりも見まもるだけ。
 ・「死と同じように避けられないのは生きること。チャップリン」(父親っ子だった
  と女性、濃密な関係だった、老いに見つめ続ける辛い時を過ごしたと告白)
  2人ゆっくりと歩行、中央に横断する光の道、見つめあい、やがてユニゾン。
  「身体が振りを思い出せないときがある(きたまり)」補助車をつかいダンス。
  「どこにいるのかわからない(白神)」。

 ・「そしてきたまりが命をかけて歌います。SPEEDの曲」アイドルのりで、時々ガン
  を飛ばしながら。白神は寝たり起きたり。
 ・スエットの上着を脱いで、がんがんデュオ。「疲れやすくなる」「骨に痛みが」
 「未来はあっという間にくる」(祇園祭りの囃子方を夫婦で43年間続けた、残された
  妻の幸福な日々の回顧)

 ・ゆっくりと歩行、腰を屈めて、すっと立つ。(老人たちがハミングで歌う。)
 「考えないで踊れるように(白神)」「振り付けを踊ることを忘れたい(きたまり)」
  ぼっさりとした表情のまま、視線を交わして、てんでに踊る。「私自身になる」
 「仲が悪くとも、忘れてるならやれる」「手の乾きが続く、春をわざとらしく
  期待する」。

 老いを通して我に返る、気づきのエクササイズ。今の体確認に始まり、老いて
 どうなるかを身体や精神面で多角的に試みる。できることでなく、できないことから
 始まる自分物語ともなり。観客にもと当事者意識もちやすく、親しめる舞台。誰にも
 来るべき未来ですものね。通常ダンスと違って、2人の身体的個性がくっきりでて、
 飽かず面白くみることができ。老いを喜劇ととらえ、健忘を幸福の一端とみたり、
 皮肉ではあるけど、マイナスとはしないことに好感を抱くねこ。
  

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