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＠三軒茶屋・世田谷パブリックシアター (1999/3/6-22 14ステージ)
前売り当日共A5000 B4000
作：ベルトルト・ブレヒト 翻訳：谷川道子 演出：松本修 音楽：笠松泰洋
装置デザイン：松井るみ 小道具デザイン：小竹信節 衣装：太田雅公
照明：斎藤茂男 音響：市来邦比古 技術監督：眞野淳 舞台監督：堀内真人
宣伝美術：高橋雅之 ヘヤメイク：光倉カオル
出演：
柄本 明[東京乾電池] ：ガリレオ・ガリレイ
有園芳記[ライトハウス] ：アンドレア・サルティ（ガリレオの弟子）、僧侶他
木野 花[サードステージ] ：サルティのおかみ、クラヴィオ神父、怪しい男の手下他
西牟田恵[グラフィックエルディ]：ヴィルジーニア（ガレリオの娘）、学者
麿 赤兒[キャメルアーツ]：バルベリーニ枢機卿のちの法王ウルパーノ八世、
元老院評議員、侍従長
品川 撤[ファザ-ズCo.] ：元老院評議員、神学者、よれよれに年取った枢機卿、
ガッフォーニ
山崎清介[児山美螢事務所]：元老院評議員、哲学者、覆面の男、天文学者、
僧侶の書記、大道演歌師、怪しい男
植本 潤[花組芝居] ：元老院議員、数学者、覆面の男、僧侶の書記、大道演歌師
の女房、高位の役人、僧侶
斎藤歩[北海道演劇財団TPS] ：元老院議員、コジモの従僕、平修道士フルガンツィオ他
小嶋尚樹[つやげん企画]：フェデルツォーニ（ガレリオの弟子、レンズ職人）、兵士、
クラヴィオに付添う天文学者他
得丸伸二[文学座] ：ルドヴィーニ・マルシーリ（ヴィルジーニアの婚約者）、老婆、
学者、役人他
小田 豊[つやげん企画]：サグレド（ガリレオの親友、貴族）、逃げる男、太った僧侶、
ヴァンニ他
坂口芳貞[文学座] ：ヴェネチア総督、逃げる男、異端諮問所長官、布告役他
冷泉公裕[文学座] ：大学事務局長プリウリ、兵士、ムツィオ、農夫ほか
井口千寿瑠[ＦＭＧ] ：大公コジモ・ディ・メディチ、子供、門衛他
石村美果 [砂岡事務所]：年配の宮廷侍女、子供、枢機卿の付添い、若い貴婦人他
朴本早紀子[ウクレレ] ：修道尼、僧侶、ルドヴィーゴの従者、法王の側付き他
松橋道子 [黒テント] ：修道尼、がりがりに痩せた僧侶、法王の側付き他
山谷典子 [文学座] ：女、異端諮問所長官の付添い、若い宮廷侍女、若い貴婦人他
1999/3/22(月祝)晴 2:05-5:50PM(75+休10+60+休10+70) 2Fより 客席ほぼ満員(700)
客層：老若男女。ご近所らしいおじさん、おばさんもいつもながら多。中村勘九郎
さんも客席に。結構いろんな劇場にいらっしゃってるなり。
客入れ：当日券売り切れ。パンフ(600)、手ごろな大きさと内容で○。客電にむらあり、
暗くて席番号が見がたいのは困りもの。
ブレヒト特集中の同劇場、最大のイベント公演。70-90年代演劇を代表するキーパー
ソンクラスの役者を集め、ＭＯＤＥの松本修が演出。
舞台。虚空に天空の軌道な。奥まで見渡せる素舞台。床には大の中に小がある円形
状舞台。そこから後方には舞台幅一杯の奈落に掛けられた橋、前方左右には下方へ
の階段があり。舞台両袖には作業机、皮装丁・大判本のラック、天球儀とか仕事場
風景。たっぷりした空間と、すっきりした装置が気持ちいいねこ。
お話。貧乏学者のガリレオ。自説の地動説をこそこそと様子を伺いながら、主張。
一方、家では学究一途な頑固なおじさんぶり。次第名声高まるも、地動説を主従逆
転、聖書は誤りと浮かれ騒ぐ民衆がため、異端審問所にかけられてしまう。が、抵
抗はせず、自説放棄。なるも「新科学対話（落下物体の軌道に関する）」の草稿の
写しは隠し持ち、弟子に持たせて国外に持ち出させる。そんなガリレオではあったが
、権力に対して自分が行った過ちから、科学者として正当なことはなにか、自問せず
にはいられないのだった。
すっきりストレートな展開に科学の矛盾が浮かんで、ふふーん。平易な私達の言葉
な台詞は翻訳劇とは思えないこなれ具合。ありげな劇的演出をしない展開は、時系
列ですげえわかりやすく、具体的。事実のみがあるな、ガリレオの出張まんまな。
おかげで長丁場も、脳みそぐるぐるならず、素直にみられて○。たまに蟹歩きマス
カレード群集、カーニバルの大人形など、デフォルメ演出、美術。２時間を過ぎた
３幕頭では山崎、植本の夫婦漫談「ブレヒトの生涯」など気分転換の工夫あり。
でも、もうちと短くてもいいのにさ、とお尻さするねこ。
柄本さんはかなり崩した演技。意識的に。清々とした周囲から突出した、たどたど
しく、胡散臭いともとれる様が興味深いねこ。権力の前に、幸福を追い求めるはず
の科学が屈した時代（ナチズム、核兵器開発）に書かれたという当作品。敗北した
科学、科学者とガリレオが、時代を超えて重なり見える、シニカルな味わいあり。
体現する柄本さんは長丁場、長台詞をしても、くっきりと敗れたものの姿を浮かば
せて◎。さすがなり。
役者。主役クラスも脇やちょい役にまわる贅沢さ。ちょっとした登場も個性がそれ
ぞれ見えて、美味しかったねこ。
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