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 蜷川幸雄演出「唐版 滝の白糸」

 @渋谷 シアターコクーン(2000/1/7-26 24ステージ) 休演1/10.17(月)
 全指定前売当日ともS7,500円 A6,000円 コクーンシート3,500円
 当日立ち見中二階3,000円 三階2,000円

 作:唐十郎 演出:蜷川幸雄 美術:朝倉摂 照明:原田保 衣装:小峰リリー
 音響:井上正弘 振付:花柳輔太郎 美術補:伊藤保恵 演出助手:井上尊晶
 技術監督:眞野純 舞台監督:明石伸一 メイク:青木満寿子 
 宣伝美術:タナカノリユキ 制作:栗原喜美子 企画・製作:Bunkamura
 出演:
 富司純子  :お甲  (アリダの兄と心中するも生き残る。水芸人)
 藤原竜也  :アリダ (亡き兄の借金をお甲に支払いにくる)
 西岡徳馬  :銀メガネ(十年前にアリダを誘拐しようとした。たかり男)
 千田光雄  :羊水屋 (アリダの兄と商売をしていた) 

 ビート・キヨシ:運送屋1
 つまみ納豆 :運送屋2
 マメ山田      :アトム1(小人プロレスラー)
 日野利彦      :アトム2(小人プロレスラー)
 角掛留造      :アトム3(小人プロレスラー)
 ミスター・ブッタマン:アトム4(小人プロレスラー)

 福田潔、沢田豊志、廣哲也、下崎篤、鶴岡大二郎、小石祐城、真貝大樹、
 河野道夫、梶山潤也:工事人夫

 2000/1/8(土)曇 2:05-3:40PM(1'35) 中二階より立ち見 客席超満員(830人)
 客層:女子高生から初老カップルまで。お目当てが伺えるばらけた年齢層。
 客入れ:当日券。開演1時間前から。販売時で30人列。本席(Sのみ)は先頭10人ほど
 で売り切れ。場所指定の立ち見は60席(実売25名、まだ余裕)。両袖での芝居若干
 あり、見切れて見えないのが淋しいねこ(販売時に断りはなし)

 泉鏡花原作を独特世界とした唐十郎作品。蜷川さんの演出では'89-3以来
 (@日生劇場。お甲:松坂慶子 アリダ:岡本健一)

 舞台。荒廃した二階建て長屋とその前庭な袋小路。まるで粗大ゴミ置き場のように
 両袖にゴミの山。通じているのか?な電信柱4本。上方、昼も暗い曇った空。

 お話。ゴーストタウン。1人歩くアリダをつける、中年男。かつてアリダを捉え
 ようとした、捉えどころのない銀メガネのその男。問われるままに来たわけを語る
 アリダ。心中死した兄、からくも生き延びた相手の女・お甲からの呼び出し。
 子供の養育代をいまさらに支払えというのだ。なんだそりゃと、憤る銀メガネ男は
 言葉と裏腹に言葉巧みにその金着服。さて、そこにお甲登場。なだめすかしながら
 金を受け取ろうとするも徒労に終わり。小人プロレスの巡業資金がため、身を
 削っての「水芸」を決心するが。

 晒したような荒くれ、漂う清涼な哀しみ。たとえば、雲間に射すよな照明+フォー
 レのレクイエムBGM。慎ましい鎮魂の祈りな演出多々。うす味な肉感、荒くれな
 印象の唐芝居。時を経て、かつての情熱を眺めたよな距離感、感じちゃったねこ。
 今に上演する唐芝居?と淋しい気持ち。

 思いを絵にする、蜷川ピクチャーショーは控えめ。寂しく揺れるハンガー。鮮やか
 なお甲の登場シーン。場にそぐわず華々しい水芸。空き地に一転暴徒の衆、戦場と
 化す〜飛び去るお甲のアングラな即物引っ込み。くらいかな。もっと濃く蜷川演劇
 してほしかったねこ。
 
 役者キャラのあくも小。唯一脂ぎった臭みを出す、西岡さん除き。お甲・富司さん
 は小股が切れ上がった女ぶり。絵にはなるけど、その二面性・生きるがための
 悪辣、その哀しみを知っての優しさ同居の複雑△。もひとつ体感できず。
 もっと、臆せずずべ公すると、ねこの好みなんだけど。アリダ・藤原君。初々しい。
 カーテンコール4回も。演出より役者ファンの拍手なのかな?と邪知したり。

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