泪目銀座 第７回公演 「夢から覚めても〜今世紀最大のうたた寝〜」
不思議な日常シリーズ第2弾
＠新宿 紀伊國屋ホール (2000/3/11-20 13ステージ）追加3/19S ＠大阪4/1-2
全指定 前売4,600円 当日4,800円
脚本・演出：福島三郎 舞台美術：Schön Künstler 照明：佐藤公穂
音響：青木タクヘイ[ステージオフィス] 衣装：早川奏子 舞台監督：二本松武
宣伝美術：岸下孝司 制作：浅井美衣ほか 企画・製作：泪目銀座
出演：
石丸謙二郎：渡瀬時宗 （渡瀬家の父、心理学教授）
左時枝 ：渡瀬さゆり （渡瀬家の母）
石田ひかり：渡瀬こずえ（渡瀬家の三女。家に残っている）
桂憲一 ：高桑章雄 （渡瀬時宗の教え子。渡瀬家によく来る）＊[花組芝居]
谷川清美 ：望月はつこ （渡瀬家の長女、自己主張強め）＊[演劇集団円］
朝倉伸二 ：望月邦衛 （はつこの旦那、自信なさげ）
柴山智加 ：三好つぐみ（渡瀬家の次女、ちょっとおばか）
菊池均也 ：三好永治 （つぐみの旦那、自称ロッカー）
2000/3/14(火)晴れ 7:05-9:05PM(2'00) 中段より 客席７割(300人)
客層：２０才代女性、とんで40,50才代おじさんおばさん、とりどり。
客入れ：最後尾２列不使用。Ｎ列→Ｐ列と席列を変更してるので注意。
折り込みパンフ、挨拶、キャスト、スタッフ掲載。物販。パンフ(700円）。Ａ４を
縦半分にして教典式に展開可能。役者のパジャマ写真、インタビュー収録。
開演前注意アナウンス。夢の国へようこそ、心の声を目を閉じてきいてくだ
さいとリラクゼーション導入後、笑い取り。
舞台。小さな芝生、離れのある二階建て住宅。一階のダイニングが主舞台。下手
大きめの出入口扉。掘り炬燵状に一段下がって、座卓な食卓。ＴＶやらは壁埋め
込み収納。上手にあがって、ソファ。その奧にテーブルやら小ＴＶある別ダイニング。
見えない奧の下手側が台所設定。レンガ壁の一部を見せる二階には桃、黄、青と
色違いカーテンの窓。多人数が住んでるのが伺え。上手、猫の額な芝生を挟んで
白壁の離れ。当家の主の書斎。庭の向こうには隣家アパートの壁が見え。
お話。心理学者だった父親の一周忌。教え子が訪ねてきて、思い出話し。学会
ではマイナーな先生だったけど、夢の研究では第一人者。埋もれさせるのは惜しい
と熱弁。もっとも、教授宅を訪問は、片思いらしい娘・こずえに逢うためでもある
様子。夢と現実の境、介入。つねっても痛い状態でみる、醒めた意識をもつ明晰夢。
そんな話題の内に、まどろむ夕とろ時。教授妻が目覚めてみれば、夫は生前の
ままに家にいる。家人はちょっとおかしいけど。ここでは、夫が死んだと思っている
のは自分だけのようなのだ。
現実的な夢のお話。夢っぽく飛躍しない夢が、私たちの日常の喜びや痛みを呼び
起こしてくよな。ちょっとファニーで幸せ、現実同様の心痛さを残す、ビター・スィート
な味わい。
亡くした夫、いつのまにか心離れた娘こずえ。二つの喪失とそれぞれの孤独が、
一見ちゃらになりそうな夢場面でこそ、よりくっきり。両親は上の姉妹を猫かわいがり、
末っ子こずえには服従愛を知らず強いてきた。それ故か、奥底で自閉しまった
こずえ。少女期にそのきっかけとなったと、母親が思う殴打行為＝自由な夢で唯一
ままならないトラウマ行為は、夢でも繰り返される。大人になっても変わらないこずえ
に、母親が思わず振り上げた手は夢の中でも止められない。幸せを望みながら、
どうしようもない現実。その痛みに泪するねこ。
救いは、こずえの初めての意志。世界に向かおうとする兆しの恋。夢と現実でシン
クロする告白場面は夢のような現実で○。それと家族愛かしら。
と、シリアスなとこ書いたけど、全体ばたばたコメディ調。意志薄弱な夫を猫かわい
がり妻のラブラブ長女夫婦。自己主張が強すぎる夫とおばか妻のへんな次女夫婦。
互いの誤解が生む、たわいない不倫騒動、痴話喧嘩で笑い絶えず。合間に決める
とこ決めて、お茶目忘れず・美味しい場面をさらう教授もまた愛すべきキャラ。
肝心要はしっかり締めて、周囲でゆるゆる遊ぶとこは夢と現実なテーマにも叶い。
テーマ曲のように、Dream of you。インストＢＧＭ〜最後にヴォーカル付きで聞かせて
巧し。夢の構造講釈でちょっと語っちゃう冗長さは△なれど、きっちりした造りには
好感ねこ。
役者。石田さん。ナイーブな役柄を情感を程良く添えて、好演、応援小旗を振りたく
なったねこ。左さん。かわいいお母さんを出過ぎず、ベテランの妙。石丸さん。上記
のように美味しくてずるい役柄を貫禄十分に。けど許せるかわいげな魅力○。
桂さん。泪目作品での彼らしい、かわいげ。谷川さん。メリハリあって○。
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