＠渋谷 シアターコクーン(2004/3/6-30 29ステージ）
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/index.html
全指定 Ｓ席8500円 Ａ席6500円 コクーンシート4000円
作：岩松 了 演出：蜷川幸雄
美術：中越 司 照明：原田 保 衣装：黒須はな子 音響：井上正弘
楽曲使用：遠藤ミチロウ（カノンほか） ヘアメイク：林節子
小道具：安津満美子、田淵英奈 演出助手：井上尊晶ほか 舞台監督：白石英輔
宣伝美術：永石勝 プロデューサー：加藤真規、松野博文 制作：大宮夏子ほか
主催：フジテレビジョン、Bunkamura 企画・製作：Bunkamura
出演：
二宮和也 ：ナオヤ（廃屋にやってきた青年）
小泉今日子：マリー（廃屋に住む、訳ありの女）
杉本哲太 ：アオヤギ（マリーを愛する男）
蒼井 優 ：トシミ（その妹）
勝地 涼 ：ケンイチ（ナオヤの友達）
飯田邦博 ：黒い服Ａ
塚本幸男 ：黒い服Ｂ
堀文明 ：黒い服Ｃ
清水幹生[文学座] ：アオヤギの父
立石凉子[演劇集団円]：フクダ（マリーのアパートの管理人）
勝村政信 ：フナキ（アオヤギの会社同僚）
2004/3/13(土)晴 7:02-10:03PM(1'18/休15/1'24) 1F後方 客席超満員(850?人)
客層：ほぼ全員20才代女性。お行儀はよし。おばさん少数、おじさん極少。
客入れ：当日券。既報のよう、開演90分前に抽選券配布で運試し販売。状況は不明。
入口でカメラチェックあり。いつものよう、最後尾など補助椅子、バルコニーに立見。
折り込みパンフなし。物販。パンフ(A4 46ページ 1800円)役者インタビュー中心、
カラーページ多数。
難解と明解、真逆な作と演出の組み合わせ。な話題はつゆ知らぬげな、和也君＠嵐
ファンで埋め尽くされた劇場に、むむむねこ。
舞台。渋谷の住宅街・南平台あたり。246と山手通りの狭間、代官山も徒歩圏内な
好立地。なんにそこは廃屋と化した洋館。炭化したよな、立ち枯れたヒマワリが前庭
一面。庭には粗大ゴミなマットレスや木箱のほかは雑草と土くれ。のっぺりした二階
建ての洋館、ガラス引き戸の部屋とバルコニーは上下とも同じ間取り。屋外階段が弧
を描いてつなぎ。窓には白いカーテン。微風を孕んでゆらゆらと揺れ動き。
お話。借金を返しに友達の家にやってきた青年。もうそこに住んでいないと知っては
いるけれど。かわり住んでいたのは街娼の女。やがて、女にいれあげている男やその
同僚、女が住んでいたアパート管理人が出入りし始める。どうも女はやばい状況、
隠れ住んでいるらしい。凪いだよに静かなそこ、しかし外では事態急転の嵐模様。
そして、いれあげ男を心配して上京してきた家族も加わり。現在と記憶、自分と他人を
揺らす風が吹き込んできて…。
刹那に危うく、愛しく美しい。ガラス細工なラブストーリー。矛盾を抱えた登場人物
、間が抜けた平常と突発する狂気。機微とおかしみが背中合わせの岩松戯曲の心理と
関係性を判りやすく、また美装して演出。カーテン、ヒマワリ、劇中歌ら「揺れる」
様々を筆頭に、かごの鳥、赤い花など、派手にメタファーこれでもか。この劇的ご馳
走はのど越しつうより、噛んで味わうと（推すと）味わい一層感。ちと浮世離れな
キレイさに、東京乾電池な胡散臭い岩松が一番すきなねこはうーん。これはこれで
素敵なんだけど。
役者、いずれも好演。二宮君。まさにガラス細工。繊細でいて壊れると危険なキャラ
をきっちりと演じ。小泉姉さん。安らぐ自分を許せない、悲しい女を艶っぽく演じ。
放っておける男がいようか、いやいないと納得。させられる脇役はさすがの巧者
ぞろい。岩松戯曲を身に付けて、不安定キャラを安心好演。
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