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 庭劇団ペニノ 14th garden「笑顔の砦」
  第17回下北沢演劇祭参加作品

 @下北沢 下北沢駅前劇場(2007/2/22-3/4 15ステージ)
 http://www.honda-geki.com/ekimae.html
 全指定 前売3300円 当日3500円
 昼ギャザ実施公演 20人毎100円バック 底値1800(23m)、2000円(28m)

 作・演出:タニノクロウ
 舞台監督:矢島健 美術:田中敏恵 照明:今西理恵
 音響:中村嘉宏(atSound)、阿部将之 宣伝美術:柘植真弓 映像:玉置潤一郎
 制作統括:樺澤良 制作:島田桃依、河口麻衣 プロデューサー:野平久志
 企画製作:PUZZ WORKS、劇団制作社
 出演:
 久保井研 :タケさん
 飯田一期 :健二
 山田一彰 :大吾
 山田伊久磨:亮太
 矢島健  :寛(かん)さん
 
 マメ山田 :キク
 五十嵐操 :多喜子
 瀬口タエコ:管理人

 2007/2/25(日)曇 7:33-9:28PM(1'55) 前方下手 客席8割(80?人)
 客層:20-30歳代を中心に幅広く。男性過半数。
 客入れ:桟敷1列パイプ椅子をゆったり7列、4列目は半数設置。場内誘導随時。
 折り込みチラシ極厚、輪ゴム止め。アンケートはボードと鉛筆付きで親切。
 パンフA4 3ページ。配役、スタッフ、予定。次回公演掲載なし。
 カーテンコール1回。
 
 予想外の空間造りを仕掛けるタニノクロウ新作。
 
 舞台。横長の劇場を生かして、隣接した古アパートの2部屋をおき。下手半分、
 4.5畳にこたつと収納箱、鴨居に魚拓。窓外に塀と草草。玄関即の板の間に台所
 シンクと冷蔵庫、隣に物置。上手半分は当初空き屋。「入居後」は簡素なベットが
 置かれ。
 
 お話。独身中年の漁師タケと、ぼけ気味の介護老人キクの生活が同時進行。情に
 長け、人望厚い漁師タケの家。彼の手料理を肴に毎夜酒宴、ギター片手に朗らかな
 歌声が響き。いつの間にか、隣の部屋に無口な女性介護士とともに、老人キクが
 引っ越してくる。隣家の若い女性に気づき、浮き足立ちながらも気遣い始めるタケ
 達。隣家は没交渉なるも、知らず日常に影響を受けていって…。
 
 慎ましくも豊かに、人と生活を描いて素敵。生きる喜びに孤独の哀しみが裏打ち
 されて、味わい深く、人が愛おしくなる舞台。奇抜な作風と趣向の彼らにして、
 なんと「奇抜」なストレートプレイ。なるもそこはペニノ、一つならず工夫。音、
 匂いら五感をリアルに刺激する得意技を今回も発揮。
 
 細やかで丁寧な演出と演技に加える、リアルな生活感。ライブで三枚におろした、
 よだれもの刺身を供し、美味しくいただく。食後の酒宴、ギターはいい感じに鳴り、
 歌声は素敵にはもる。知らず足でリズムをとる老人の場面あり。その気持ちが共感
 され、お客の心にも高揚、幸福感が広がっていく。
 
 リアルな生活の有様が言葉を越えた情感を醸し、言葉少ない役者芝居を豊かに彩っ
 ていく。一意ではない喜怒哀楽、人生の味わいがしみじみ沁みるねこ。近しく親しむ
 小劇場演劇の醍醐味そのままの舞台を堪能するねこ。
 
 役者。漁師キタ・久保井。のんきな生活も、両親を看取る現実を抱えた45歳。さりげ
 も味わい深く好演。料理の腕も冴え(さすが唐組)、三枚におろす手際をみたら、
 とりわけ女性はまいっちゃうだろなと羨むねこ。老人キク・マメ山田。小さいけど
 大きな存在感、さりげに胡散臭くて素敵。 

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