（社）日本劇団協議会 劇団☆新感線「天保十二年のシェイクスピア」
（社）日本劇団協議会１０周年記念、2002東京都民芸術フェスティバル（東京都助成）参加
＠赤坂 赤坂ＡＣＴシアター(2002/3/5-24 24ステージ)
http://www.tbs.co.jp/act/index-j.htm
全指定 前売り当日とも S席7500円 A席6500円 学生5500円
＠大阪 厚生年金芸術ホール 3/30-4/7
作：井上ひさし 監修：鴻上尚史 演出：いのうえひでのり
美術：堀尾幸男 衣装：小峰リリー 振付：川崎悦子[BEATNIK STUDIO]
音楽：岡崎 司 歌唱指導：右近健一 音響：井上哲司[FORCE] 音効：山本能久 照明：原田保
殺陣指導：田尻茂一、川原正嗣、前田悟［アクションクラブ］
ヘアメイク：河村陽子［ＤａＢ］ 小道具：高橋岳蔵 特殊効果：南義明［ギミック］
映像：樋口真嗣［モーターライズ］
演出助手：坂本聖子、小池宏史 舞台監督：芳谷研 宣伝美術：河野真一
エグゼクティブプロデューサー：細川展裕 制作：柴原智子、小池映子、金沢尚信
主催：（社）日本劇団協議会 http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~gekikyo/index_f.html 、ＴＢＳ
企画：日本劇団協議会プロデューサーの会 製作：劇団☆新感線、ヴィレッヂ
助成：社団法人私的録音補償金管理協会（sarah）
出演：下記参照
2002/3/10(日)快晴 1:32-5:17PM(85/休25/113) 中段より 客席超満員(1400人)
客層：20歳代女性7割。新感線で見ない、中年男性が結構めだち。おばさん少。
客入れ：当日立ち見席。最後尾手すり後ろに１９。中央に盆をおいた舞台なので、
前方端でも見切れなし。折り込みパンフ。B5 4ページ。キャスト、スタッフ、歌詞
掲載の必要十分最低限。物販。パンフ(大判B4 46ページ オールカラー ビニール袋付
2000円）、サントラＣＤ(3000円)、ポスター(1500円)。女性用トイレ(1カ所)に長蛇の列。
きちんと誘導あれど、あんまりの多さ。外とか、他にないのかしら。
７０年代井上ひさし作品。4時間を超えるんで、再演されなかったとか（ふーん。
蜷川さんとか、やりたおしそうなのに…。）
舞台。中央、大きくまな板な「舞台」。下手袖のイントレ内にバンド。転換場面とか
表舞台に出張って、ジャムり。装置持ち込み式、襖障子、階段とか、最小限で設定。
お話。川を挟んで勢力争いをしている博打打ち一家の世界に、シェイクスピア全作品
をつっこんだという、荒唐無稽な快男児作品。荒くれと繊細さが大胆に同居した、
井上ひさし・若気の至り加減にほよよねこ。具体的には下記参照。
若き才気再生、再燃。ロックミュージカルな、いのうえ歌舞伎・全面。その覇気活気
が作品の野心と同調して、今に蘇った印象。お家芸のスピーディな転換、快感ねこ。
バンドばりばり、歌一杯。歌詞（よく聞き取れないとこあり、カードみて）の井上
ひさしぶりにふむふむ。マクベス、オテロなど、本歌取り名場面が目白押し。もじり
加減がまた巧し。調子こいた悪のりは少、なれど演劇なお楽しみ、尽きず、飽きず。
４時間と長丁場も、嬉しいねこ。
役者芝居。ちょびっと物足りないくらいが丁度いい持ち時間。美味しさ腹八分目の
満腹感○。男子。古田さん、成志はいつになくピュアな役。それ故、古田・オテロの
女房殺場面とか、まじ壮絶。死とエロスの濃厚な、苦悩の念波に感じられるよな
カタルシス芝居を堪能。阿部さん。キテてるギャグめいた台詞、裏返しの哀しさを
いつもながらに。彼のファンが一番、期待通りの満足感ありかも。上川さん。生真面
目に哀しいピカレスク。汚れ具合がもの足りず、うーんねこ。
女子。村木さん。威風堂々、ダイナミック。朗々と心地よし。ごちそうさまねこ。
西牟田さん。かっこいい鉄火姉さん、好演。高橋さん。乱調オフィーリア・お冬が
面白し。沢口さん。声とキャラで羽野晶紀、彷彿。変身前後、熱演。もっとキャラを
立ててほしいと欲深ねこ。
［月間一覧］
●配役
初演 今回
1974/1/5-2/3 2002/3/5-24 3/30-4/7
西武劇場 赤坂ＡＣＴシアター 大阪厚生年金芸術ホール
（現PARCO劇場） 24ステージ 11ステージ
4時間30分 3時間20分 作 井上ひさし ←
演出 出口典雄 いのうえひでのり [劇団☆新感線]
美術 粟津潔 堀尾幸男
音楽 宇野誠一郎 岡崎 司
振付 西田堯 川崎悦子 [BEATNIK STUDIO]
アキコ・カンダ
照明 古川幸夫原田保
音響 秦和夫 井上哲司 [FORCE]
歌唱指導 帆足琢也 右近健一 [劇団☆新感線]
殺陣指導 中村靖之介 田尻茂一 [アクションクラブ］
舞台監督 三田村晴夫 芳谷研
演出助手 高島宏充 坂本聖子、小池宏史
企画制作 西武劇場 日本劇団協議会
阿部義弘事務所 劇団☆新感線 出演： 鰤の十兵衛 中村伸郎 小林勝也 [文学座]
お文 根岸明美 村木よし子 [劇団☆新感線]
お里 稲野和子 西牟田恵 [グラフィック・エルディ]
お光／おさち 木の実ナナ 沢口靖子 [東宝芸能] よだれ牛の紋太 西村淳二 橋本じゅん [劇団☆新感線]
小見川の花平 矢崎滋 粟根まこと [劇団☆新感線]
蝮の九郎治 高木均 池田成志 [サードステージ]
尾瀬の幕兵衛 勝部演之 古田新太 [劇団☆新感線]
きじるしの王次 金森勢 阿部サダヲ [大人計画]
佐渡の三世次 峰岸隆之介 上川 隆也 [演劇集団キャラメルボックス] 清滝の老婆 小林トシエ 熊谷真実 [Shin Seiwa]
安中の老婆 新井れい子 西牟田恵 [グラフィック・エルディ]
真岡の老婆 二本柳潤 村木よし子 [劇団☆新感線]
甲府の老婆 二瓶美千代 後藤智恵
大間々の老婆 宗形智子 清水美砂子
佐原の老婆 遠藤久美子 滝沢貴子
川越の老婆 石川耀子 武藤陶子 [TEAM発砲B・ZIN]
八王子の老婆 竹内美弥子 右近健一 [劇団☆新感線] 飯炊きのおこま婆 山川弘乃
その息子佐吉 矢崎滋
浮船太夫 中村まり子 ぼろ安老人 中村伸郎 森塚 敏 [劇団青年座]
お冬 中村まり子 高橋礼恵 [文学座] 土井茂平太 松熊信義 山本 亨 [ｔｐｔ]
手付い 佐藤輝昭 池田成志 [サードステージ]
手付ろ 矢崎滋 阿部サダヲ [大人計画] 大前田の栄五郎 高木均 森塚 敏 [劇団青年座]
国定村の忠治 西村淳二 古田新太 [劇団☆新感線]
飯岡の助五郎 山口哲哉 小林勝也 [文学座]
笹川の繁蔵 洞英治 粟根まこと [劇団☆新感線]
清水港の次郎長 佐藤輝昭 右近健一 [劇団☆新感線] 利根の河岸安 田中崇 池田成志 [サードステージ] 隊長 観世栄夫 熊谷真実 [Shin Seiwa]
百姓隊員い 西村淳二 橋本じゅん [劇団☆新感線]
百姓隊員ろ 佐藤輝昭 森塚 敏 [劇団青年座]
百姓隊員は 小林トシエ 高橋礼恵 [文学座]
百姓隊員に 高橋伸彰 村木よし子 [劇団☆新感線] 亡霊 西村淳二
壷振り 松熊信義 若い衆イ 佐藤輝昭
若い衆ロ 矢崎滋
若い衆ハ 中川明
若い衆ニ 洞英治
若い衆ホ 高橋伸彰
勇ましい若者 壱 高橋伸彰
勇ましい若者 弐 金子扇太呂 女郎衆 宗形智子 高橋礼恵 [文学座]
二本柳潤
新井れい子
石川耀子
遠藤久美子
清水美砂子
竹内美弥子
二瓶美千代 陰の義太夫 ギター 岡崎司
ベース 高橋ヨシロウ
ボーカル・ギター T A K l
ドラム Takeshi
キーボード 石黒彰 若い衆・百姓・客 川原正嗣
前田悟
武田浩二
横山一敏
伊藤竜也
小豆畑雅一 女郎・百姓 仲里安也美
栗原妃美
菅原和歌子
佐藤浩子
竹内いづみ
平田ももこ
武藤陶子
後藤智恵
滝沢貴子 百姓隊 並木大輔
河野琢生
神野崇
岡田力
松本芽育
牧野淳子
草野万葉
織田陶子
大島奈穂美
青木和美
小堤美紀
永井美羽
牧吾朗
岡林史泰
渡部洋
佐藤耕一郎
●あらすじ
江戸天保、下総国。鰤の十兵衛（小林勝也）は旅籠2軒経営。三人娘；お文（村木
よし子）、お里（西牟田恵）、お光（沢口靖子）あり。楽隠居と身上を譲ろうとする
十兵衛に、お文、お里はおべんちゃら。三女のプリティお光はきれい事のみ、
かえって懸想され、追放されてしまう。
３年後、びっこ、せむし、火傷の無宿者・佐渡の三世次（上川隆也）が現れる。
その頃、お文は、紋太（橋本じゅん）の弟・蝮の九郎治（池田成志）がいい男、
かつ用心棒・尾瀬の幕平衛（古田新太）が愛人関係。お文にたぶらかされて、
九郎治は紋太を殺害、が、幕平衛の仕業と言いふらすお文。ひどいね。
二人の娘にすべてを与えた十兵衛はといえば、疎まれ侍。やっとお里の家に到着。
が、お里にたぶらかされ、花平（粟根まこと）を殺そうとした幕平衛に勘違いに
殺されてしまう。ひどいね。お里は九郎治の仕業と言いふらし、両家はもう最悪の
関係に。大変だね。
一方、幕平衛は怪しい老婆（熊谷真実）に「花平一家の親分になる」と予言され。
居合わせた三世次、老婆に未来の占いを頼み。老婆は、出世確約、条件は「ひとりで
ふたりの女」に気を付けることと予言を残す。謎だね。
花平に愛想をつかしたお里。幕平衛に花平を殺させ、予言通り幕平衛は親分。
そこに、三世次は自分は役に立つと売り込み。花平を殺したのは紋太一家と言い
ふらし、ちゃっかり幕平衛の舎弟に収まり。小ずるいね。
その頃、紋太一家の跡取りのバカ息子の王次（阿部サダヲ）は父の訃報を聞き、
帰省。女郎屋で遊ぶ、王次は父の亡霊と会い、母・お文と叔父・九郎治の陰謀で
父が殺されたことを知らされる。復讐を誓い、そのためにきじるしを装うことを
決心。ぼろ安（森塚敏）の娘・お冬（高橋礼恵）は王次を気遣うが、王次は
「尼寺へ行くか、女郎屋へいけ」とにべもない。隠れて様子を伺っていたぼろ安を
殺してしまう。お冬は自殺。生き地獄だね。
十兵衛に追放されたお光はいまや女賭博人。居合わせた王次とたちまち恋に落ちる。
お文はお光の変わりようにびっくり。お光は十兵衛の子供ではない、衝撃の告白。
お光は双子の姉妹。片割れのおさちは優しい代官・土井茂平太（山本亨）の妻と
なっていた。有為転変だね。
お約束に、お光とおさちの間違い騒動、取り返しのつかない事態発生。三世次→
お文、茂平太→九郎治＋王次を殺すことに。三世次は予言の「ひとりでふたりの女」
とはこれかと気づいて、あいやー。時すでに遅く、恋に落ち。全体、自分が惚れて
いるのはどっちか判然としないまま。後悔先に立たずだね。
もめ事も解消、お光は今やお里一家の身内。お里はといえば、すっかり角がとれて
優しい女。病床の亭主・尾瀬の幕平衛に尽くす日々。三世次の欲望とまらず。頭角を
現してきた舎弟・河岸安（池田成志）とお里の中を幕平衛に誤解させる企み。
作戦成功、幕平衛はお里を殺した後、自死してしまう。近在の親分が集っての跡目
選び。三世次は河岸安を褒め倒し、お里との不義があったと思いこませ、まんまと
後継者に収まる。幕平衛の心中場面はエロかっこいいね。
三世次は欲しいものはすべて手に入れ。だが、惚れた女・お光だけは別。可愛さ
余って、と三世次はお光を殺してしまう。離れていても以心伝心の双子の姉妹。
おさちは現場のありさまを幻視、三世次は代官所へ捕らえられることとなる。
が、悪知恵を巡らし、逆に代官・茂平太を殺し、後がまに収まるどんでん返し。
おさちをも女房とするが、これは偽夫婦か？。しぶといね。
おさちの復讐。三世次を鏡に写し、その醜い姿をみせつけ。さらにおまえの心は
もっと醜いのだ、とトドメの一撃。三世次はマジ切れして鏡を割るが、おさちは
破片で咽喉をついて自害。そのとき、代官の仕打ちに我慢たまらない百姓隊が
一気に屋敷へ押し寄せ。三世次は竹槍で刺し貫かれ、殺されてしまう。悲しい
末路だね。
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