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＠新宿・THEATER TOPS (1998/8/26-9/3 12ステージ) 全指定 前売り3800当日4300
作・演出：吉村ゆう 音楽：ＫＥＮ 美術：土屋茂昭
出演：田中広子、中島陽典、天衣織女、植木涼香、田中健三、北島善紀、螢雪次郎
大草理乙子、星遥子 ゲスト：花房 徹（8/29,30）、綾田俊樹（8/26,27）
郷田ほづみ（8/31,9/1-3）
1998/8/30(土)曇り｜雨 7:35-9:25PM 前方より 客席７割(110人)
客層：老若男女。年齢層高め。女性過半数。
客入れ：当日券は後列と前列両端。場内誘導は適時あり。今回も客入れ時に暑く感
じたねこ。エアコン弱めにしてるのだろうか。
代理母出産、を込み入った面白いシチュエーションで提示。
放送作家、劇作家の吉村ゆう氏の作品。昨年に続いてＰ形式で上演。
籐のソファセットあるリビング。羽のような絵柄が書かれた透明ビニール地で覆わ
れた壁。床もビニール。中央、扉の上方、子宮を象った図柄あり。劇中語り手でも
ある胎児を透けてみせる趣向。その脇に上階への階段。上手、玄関口。下手、キッ
チンと寝室へ繋がる出入り口。
代理妻の身体が心配のあまり、アメリカから呼び寄せた夫婦（中島、天衣）。家も
準備、衣食住も準備万端の散財。過保護に気遣う二人に代理母の女性（田中）は合
理的に生活したいと反発。アメリカから男友達を伴って、大学にも通いはじめる彼
女に戸惑いながらも妥協する夫婦。臨月が近づくにつれ、夫は代理母の女性に付き
きりで気遣い始める。自分の子供でありながら、他人のお腹で育っていくのを見て
いることしかできない妻は、そんな夫の姿と自分に我慢ならない。妻と代理母の女
性の間で、夫は右往左往するばかりで。こんな３人を見守る、件の胎児を語り手に
おいて進行してく。
特異な状況に理性と感情のせめぎあい、科学と人間のありようを浮かばせる。さら
に代理妻の女性と妻の感情から母性、母親に拒絶されたトラウマをもつ代理妻と同
居生活する３人から家族の意味、中途半端な夫から父親の不在、ご近所にひた隠し
にする夫婦から代理妻禁止の背景、など込み入って面白い、今の世界を描いてく。
深刻な内容も、かえってそれがために困ったなな可笑しさが常に伴い、不必要に沈
ませない。夫がそこはかともつ代理妻へのスケベ心など、人間のとほほさも共感で
きて○。対岸の火事と楽しんでるお客こそ、社会状況そのまんまなんだろうけど。
ラストはしがらみを越えて人として一つになる。できすぎだけど、現実にはそう上
手くはいかないだろうだけに感動的。後半のドラマに備えてか、冒頭は浮き足立ち
の上滑りな軽さ、ちとやりすぎ？の悪のり感もったねこ。
天衣さん。押さえ込まれた感情がじりじり放射されてるよう。さらりとしながら、
凄みある様○。大草さん。詮索好きのおばさんを親しみもてる好演で。