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 タイタスプロジェクト2001「のにさくはな」

 @京都大学西部講堂前 特設野外大劇場(2001/9/29-10/8 7ステージ)10/3休演
 全自由 前売3000円 当日3300円 大学生2500円 高校・シニア(60才以上) 2000円
 
 原作:W・シェークスピア「タイタス・アンドロニカス」よりオリジナル台本
 脚本:深津篤史[桃園会] 演出:キタモトマサヤ[遊劇体
 総合技術監督:塚本修 舞台美術:池田ともゆき

 美術アシスタント:岡一代 照明:西岡奈美、金森 朗[アトリエ・アム]
 音響:大西博樹 作曲:桜木かをり 編曲:児島 塁[T&Crew]
 衣装:大陸、森田雅子[AtelierEVA]舞台監督:谷本誠 舞台監督助手:武吉浩二
 演出助手:大陸 宣伝美術:白沢正 イラスト:山田賢一

 制作:[桃園会] 小坂浩之、川井直美 [遊劇体] 岡本司、長谷川雅己
 製作総括:遠藤寿美子 主催:タイタスプロジェクト+桃園会+遊劇体
 後援:大阪音楽大学 協力:関西野外演劇連絡協議会、西部講堂連絡協議会ほか
 助成:芸術文化振興基金助成事業 財団法人セゾン文化財団
 出 演:下記

 2001/10/7(日)晴 7:42-9:35PM(1'55) 中段より 客席超満員(300人)
 客層:20-30才代中心に幅広く、高校生〜お年寄りまで。
 客入れ:開場10分ほど前で整理券50番台。当初20番ずつ呼び出し整列も、客多数故か
 全事前整列に。お年寄り、子供連れから優先入場。トイレ事情はよくないの掲示通り
 離れた体育館のもの。特に女性は外で済ませてくること。客席。屋根付き雛壇、段差
 ありなし交互に15列。クッションは薄目。結局1列15,6人に、通路席を含め20人の目
 一杯。やはり多数故か毛布の配布はなし。後半、冷え込むのでそれなりの防寒は各自
 必要。荷物預かりは大きなものだけ。屋台「安田食堂」で酒、ラムネ、焼きそば、
 おでん販売。そこそこの利用率。折り込みパンフ。B5 4ページ。配役、関係者あい
 さつ。物販。上演台本(1000円)、ポストカード(150円)。

 内向になぞめきに、人の奥底を演劇的に描く・桃園会、原作誤読を苛烈、スピーディに
 、アドレナリン高揚な野外劇で見せる・遊劇体の合同企画。
 
 会場。結構駅から歩くし、食べ物屋さんも少なそうな、京大まで道、てくてく。控え
 めな街頭の暗がりが京都らしい佇まい。学内劇団が立て看板つくってる作業場の脇に
 講堂。おばけでそうやん、な瓦葺きの古めき。テント前に仮食堂あるも、おつまみ
 程度。トイレはだいぶ離れた体育館の中。食事とも済ませてきて、よかったですねこ
 雛壇客席、クッションは毛布まんま。野外とはいえ、今日の京阪神は暖か、すし詰め
 なこともあって、寒いことはなし。ラッキー。
 
 舞台。地面に市松模様の板(各部屋設定)が円周上6枚。傾いで架線が垂れ下がった
 電信柱がその中央。周囲は馬蹄型4階立てのイントレ。C4,B8など数字が高層
 団地なことを示唆。大きな扉が左右と正面。外は、枝を広げた大木を中央正面に
 樹木。隙間からは通り、ひっきりなしにすぎる自動車のライトがのぞき。

 原作。ローマの帝位継承権を争う前皇帝の息子・その兄弟。蛮族・ゴート人との戦い
 からタイタス・アンドロニカスは凱旋帰国、市民はかれを皇帝に推薦、がしかし…。
 親子の愛憎、復讐心が入り乱れ、残虐のかぎりが尽くされる。シェイクスピ初期、
 そして異色の惨劇な作品。

 お話。秋祭りを控えた高層団地。穏やかな日常の中で、惨劇は知られず行われる。
 裏切り、姦淫、ストーキング、レイプ、殺人、そしてそれらの復讐。携帯電話の相手
 は、災害か戦争か、はっきりしない災禍に壊滅した町で呆然とさまよっている。
 今日はまだ祭りでもないのに、あの騒ぎはいったい??。突然の、得体の知れない
 残酷な恐怖に御しきれない暴力を振るう人たち。憎悪の循環を、なす人の孤独なあり
 ようと共にあぶり出す。「うちやまつり」「熱帯夜」と連なる作品。

 無自覚の危機を切実に描き、暴力の根元が何かに迫る力作。趣向。会話劇主体の本を
 、フラッシュライトら照明、ノイズやニュース音の効果、50人以上の役者を時に同時
 多発に配して、スリリングに演出。イントレに登り、扉を開けての即物的距離感が
 野外劇らしい。何事もなく行き交う車の列に、真っ赤に染まる樹木、燃え上がる日の
 丸の光景が重なる。危うい今を映す、演劇なリアルのすごみ◎。
 
 逆説、逆転の恐怖と悲しみが胸に迫る。惨劇後からさかのぼり、フラッシュバックを
 多様して、複雑混線に進行。隠されていた危機、人の暗部がさかしまとなって表出
 してく、恐怖とサスペンス。劇中劇にタイタス。惨劇が道化師の格好でこっけいに演じ
 られるという逆説。配役も男女逆転にして、ありえべかざることがそうではない怖さ
 を見せる。本編とのリンクも巧み。レイプされる女性とその恋人・ラヴィニアとリュ
 ーシアスをひとみと信一、不慮の妖婦と愛人・タモーラとアローンを後家里美とビザ
 配達人に重ねる。ひとみの戸惑いと恐怖、里美の加害者と同時に被害者である、妖し
 くも悲しい様が印象ねこ。
 
 役者。桃園会役者が簡潔ながら、意味深な台詞をしっかり伝えて○。ひとみ役・加納
 さん。いたいけな姿に懸命の演技が痛々しく、胸迫り◎。里美役・江口さん。女の
 強さと儚さを見事にみせる、女優ぶり◎。

 出演:
・鈴木家
 ヒデユキ・スコブルスキー・ヒラオカ[冬の実社]:鈴木学(父)
 江口恵美[桃園会]:鈴木里美     (その後妻)
 坂本正美[遊劇体]:鈴木賢一     (長男)、救護班2
 今井康平[Real]:鈴木賢治     (次男)
 工藤恭造[ゆにーく堂]:鈴木雄三  (叔父・学の弟)
 亀岡寿行[桃園会]:有末(ピザ配達人)

・佐藤家 
 尾崎左知[遊劇体]:佐藤かな (母)
 千代貴子  :佐藤和子 (長女)
 加納亮子[桃園会]:佐藤ひとみ(次女)
 けんもつあらた[クラウドプロジェクト]:佐藤広子(三女)
 橋本健司[桃園会]:長谷部忠(広子の家庭教師)
 
・中村家
 陽州 大[遊劇体]:中村信一(長男)
 小坂浩之[桃園会]:中村卓 (次男)
 荒木千童[桃園会]:中村泰子(長女)
 山本つづみ[鼓座]:渡辺(在宅看護員)

・山田家
 小寺有紀[遊劇体]:山田綾(長女)

・田中家 
 石本径代    :本上春子(害虫駆除業者)
 大熊ねこ[遊劇体]:本上夏子(妹、同業)

・山本家 
 長谷川一馬[桃園会]:山本浩(夫、引っ越し中)、救護班4
 やましたとみよ  :山本裕子(妻)
 菱川裕子     :小島千景(浩の妹)
 
 安野公子[A級Missing Link]:男1
 山下真季:男2、救護班3
 藤原晴子:男3、救護班7
 
 芝本大吾[桃園会]  :強盗1
 天羽千夜子     :強盗2
 森田秀和[劇団片手間]:強盗3
 内田裕子      :強盗4
 三輪圭介:巡査1
 溝口直幸:巡査2
 上遠裕香:巡査3
 竹田飛鳥:巡査4
 城島里実:巡査5
 
 藤野節子[桃園会]:タイタス  (武将、市民から次皇帝に推薦される、が…)
 鷲尾裕子    :ラヴィニア (タイタスの娘、陵辱され父に殺される)
 足腰   [夢譚]:リューシアス(タイタスの息子、ラヴィニアの復讐を遂げる)
 涅鵺子  [夢譚]:マーカス  (タイタスの息子)
 熊崎さくら[クロムモリブデン]:カイロン(タイタスの息子)
 辻本佳史    :タモーラ  (ローマ皇后、元ゴート族の捕虜)
 花寉   [夢譚]:アーロン  (タモーラの愛人)
 児島愛     :ディミートリアス(タモーラの息子)
 川井直美[桃園会]:サターナイアス(ローマ皇帝)
 井本秀一    :乳母、救護班5
 
 志茂奈津子:救護班6
 光本通子 :救護班8
 塚本修  :アナウンサー