アンファン・テリブル「SOUL OF BROWN 〜SOUL OF COLORS 13」
＠六本木・キャラメル (1996/11/8-10 3ステージ）
全自由 前売り自由3000
作：前川麻子
出演：前川麻子、渡辺杉枝 ＤＪ：星野正志
1996/11/10(日)曇り 7:40-8:40PM 前方より 客席６割(25人？）
客層：男性過半数。学生、おやじや、女の子同士とかも。
客入れ：受付のお兄さんはいつもハキハキ、礼儀正しくて気持ちいい。ライブハ
ウス。好きな席座って、星野さんのかけるあれこれ気持ちいい曲聴いて
、ビール飲むねこ。なんか眠くなっちゃった。
岡崎京子の世界をモチーフ、、ＤＪ星野の音楽もイカシタ、二人芝居シリーズ。
今回は元・夢の遊眠社、渡辺杉枝さんと。昔、前川さんの芝居で主役してました。
すらりとした立ち姿、たおやかな感じ。１２月からの資生堂のＣＦに出るそう。
舞台。テーブルと二脚の椅子。赤のチェックのテーブルクロス、圧力鍋、じゃが
いも、パン、ブイヨン、スパイス、スープ皿とワイン。
幸せそうにシチューの下ごしらえをする、臨月の女性（渡辺）。すみでぼーと
してる女性（前川）に、手伝ってと声掛け、出ていく。気分が悪いのか、けだるそな、
呼ばれた彼女。じゃがいもの皮を一つずつ剥き、鍋にいれていく。シチューが
煮えるまで、たばこやワイン。と電話を。その会話で、彼女が昼間に中絶手術
を受けたことがわかる。体よりも心の痛み、女の痛みは男のあなたにはわからない。
だから、その分、２倍あなたは傷ついてると思う。電話を切り、またぼー、ワイン、
そして小さく嗚咽する彼女。暗転。音楽。臨月の女性は壁にもたれ、彼女を
みながら語り始める。自分が駅の階段から落ち、死んじゃったらしいことを
月が満ちるように、子供を育てていたのに。ごめんねと繰り返し謝って。
暗転。テーブルに二人。渡辺・母と前川・娘。母は娘にプレゼント。誕生日？。
シチューも煮えた、美味しく頂こう。 最後は子を亡くした二人の夢の共鳴？
みたいな場面かしらん。
この劇の半分以上を占める、前川さん一人の場面。音楽なし、台詞ほとんどなし。
音は圧力鍋のかすかな音だけ。お客には彼女の事情はわからない。でも、うつろ
な瞳や仕草、全身から悲しみが伝わってくる。前川さんの存在感はすごい。
いまさらだけど。ホントに巧い役者さん。人が内省するのって、一人で静かにしてる
ときが多い。そんな人の思いが一番現れてる時を、芝居ではちらりと覗かせるだ
けって多いような。この芝居では、生のまま描かれてて、心にしみる。晩秋に
シチューなんて、お膳立てがあるとなおさら。
悲しいときは食欲がないのに、料理がしたくなったりする。居もしないのに、
二人分つくったりする。ホントに悲しんだ後は、お腹がすく。暖かい食事をとると
、満ちてくるように元気がでてくる。人のやる事って、おかしくて、いいように
できてると思うねこ。
芝居のシチューは、渡辺さんのレシピとのこと。マジで旨そう。劇中、腹が鳴っ
たねこ。残った人達はお裾分けもらったのかしら。
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