I.Q150（アイキューいちごーまる）「夜交花〜やこうばな」 <大世紀末演劇展>
＠駒場東大前・こまばアゴラ劇場 (1999/2/9-11 3ステージ）
全自由前売り3000当日3300
作・演出：丹野久美子 音楽：只野辰也 演出助手：菅原香織 照明：村井澄江
音響：竹村公一 美術：立花イサム 衣装・小道具：高橋文子
舞台監督：大場Ｑ太郎 宣伝美術：西澤由美子 制作：高橋円ほか
出演：
西澤由美子：（石井：マンションにひとりずまい。人嫌い。バツイチ。）
茅根 利安：（浅野：交配するサボテンをもってきた花屋。バツイチ。）
1999/2/10(水)くもり 7:40-8:40PM(1'00) 前方より 客席８割(60人)
客層：老若男女、幅広く。女性過半数。
客入れ：誘導常駐。役者が上手側を向くからと上手依りに座るように誘導。親切。
物販。台本、劇中曲カセットなど。いつものように終演後劇場内で飲み会あり。
仙台の老舗劇団I.Q150。物語性ある作品や、リアリズム飲み会エンゲキ「女ともだ
ち」で知られた丹野久美子、初の男女２人芝居とのこと。
舞台。黒基調のモノクローム・リビング。中央、島型の細長黒テーブル。グレーの
カーペット。煤けた色のフローリング。周囲にサボテンの小鉢植え１５、対角に背
の高いの２つ。
お話。夜。１人住まいの女性のもと、花が咲いたサボテンをもった男が訪ねてくる
男は花屋、女はお得意様。短命なサボテンの花が今夜満開、その交配にきたのだ。
時を待つ間、話し下手な２人は不器用に言葉を交わして行く。やがて、それぞれの
過去を語り出す。人と話すことが苦痛、言葉への不信を告白する女、巧く会話を
交わせず誤解されるという男。ぎこちなくも思いがけなくも多くを話しながら2人は
過し、頃合の時間に。交配作業後、実を結んだ時のためと、サボテンの名前を
考える２人。なにもない別れ。でも女は自分の心にも、以前はなかった希望の種が
落とされたことを感じるのだった。
香気を感じるほど、濃い会話劇。懸命に生きる男女の交感を、すれ違いに差し出す
手のように、想い届けようと必死に交わす会話に浮かばせる。刹那の切なさに心感
じるねこ。ほとんど座ったきりで動かない2人は不器用を絵に描いたよう。それで
いて、激しい心の動きを見事に表した役者と演出◎。ぎこちなさで笑いをとる場面
いくつかはサービス？。もっとナチュラルにしても、と思うとこはあり。
刺付きのサボテンは、傷つけられてきた人嫌いな女性の心の鎧。サボテンの交配は
慎ましくも心根優しい男女のふれあい。堅苦しげなやり取りの後、美しく柔らかな
花の交配場面のイメージ、メタファーの和らぎにしみじみねこ。ラストの只野さん
の音楽もあわせて、ホンとにあまやかな香りが漂うかのようで◎。
役者。西澤さん。抑制した中も見て取れる痛み◎。茅根さん。西澤さんにちょっと
負けてる、つうか中途半端。負けるならもっと負けてほしいと思ったねこ。
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