Ｉ.Ｑ１５０「夢幻少女’９９」
＠駒場東大前 こまばアゴラ劇場 (2000/1/28-30 4ステージ)
全自由 前売 3,000円 当日3,300円
作・演出：丹野久美子 音楽：只野展也 舞台監督：大場Ｑ太郎
演出助手：菅原香織 舞台美術：立花勇 照明：村井澄江 音響：竹村公一
衣装・小道具：高橋文子 制作：高橋円 星川律子 宣伝美術：西澤由美子
出演：
丹野久美子：由恵（21才で自死した女優）
茅根利安 ：祐一（由恵の年の離れた恋人。劇団座付き作家？）
寺島 広 ：アキラ（最近売れ出している若手劇団員）
鈴木尚子 ：ナオ （劇団女優、アキラの恋人）
西澤由美子：松島ユミコ（気位が高い劇団女優）
井伏銀太郎：ジミー青銅（ユミコの奴隷劇団員）
丹野久美子：タンノ （劇団主宰、女優）
ら ：マサオ（まじめなれどぱっとしない劇団員）
佐々木卓 ：ササキさん（放浪癖がある劇団員）
ゆうすけ ：ユースケ、高橋史生：フミオ、 白鳥英一 ：トリ、
伊藤広重 ：ヒロエ、 目黒初美：メグロ、 min min ：ミンミン、
江目ひとみ：ヒトミ、 鈴木博美：ヒロミ、 高橋和子 ：カズコ
松井 彩 ：アヤ、 七海愛 ：アイ、 永島りんご：ロージー、
大河内大 ：ダイ、 菅原香織：スカ、
星川麻衣 ：少女
2000/1/28(金)晴れ 7:35-9:35pm(2'00) 前方より 客席８割(60人？）
客層：20-30才代中心の幅広い年齢層。男女半々
客入れ：ぽちぽちと埋まる客席。場内でビール(300円)、ジュース(150円)を販売。
誘導は随時あり。荷物預かりもキチンと（場内でもうけてくれるとさらに○。）
折り込みはビラ状、配役、スタッフのリストとPR掲載。終演後、すぐさま酒宴あり
13年前、自殺した劇団員の追悼として生まれ、毎年12月に上演を続ける作品。
６年前の東京公演の際、平田オリザよりもう追悼という意味だけなく、の助言。
それをきっかけに新生、変化。なお、東京での公演はこの再演で最後とのこと。
舞台。黒一色。上手にノートＰＣとダイヤル式黒電話。正面、上手一段上がって
玄関ドア。下手、奥に収納庫な開口。両袖の壁に衝立を列べ。
お話。二度の無言電話が胸騒ぎになった夜。劇団女優・ＱＰ由恵は自ら逝って
しまった。毎年の冬、彼女を思いだしながら、じたばたと懸命に劇団を続けている
私達。あの頃の子供ぽい由恵と年上の劇団員の不器用な恋。私をここにいる、
私をずっとみてほしい、一人壊れていった由恵の孤独な叫び。重ねる今にあり、
すれ違う恋人な劇団員の苦しみ。追想と今に生きる人の再生の物語。
丹野さんは変わらず、元気、覇気あり。スタイリッシュはいらんとばかり、バタ臭さ
を感じるほどにばんばんと。生々しく、喧しい稽古場模様。どかちんミュージカル
で大騒ぎ。８０年代少女マンガしてる、ナイーブなモノローグ。妖精、女神に姿を
変えたコロスは恋の憧れ、独占欲を残酷に告白。酒と煙草で、シニカルに一息
一言。幻想的な音楽。赤裸々な割せりふと歌詞。叫び吠え踊り狂う、健気な女達の
ダンス。とかとか。
あふるる哀切で愛すべき人の思い。ちともらい泣きしちゃったねこ。雑多で時に
（古風に）緩く、上すべっちゃう展開。そんな未整理な部分さえ、うなずけちゃう
ほどに素直な訴えかけあり。登場人物はジレンマを抱えながら孤独。男と女は隔た
った岸に立り、叫びあうも声は届かない。かわいい恋に憧れながら、独占愛の醜い
気持ちに戸惑い、孤独を深める由恵。仕事に追われる恋人、それ訳はわかっても
離れていることがどうにも得心できないナオ。物語は伝わらない彼女らの思いを
繊細に時に大胆に紡いでいく。逝った由恵の願いを今のナオに成就させ、由恵に
新しい物語を与えるラストは、哀しくも優しい。
くじけそうな少女な心、センチばかりはしてらんない現実、その狭間でオンザ・
ロックで嘆息、休息、時に憤懣を絶叫。健気に大人、懸命に生きてる姿に愛情ねこ
カーテンコールで突然にぼろぼろ泣き出した、丹野さん。思い入れ深い作品と劇場
の再会にこみ上げるものがあったよう。劇中人物そのままに愛すべき、かわいい人
なり。
役者。その丹野さん。女優の面目躍如。可憐少女、男勝りの（やさぐれは失礼か）
劇団主宰者をくるくる、もう化けまくり。西澤さん。完全サブキャラなれど、偉そうな
女王様姿が◎。もっとみたいけど、これは３月の「女ともだち５」までお預けなり。
全体、俳優間で演技力の差があるのが残念。今後に期待ねこ。
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