劇団Ugly duckling 「ひとよ一夜に１８片」
＠大阪 芸術創造館(2000/11/18-19 4ステージ)
劇場ＨＰ http://art-space.gr.jp/index.html
全自由 前売:1800円 当日:2000円 高校生:1500円(前売:当日共)
ペアチケット 3000円(前売のみ)
作：樋口美友喜 演出：池田祐佳理 舞台監督：乗光大順 音響：ヨシモトシンヤ
照明：三木照久 舞台美術プラン：柴田照久 舞台美術：濱本浩志、谷雅之
宣伝美術：uncle Scrooge 制作：五奉行、出井朋子ほか
出演：
吉川貴子 ：日世子（引きこもり少女）
中村隆一郎：時野 （日世子を探す同級生）
出口弥生 ：花嫁 （日世子の「根」に食らいつくもの）
池田祐佳理：忍（引きこもり少年）
樋口美友喜：刀（「根」を断ち切ろうと「ルート」を追うもの）
福井 愛 ：鈴鹿（短大生、「根学」フィールドワーク中）
植田宏美 ：神田（同上）
坂野多美 ：剣守（同上）
早川丈二[無所属]：源（「根学」専門の先生）
2000/11/19(日)晴 1:15-2:50PM(1'30) 中段より 客席８割（80人）
客層：20才代中心、ときどき親類縁者な中年層。男女半々、二人連れ以上多し。
客入れ：受付や案内親切。駅から15分と掛かるためか、開演15分押し。折り込み
パンフＢ５ ８Ｐ、半分広告なのが小劇場らしい。作家、演出家の挨拶が読める
のは嬉しいところ。どっちも１人遊びが隙だったとか、なるほろと思うねこ。
写真付き配役は親切。物販。前回公演戯曲を掲載した雑誌。
ＯＭＳ戯曲賞ノミネート常連、今年遂に大賞受賞の樋口美友喜・主宰。９６年旗揚げ
の２０才代女性のみ劇団。密やかなチラシも以前から気になってて、やっと初見ねこ。
(本作品で、第八回ＯＭＳ戯曲賞受賞(2001年 1999年に続いての連続受賞))
舞台。中央門アーチに安全第一とある、解体中の家現場。巡らすキャンバス布壁は
とこどこ風穴、細い角材の柱は脆弱。上手、グリーンの四角い鳥かごな部屋、下手
同様に小部屋。中央正面、門アーチの向こうにコンクリート壁一部。床は雨風に
晒され、下に現場なシートを覗かせ。客入れと冒頭、場違いにこぎれいなテーブル
クロス、にはごちそうとワイン。
お話。17歳の引きこもり少女・日世子の企ては世間を断ち切り、清々となること。
成功？、でも、自分の「根」に喰らいつく存在「花嫁」に気付き愕然。√２＝永遠
に続く数字のよう、無限の世界を内なる「ルート」に延ばしていたことを察知され
たのか！？。ネット教育で他者と繋がってから？。と悩みまくり。
そんな日世子を探す同級生・時世。もてるものがない、電グル「ＮＯ」してる彼。
啓発セミナーにかようも、騙されきれる愚かさももちえない不幸。消息不明の
日世子を探す内に、不明な場所へ。自分に嫌気がまたさした頃、喰らいつく存在
「花嫁」に半身な靴な「根」を盗られてしまう。自問自答、なぜ日世子を探すのか
、自分より「世間的に下」日奈子の存在に救われる、その浅ましさ故か。
そんな煮え切らない彼と偶然出会ったのは、「根学」を学ぶ学者と学生達。人が
先か、根が先か、そもそも人の根とはなにか。彼らは「ルート」を発見、「根」を
追って、時世と行動をともにすることに。
日世子と繋がっていたのは、災禍多きこの世から避難中の引きこもり17歳少年忍。
彼の分身な「刀」は「花嫁」と結託。「ルート」をまる喰らい、「根」を断ち切ろ
うとする。正義のためと称し、満腹感も達成感も得られないままに。
再会の「花嫁」は、時世に相談を持ちかける、「花嫁」の役を替わってほしいと。
「花嫁行列」をやめるわけにはいかない、でも自分はいや。「花嫁」が死ぬとき、
世界は変わり明日がやってくるという。？？顔の時世。しかし、瀬戸際で身代わり
をやめ、人身御供となる花嫁。それは繰り返されてきた虐げられた女性の歴史なの
だろうか。地中からは花嫁の顔のような、タペストリーが「発掘」される。
やっとこ到達。時世は日世子の部屋をノック、折しも彼女は自らの「根」を断ち
切ろうとナイフを片手。時世はなにもできない、ただ引き留めようと抱きしめる
だけ。「花嫁」は「狐」の嫁入りならず、野犬となる。街には野犬の群れ、その
遠吠えは淋しく、虚空に響いていく。
骨太で劇的、物語る演劇の系譜。女性らしく、丁寧で細やかな本。ユニゾン台詞ら
スタイル含めて、年齢不詳に懐かしげなアングラの香り。でも内省の苦しみは、
若い世代のそれが描かれ。メタファー前面にいくつも絡まる物語、は一見ではちと
難かしい。個々人な「根」に繋がろうとする、醜い現実？な「刀」。煽られむしろ
犠牲者となるもの「花嫁」。かしらん、うーん。
幼く危い登場人物の様は今を生きる若者の苦しみを映して、痛く胸迫る。「花嫁」
の犠牲の連鎖を縦軸にして、歴史に物語広げる。個々にこだわり、ちょっと欲張り
すぎ？。「ルート」を追う物語全体がよく見えなく、得体知れない「根」の不明が
よく感じられなくて、こまったねこ。
役者。池田、樋口さん(ペア？）。押し出し強い演技で印象。
［月間一覧］
|