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 innerchild vol.4「PANGEA」

 @中野 ザ・ポケット (2001/1/31-2/4 7ステージ)
 全自由 前売2,500円 当日2,800円

 作・演出:小手伸也 舞台監督:筒井昭善、田中里美 照明:伊藤孝
 音響:尾林真理 映像:神戸ちぎ 衣装:渡辺まり[BQMAP ] 小道具:桜井徹
 メイク:荻原麻弥 舞台美術プラン:大友楽
 宣伝美術:土谷朋子[エレクトラ・オーバードライブ]
 演出補佐:藤田涼 制作:菊岡理紗
 出演:
 新谷真弓 [ナイロン100℃] :大神みさき(多重人格障の女性)
 古澤龍児[innerchild]     :島森和実(心理療法カウンセラー)
 小手伸也 [innerchild]     :北条

 菊岡理紗[innerchild]   :大きな海(パンタラッサ)
 小村裕次郎[猫ニャー] :アルフレッド・ウェゲナー
 安元有加[指輪ホテル] :EVA(イヴ)
 牧山祐[東京オレンジ] :思兼(オモイカネ)
 山之内菜穂子      :竜神
 土屋雄[innerchild]    :手力雄(タヂカラオ)

 間崎愛美         :細女(ウズメ)
 寺部智英[拙者ムニエル]:僕(ボク)
 林聖子           :無い(ナイ)

 前田宏[くろいぬパレード]:山田
 淺川リサ          :片瀬(島森の上司)
 辻脩人[動物電気]    :鳶(トンビ)

 2001/2/2(金]晴れ 7:35-9:35(2'00) 中段より 客席超満員(200人)
 客層:20才代前半中心、男女半々。スーツ客結構、おばさんちらほら。
 客入れ:当日券不明、階段座布団席20人強。一段に二人とちと狭し。開場は
 整列誘導して、なるも早い時間にはあまり客が集まらない平日なり。アンケートは
 ボードと鉛筆付きで書きやすく○。折り込みパンフ。作品背景、挨拶、配役、
 役者の予定掲載。物販なし。
 
 イケテル暴れん坊役者・小手伸也ト。外面とはうって変わり、自身ユニットでは
 内省的作品をかける。今回は「解離性同一性傷害」のケアを取り上げ。プレート
 テクトニクス的に活性である地球になぞらえて、描いてく。

 舞台。浜辺なのか、砂原。頭だけを覗かせ埋もれた鳥居。後方に森の緑。上手下手
 に木々の開口。開けた中央正面にみえない海原を望む設定。

 お話。その島に取り残されている女性(新谷)。救助にきたという男の前に咎め
 立てする男、不信がる「住人」。男は島森、心理療法カウンセラー、女性・大神は
 多重人格。住民はそれぞれにそれ。最新の医療は患者の心の中に直接入り込むこと
 ができるのだ。直りたいという意志を確認するため、住人に人格統合同意の契約書
 を差し出す島森。同意する彼らの追加条件、それはある男「山田」の人格抹消
 だった。

 心傷と癒し、涙誘われの真摯な姿。丁寧に造り込まれ、以前に比べ、充実。
 でも、ちと不器用な作劇が惜しいねこ。多重人格、サイコダイブの枯れたテーマ。
 入れ子?!なトリッキーな構成。なれど、既存の物語に耳年増には展開、顛末は
 みえがち。モチベーション低い患者の変化がラストの「意志」を活かす、
 なんだろうけど。前半〜中盤の過程が緩く思わせぶりにみえて損。
 
 多彩な役者たち。物語設定にのって、放し飼いにキャラ芝居。緊迫のシリアスさに
 箸休め的笑いを添えたりするけど、概ね表層どまり。個々深度も、そこにうしている
 訳ももっと描いてほしい、は贅沢な望みかしら。

 あぶり出される暗部、幼児虐待、ドメスティックバイオレンス。醜い今を背負った
 苦しみ、痛みをリアルに描き、胸迫る。患者とともに痛みを共有し、すべてを受け
 入れ癒すカウンセラー。その苦しみと尊さもまた。映像。いつもながら超小劇場
 演劇レベルでCGと実写コラージュ。投影サイズ小、コントラスト低で見えがたく、
 損してるのが惜しい。

 役者。女優が勝ってる舞台。新谷さん。ダイナミックレンジ大の演技◎。下司
 おやじから可憐少女まで幅広くして、要な存在感。山之内さん。さりげに女してて
 ○。小村さん。いつもどおり、すかした顔で笑い。辻さん。いつもどおり、飛び
 道具、違和感も潔し。
 
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