青山円形劇場プロデュース公演「室温〜夜の音楽〜」
＠渋谷・青山円形劇場(2001/7/5−21 20ステージ)
http://www.aoyama.org/
全指定 前売り5500円 当日5800円
作・演出：ケラリーノ・サンドロヴィッチ［ナイロン100℃］ 音楽：たま
舞台監督：福澤諭志+至福団 舞台美術：加藤ちか 衣裳：コブラ会
映像：典秀太郎［M−6］ 振付：長田奈鹿［ナイロン100℃］
歌唱清導：安沢千草［ナイロン100℃］、三ッ峰ひかり
照明：関口裕二［balance inc.］ 音響：水越佳一［モックサウンド］
演出助手：山田美紀［至福団］
宣伝美術：小林陽子［ハイウェイ グラフィックス］
制作：花澤理恵［シリーウォーク］
プロデューサー： 能祖将夫［こどもの城劇場事業本部］
主催：こどもの城 企画制作：こどもの城劇場事業本部、シリーウォーク
出演：
佐藤アツヒロ：間宮
中嶋朋子 ：キオリ
近藤芳正 ：下平(警官)
三宅弘城［ナイロン100℃］：木村(タクシーの運転手)
内田紳一郎 ：海老沢十三
村岡希美［ナイロン100℃］：赤井
石川浩司［たま］：老人
知久寿焼［たま］：少年
滝本晃司［たま］：ヴァーニャ
北野仁、佐々木光弘、佐藤剛成、戸田正範、中西広和、日栄洋祐
小桜エツ子、かないみか：声
2001/7/15(日)猛暑 2:05-4:40pm(70/休10/75) 背景正面より 客席満員(350人)
客層：20-30才代女性7,8割。トイレは長蛇の列(他の階へいくのが○。)
客入れ：当日券早々に売り切れ模様(詳細不明）。客席までの階段はスロープ化
してるので足下注意。折り込みパンフ。配役、スタッフ、予定掲載。物販。
パンフ(A4 ハードカバー1800円)。カラー頁多数の豪華仕立て。平田オリザ、
中西理のケラ作品について寄稿あり。ほか、ビデオなど多数。ちなみ、今回は
女優・松永玲子さんが売り子として参加。
ケラ初のまじホラーとか。多彩な外部役者をまじえての今回。
舞台。1ブロックに装置をおいて、ほぼ完全円形。客席後方、左右の壁には大スク
リーンが吊られ。中央八角形のフローリング床。真ん中にやはり八角形の中国
してるテーブル。正面奥に優美な曲線を描く二人掛けソファ。いずれもアンティーク
そのまま背後に崖っぷちにあるような町並み装置。手前に小舞台。長屋のように
また上方に重なって、夢の風景のよう。煙突からは高く煙、電信柱には広告、
崖には網が下げられて、海が近いことが知られ。会場に入ると、線香の香り。
お話。怪異現象のルポライター先生は、妻と別れ、娘と二人暮らし。入り浸る巡査、
実は娘と不倫中。彼女は今日はつれないが、貢ぎ金はしぶしぶ承知。訪ねてくる
ファン。思い出される辛い記憶。少年達に双子な娘の片方を惨殺されたのだ。その
少年の一人が刑期を終えて出所。先生に謝罪しに訪ねてくる。そこから、事の真相
がしだい明らかに。そして、それぞれが隠していた殺人事実が浮かび上がってくる。
憎しみの絶えることがない連鎖、殺し合い。見えない死者がみえ、苦痛に悶絶する
人々。後は、勝利者がいない死のみ。
幻想もナンセンスもない、リアルな恐怖。ホラーでもサスペンスでもない、サイコ
もの。スズカツ＠zazousに演出させたいほどのハードボイルド。シリアス一貫に
ときどき笑いあれど、違和感なほど。ケラの才能がよくわかる異色作品。
普通な人々が土壺にはまり、果てに殺人。タガがはずれれば、坂を転げるように
簡単な人殺し。日常と同居中。まじ怖いですねこ。陰惨なれど、決着がつくラストは
むしろ救い。長目なれど、引っ張る伏線に謎めき、飽きさせず。ありきたミステリと
違い犯人、動機がわからないから。闇を従えた照明に趣、七色の彩りがアクセント。
たま音楽、生参加。酷い現実、浮遊する想いをファニーな歌に乗せて、いい感じ。
でも、笑いと一緒で、硬質なこの舞台には違和感。ちょっともったいないと思うねこ。
役者。中嶋さん。持ち前の神経症な表情、痛々しい有様○。作品なポイント演技。
近藤さん。日常顔で狂うラスト。抑制と衝動をクールにコントロールしてて巧し。
三宅さん。バカ爆発で箸休め的ムードメーカー。それだけの脇役に終わらない、
酷いラストでバカ哀しさ醸し、明暗とも好演。佐藤さん。まんまの素直な演出演技。
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