羊団「Jericho エリコ」
＠大阪長堀橋・ウイングフィールド(1998/3/10-15 8ステ)
全自由前売り2800当日3000
作：松田正隆 演出：水沼健 照明：吉本有輝子 音響：堂岡俊弘
公演ＨＰ http://www2.tky.3web.ne.jp/~matsuk/hitsujidan/
出演：幹ジュンコ（内田淳子改め）、金替康博
1998/3/15(日)晴れ 1:00-2:00PM 最前列から 客席８割(60人）
客層：20才代中心。男女半々。客入れ：整理番号付きなるも、成り行きでぼつぼつ
入場。よくわからない客入れ。ゆったりと埋まる客席。特に誘導なし。鳴りもの停
止と舞台の砂埃注意あり（なるも、心配することもなし。）
チラシの幹さんの美しさ＋松田正隆・新作ということで、観に行ったねこ。
時空劇場（ねこ未見。今世紀最大残念なことの一つ）解散から１年たっての企画。
幹、金替、水沼の三人が、未年生まれを由来とした劇団名とのこと。Jericho
エリ
コ、ジェリコは、死海の北にあるパレスチナ最古の都市。
舞台。風の波紋がある砂原。乾いた岩石質の。下手に石柱２本、刻み模様あり。
その間に椅子な箱。奧に石を組んだ入口、外からの明かりが射すのが見える。
お話。女（幹）は砂原に倒れている男（金替）に、ジェリコへの道を尋ねる。自分
はポーランド人、妹が待っていると。怪我のためしゃべれない男、を治療しながら
女がする身の上話。家を出、イスラエルまで出奔した妹と家族の確執。自分と
死ん
だ夫とのこと。いつのまにか、会話は死んだ亭主とのものに。浮気し、子をなした
嫉妬と憎悪をたたきつける女。要領を得ず、とぼける男。やがて、女は病苦から
死を願った亭主を殺したことを思い出す。そして浮気相手に押しつけられた子供
（実子？）もないがしろにして・・。と暗転。ベルの音。教会での説教テープ。舞台は
ある男の部屋。そこに件の女の妹。ジェリコを追い出され、エルサレムに向かうと
ころという。消息不明の姉のことを尋ねるが、知らぬと返答。ふとした弾みで開いた
、その家のトランクには姉の夫の写真が。問いただす妹を、男はまゆひとつ
動かさず、ナイフで刺す。シオニズム？な導きの言葉を、声高く唱える男。血を満た
し
たグラスを飲み干し、傍らの床には断末魔の女が。
凄い５７分。緊張感の持続が心地よし。含蓄、謎多し。面白いけど、難しい。前半
の幹さん、夜叉のごとし。憎悪が募り、激するほどに、表情は失せ能面化、目だけ
は刃物な冷たい輝きを増してゆく。美しくも恐し。と一転、優しげな微笑みをもって、
しかし言葉は冷徹。天使みたいな悪魔なり。魅入られねこ。死んだ男との世界を
創ること自体、未練な愛情あってのこと。憎んでもそれだけじゃない、複雑曖昧な
人の姿を描いてみせ◎。
後半、さまざまなことが浮かぶ。妹をナイフで刺す男はサイコパスのよう。死を
もって救済？な狂った所行。自分の神の身元に正当な、よくわかんない勝手行為。
その背後に、ジェリコなどパレスチナ自治区の歴史、シオニズムの旗印のもとの
戦争
がかいま見えるよう。この辺のメタファーは何か、知見なく、？ねこ。憎悪、復讐
、理性を越えた衝動。それらを誘起させる軋轢の連鎖が全体あり。得体が知れない
怖さがある舞台なり。
役者。金替さん。淡々と無表情に、明後日の１点に集中したような、真摯な演技◎
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