Ｆｕらっぷ斜 Vol.27「植物のための組曲冬の居場所」
＠西荻窪 WENZスタジオ (2000/4/7-9 5ステージ)
全自由 前売り2,500円 当日2,800円
構成・演出：吉岡友治 美術：長苔眞砂子 照明：葛生英之 作曲：中原達彦
音響：石神 保 音響操作：中田摩利子
出演：
相原マモル：土になりたい女。
阿左見真紀：穴に住むことに焦がれている、実在しない猫を探す女。
橋本昌博 ：木や花と友達になりたい、と願っている若い男。
西村 真 ：背広でリーマン風。ポケット瓶から酒を飲みながら、憂い顔の男。
笑緒真利亜：リストラでプー、おっとりした女。お茶会したり、暇つぶしの日々。
鈴木晴美 ：張りつめていたい、世の中を見透かしちゃてる女。
堀江 勉 ：公園で他人には見えないコンサートをしたりのホームレスの男。
田野朝与 ：携帯で会話好きの若い女。適当にダイヤル、相手はだれでもいい。
川嶋泰士 ：中年リーマン。喋らないと不安、女性からいつも疎まれている気がする。 お話ごと配役 相原 阿佐見 橋本 西村 笑緒 鈴木 堀江 田野 川嶋
１浮遊する人々 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
２穴をめぐっての対話 ○ ○
３ハクモクレンの悲劇 ○ ○ ○ ○ ○
４公園のヴァイオリニスト ○ ○
５善人の集まる庭 ○ ○ ○ ○
６すいません… ○ ○
７Wood Cutter ○ ○
８狂い咲きのひまわり ○ ○ ○ ○ ○
2000/4/7(金）晴れ 7:35-8:35PM(2'00) 正面前方より 客席９割(80人）
客層：渋い老若男女、大人より。中年〜初老の方、平日公演にスーツ客も結構。
客入れ：入口から適時誘導あり。荷物預かり不明。全パイプ椅子を階段状に配置。
中央舞台にコの字に３ブロック配置。穴がある正面のが○と思うけどどうかな。
折り込みパンフ。作劇意図まで書いたあいさつ。配役、役者が説明する各役柄。
次回公演は未定とのこと。物販なし。
内省な作家作品をモチーフに、パフォーマンス、芝居、音楽やら種々手法で表現。
短いオムニバス形式で綴るＦｕらっぷ斜。５年ぶり観劇ねこ。今回は劇団にとって
も久々の公演とか。相変わらず、マイペースにやってるよう。
舞台、会場。コンクリート打ち放しのフラットスペース。中央に本物の茶土を
もった庭な舞台。手前上手に浅く地面を穿った穴。下手、剪定され、低い潅木。
その奧に打ち捨てられた椅子４。剪定され切られた枝は下手客席、上手奧で小山。
天井には、枝が一固まり吊され。全体照明は梢から光射すな薄暗がりでムーディ。
お話。打ち捨てられたような庭に立ち寄る人々。一貫したストーリーはなく、事柄
より、人でどこか連なった進行。各挿話詳細は下記参照。
独特、濃密な人間（キャラ）描写。その場をしっかり醸す美術やらスタッフワーク
とても引き込まれる舞台。ほどよい緊張感が気持ちよくもあるねこ。庭に行き交う
人々は、どこかしら奇妙。土に躊躇なく寝ころぶ女、なぜか同調するリーマン。
自称・木と話しできる青年、そのマジ顔の物言いに困る中年。空想のお茶会をする
女、どう思ってか、お相伴する若い女性。とち狂った所行は不思議に共鳴、また
常識に反発のムードを醸す。交わらないが、協調しようとする処に種々のドラマ
発生。なんかブラウン運動の観察、不可思議な風景画を見てる気分で面白いねこ。
全体演劇的に実験。白日夢をみるような進行や仕掛け（「善人…」で全てまやかし
だったこと）とか。でも難解なことはなし。くっきりしたキャラと平易な言葉が
「わかりにくいこと」を分かり易く描いて親切。この辺はいつも感心ねこ。
不安や絶望感は終始、そこにこそ人間味あり。ユーモアを添付して独特の浮遊感
を醸し、沈ませず。また一つ処に結論立てず、とりどりを認める視点に好感ねこ
役者。丁寧な演技で作品に応え。初日のせいか台詞廻しに不安あれど、雰囲気を
壊すことはなし。自分に思いを抱く男に「他人のためにできることはない」と
応え。そう醒めてみることに疲れてる風の女役、鈴木晴美。昔から奇妙な存在感
あって好きねこ。
あらすじ
１浮遊する人々
さまざまに憂い顔で行き交う人々。１人、中年男は探し人と接近するが叶わず。
２穴をめぐっての対話
女１人残り、穿った穴に横たわる。それに咎める女が登場、が横たわる女のほうを
見ようとはしない。でようとは思わない、でられないと言葉が行き交い。
３ハクモクレンの悲劇
木とスキンシップする男。地面に横たわっていた女は男に話しかけ。かわいい顔
して、皮肉な物言いで。ウィスキーのポケット瓶を呑みながら、リーマン風背広
男登場。女はリーマンに花を１万で売り。なぜ好意に値段がつけられるのかと、
咎めるスキンシップ男。頭上にあるという花をとり、髪に刺す女。リーマンにも
勧め。リーマンはネパールに咲くという、マグノリアを想う。女とリーマンは靴
を脱いで、地面に横たわる。女はリーマン男の胸にウィスキー掛け（花のように
なお、ウィスキーは本物）。スケッチブックを抱えた女が通りかかってスケッチ
また、一同を写真に撮る。
４公園のヴァイオリニスト
厚底靴の若い女がケータイしながら庭へ。無造作に電話を掛けてはタメ口。切ら
れても、次々とまた掛ける。庭に怪しい男・ホームレス？が。小枝を組んでヴァ
イオリンにして引きマネ、口で演奏。女に演奏中の携帯やめてと注意。女は身も
蓋もない応対しながらも、それなりお相手。２人が捌けて、３人男が穴を埋める。
５善人の集まる庭
椅子を四脚丸くならべて、庭でお茶会設定。和服の女にお茶に誘われるケータイ
女。なんか石畳がループしてて行き着かない？。ハーブの名前で凸凹やりとり。
トイレ臭い＞それは「うこん」＞えっ！？「う○こ」？？、とか。頭上に果実を
もいでいく２人。パッションフルーツ、柿、バナナ、パイナップル、なんでも
あり。そこに探しものする女。聞けば、猫をという。探す女の保護者男は、猫
なんて最初からいないんだ、の言葉をそりゃ迷子だからねと勘違いする一同。
猫は女性の空想の産物だったのだ。お茶会していた２人はお気の毒なと、保護者
男に同情。
落ちついている３人に、猫を探す当人はなぜ私だけ探している！と理不尽な訴え、
喧嘩ごし。ケータイ女は自分家の余った猫を上げようかと、火に油な応え。その
言葉に、どこにお茶がある、頭おかしいと切り返す、探す女。保護者男は、女性
２人で遊んで居るんだからと窘め。探す女、さらに怒りまくり。つき合えないと
出ていってしまう。残って遊びを続けようとするケータイ女に、和服女は帰って
くれと棘のある物言い。
６すいません…
スケッチブックを抱えた女を、中年リーマンが呼び止め。プールで見かけたとか
なにかと女性の体を気遣う男。健康茶を上げたりとか。終いにコートを脱いだら
中は白衣。整体マッサージ見習い。教えて上げるとあれこれ、親密になりました
ね。その言葉に後ずさるスケッチブック女。なぜ、と男。実はと好意をもって
いることを告白。気遣いの言葉を一方的に押しつける男に、スケッチブック女は
醒めた言葉を返す。男はなぜ疎まれるのかわからない。
７Wood Cutter
木とスキンシップ男、コミュニケーション中。ホームレスは訝しげ。スキンシッ
プ男の青春してる発言に、ホームレスはシニカルに助言。
８狂い咲きのひまわり
庭にベンチ。スケッチブック女とお茶女はおっとりとおしゃべり中。そこに近所
のスーパーに勤める中年リーマンがこんにちわ。あれこれとおしゃべりなリーマ
ン、１人上手に地球に優しい食べ物とうんちく。お茶女らは、美味しければいい
とさらりと。そこにNO.2の文句いい女がふらり登場、地面にのたうち、望み叶え
中。戸惑う周囲、とりわけリーマン。スケッチブック女はなにやら心当たりが
あるのか、静観続け。木とスキンシップ男はさらに心配げに見守り。あれこれ
言動に意味づけしようとするリーマンを最低と言下に決めつけるスキンシップ男
リーマンしょんぼり。庭にあった、ひまわりを幻視する？、土になりたい女と
スキンシップ男。見えないものが見える２人にリーマン困りまくり、無視されて
傷つき。意味を追うのさえ、虚しくなって。
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