ポツドールvol.5 「騎士（ないと）クラブ」
＠大塚 ジェルスホール(2000/7/13-16 7ステージ)
全自由 前売1,500円 当日1,800円
作・演出：三浦大輔 照明：九頭竜ちあき 音響：内山一貴 舞台美術：田中敏
演出助手：安藤玉恵 映像：上田啓嗣 映像幕：海老原聡 小道具：溝口美帆ほか
宣伝美術：三浦大輔 舞台監督：松嵜耕治 制作：萩野智子ほか
出演：カタカナは映画中役名
角清人 ：ノムラ（工員、クラブ提唱者、盗撮相手に入れ込み退職）／ピンク映画監督
小林康浩 ：ビトウ（工員、いつも裸の人、先輩格） ／売れっ子ＡＶ男優
糸田淳一 ：カネコ（工員、無精ひげの人） ／一応映画俳優
野平久志 ：トガシ（工員、無口、ユキコを暴行し連れ込む） ／脚本家
西園泰博 ：トマツ（工員、短気のヤンキー実は純情派） ／ドサ回り役者
岡雄一郎 ：アズマ（工員、パーマの人、新人） ／学生エキストラ
米村亮太郎 ：タケウチ（工員、インテリ入ってる新人） ／学生エキストラ
高多康一郎[RONNIE ROCKET] ：シバ（工員、やることやる人） ／プロデューサー
齋藤舞[INSTANT wife] ：ユキコ（盗撮相手、自称モデル）／新人女優
2000/7/16(日)晴れ 7:10-9:10PM(2'00) 前方から 客席ほぼ満員（80人?)
客層：20才代中心、ときどき家族関係。男性多め。最前列は男ばかり。
客入れ：荷物預かり積極的。場内誘導ときどきあり。折り込みパンフ。必要最低限
な内容。協力者多数。物販なし。
「カムカムミニキーナ」「オハムス」を輩出した早稲田大学演劇倶楽部（サークル）
出身者による、1996年旗揚げの劇団。初見。
舞台。雑然、ちらかりのアパート部屋。劇場に引っ越してきたのかなリアルな作り
込み。中央二段ベット（寮？）安型のダッチワイフがごろり。脇に段ボールや雑誌
が無造作に置かれ。上手、窓際にカラーボックス、その上２１型ＴＶ、ラジカセ
、ビデオカメラ。手前小タンス、床に電話。上手、手前流し台、空のペットボトル
が棚に置かれてたり、ゴミ箱兼用？。ここの雑誌とか雑然。奥に玄関ドア、なぜか
パステルのレリーフ壁の中はトイレとお風呂。ドアに大判のピンク映画ポスター、
はベット奥にもあり。客席側両袖にモニタ。冒頭、部屋の天井、横壁（換気扇の
中）など数カ所から、中の様子を移したライブ映像流し。
お話。ノムラの部屋にたわし工場工員達。だらだらと入り浸り。ビールとエロ本、
肴はどうでもいい話しとか。ピンサロで抜くかと割引券をとっての出がけ、偶然の
発見。向かい側のマンション、女性の着替え場面。おいおい、ととがめる気持ちも
スケベ心に圧されたか、いつしか盗撮定例会「騎士（ないと）倶楽部」。まあそう
いうセンスで。女性をユキコと命名、理想化しちゃって、よこしま純情思いこみ愛。
二週間、倶楽部１５回目、町で盗撮、女性のゴミ、学生証持ち込み。一ヶ月３０回目。
部屋の主・ノムラは会社を辞めて女性に入れ込み。呆れる周囲、ばかと自覚しつつ
、もうそれしか残されていないノムラ。友人タケウチちゃっかり盗聴成功。でかした
と乗りで喜ぶ彼らの耳にレイプ現場音。やばいよ、警察に、って自分らこそ犯罪
行為。おろおろしてる間に仲間のトガシがユキコ当人を連れ込み、一線越え。
このき○がい野郎が。当然顔でノムラ撮影開始。気がつくユキコに最初映画撮影、
改めて主演をお願いなどと、下手なごまかしする周囲。も、隠しきれない犯罪行為
を土下座で陳謝。ところがユキコ（偶然本名）はとんでもない女。盗撮承知、彼らを
見下して女王顔。理想とのギャップにノムラは切れ狂い。ユキコはそんなノムラに
酷い言葉を浴びせかけ。帰る彼女を捕まえるノムラ、連れ込み逆切れて復讐開始。
全員に脱がせて、陵辱命令。
第二部。お疲れ〜、あとは絡み撮りますから。と今までのはピンク映画撮影だった
よし。ひょうきんな裸男は大物ＡＶ男優、素の強面態度にもどってたりして。
ドキュメンタリー趣向、登場人物が工員だと、お客さんも感情移入しやすいかなと
とか。冒頭のカメラ映像はそんな撮り方。順調と思った撮影、も思わぬ障害発生。
ユキコ役の主演女優が脱衣を絶対拒否。おいおい、仕事でしょ、どんなつもりで
現場にきていると、らちが明かない彼女を説得する監督（ノムラ役）。脱ぎが
だめなら、なにができる＞なにもできないの一点張り。なだめすかし、打ち打擲も
聞き分けなし。女性の親（仕事知らず）に電話で了解を取ろうかとか。代わりに
フェ○チオ提案、男優通しで見本をみせても×とか。なんとか、オ○ニーで折り合った
けど、これも中途で停止。話し合い。わかった、じゃあ脱ぐか、優しさをみせるかと
最終選択をお願いする監督。後者、わかった。男優に根性焼き（火がついたたばこ
を体に押しつける）するから、傷跡を舐めてくれ。それが君の優しさだ。女性
半狂乱で拒絶、虚脱してついに脱ぐこと承知。絡み終了。体液各種（フェイク）を
顔面発射されてクランクアップ。お疲れと役者が帰って、監督、プロデューサー、
脚本家、そしてシャワーをと女優が残り。脚本家に監督告白。じつは全部やらせ。
ついでにいうと脚本のドラマ部分はつかわない、最後の拒絶された後だけと。
えー？やられたなあ。それはいいけど、女優がシャワーからあがってこない。覗けば
、そこは血の海、彼女はリストカット。の現場をとがめる二人の声も聞かず、監督は
カメラで舐めるように撮影開始して。暗転。
真摯につくりこんだ丁寧さ、追い込まれた役者のリアルな演技。まんまそのまんま
の生き地獄の迫力に客席圧倒の舞台。そんな人がそんな風にな、役作り○。
とりわけノムラとユキコ役が痛々しく、社会復帰が危ぶまれるほど。と、してもしょうが
ない心配するねこ。前半、男のばか哀しさを異様な状況に浮かばせ。犯罪としりつつ
、スケベと純情に揺れて流される、どうしようもなさをしっかり描いて○。後半、作品
と役者通しの壮絶バトル。Ｖ＆Ｒ作品（特異なAV）にも通じる心痛の凄み、過ぎて
和らぎ、などない交ぜの興味深さあり。
と素直顔で見応えあれど、演劇な嘘もまたおもしろし。映画とその撮影現場、輪を
かけてのどんでん返し。それらを舞台作品として仕掛けての幾重かのフェイク。
前半、リアルそうでいて、緩くておばからしい場面時々。いかにもＡＶな違和感。
後半、虚実ない交ぜの構図がリストカットラストまで？！、な胡散臭さ。とか。
どちらも、底に醒めた理性ある作劇、リアルな演技あればこそ生きる、嘘のおもし
ろさなり。反面、一見まんまに捉えられる損が懸念される弱点でもあり。ちょっと
外す、捻るなどがうまくできればますます○じゃないかしら。次回（は映画、その
次の舞台）に期待したいねこ。
役者。ユキコ役・齋藤舞さん。追い込んでも寸止め入って、全壊はしない。したたか
な逞しさがあって○。ラストの自死？！な不明もそれ故の面白さ。巧く器用な役者
さんの印象もあり。裸の先輩役・小林康浩さん。この人も器用。愛嬌あり、理性あり
といい感じ。
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