俳優座劇場プロデュースNo.54「ちりもつもれば 別役実の時間と空間PartⅥ」
＠六本木 俳優座劇場（2001/4/13-22 10ステージ)
全指定前売り当日とも5200円 （当日立ち見4700円）
17歳以下・グリーンチケット2600円 4/13,16ハーフプライスチケット2600円
作：別役 実 演出：岸田良二 美術：畑野一恵 照明：森脇清治
音響：深川定次 衣装：吉井千和 舞台監督：伊達一成 舞台総括：荒木眞人
企画制作：俳優座劇場
出演：
伊東達広［俳優座］ ：男１（失業を妻に隠すサラリーマン）
三谷 昇［演劇集団円］：男２（区の民生委員）
西本裕行［昴］ ：男３（「ちりもつもれば」の路上講演をする老人）
田村勝彦［文学座］ ：男４（近所の人、ごみの中身に詳しい）
水谷貞雄［民藝］ ：男５（近所のごみ管理人）
田原正治［演劇集団円］：男６（近所のごみ管理人）
佐々木睦［演劇集団円］：男７（区の係員）
楠 侑子[フリー 元かたつむりの会] ：女１（ごみ管理ボランティア）
田中由美子［文学座］：女２（恋人が蒸発、ふわふわした人）
2001/4/21（土）小雨 2:10-3:47PM(1’40) 最後尾より立ち見 客席超満員(400人)
客層：かなり高めの老若男女。女性7割。
客入れ：当日券。補助席＋本席で50枚ほど。開演30分前ですでに売り切れ。立ち見
10番台（立ち見は40人ほど）。誘導ほか適度にあり。折込パンフ。厚手B5 ６頁。
読み物たっぷりあり。顔写真と他者の役者紹介あり。物販なし。
９８年「いぬもあるけば」に続く、いろはかるたシリーズ第２弾。
舞台。砂色の硬そう地面。上手に向かいゆるい段々。下手にコンクリートの電信柱
１本。根元にゴミ捨て場なネットと半透明ビニール袋。背景は薄く曇りの青空のみ。
お話。不信なごみ袋。一体誰のもの？とごみ監視員は点検開始。民生員に連れられ
てきたじいさん・ごみについて路上講演希望、が疑われたり。見ただけで誰のごみ
か当てる怪しい近所おやじのがみても？。男に逃げられた・すがれる男ならだれ
でも○なお姉さん、別所で不法投棄のリストラサラリーマンまで疑われる、がはっ
きりせず。さてと包みを開いてみれば、人間の指が。
失踪した男のもの？、だれそれ？、いや病院からの不法投棄？、と当て推量。
そうこうしてる内に、そこはいつのまにか近所の唯一ごみ捨て場、ほとんど山状態
人体パーツもぞくぞく。実は監視員おばさん、は失踪した息子探索がためにのごみ
点検。もしや、息子ばらばら？、と紛れて行方しれずの部分が気になってしょうが
ない。どうも、女のすがれる男＝息子らしくもあるし。
と、近所で尊敬、ごみ研究家のじいさんが死去。遺言で死体はごみ捨て場に廃棄。
おいおいと咎める周囲に、でも「遺言」ですからねと民生員。じいさんが死んだ後
もごみが出されてた、押しいれから大量の血痕。もしや失踪男、失踪息子がじい
さんのところで？。息子の失踪のきっかけを話す監視員おばさん。妹が急死、臓器
はみな移植で取り去られた。それを聞いた後、息子はいなくなってしまったと。
じいさんの葬式（遺体の替わりにごみ袋を棺おけにつめた）に全身包帯の男がいた
、と聞いてもその場にとどまる女二人。真実を見たくないように。途方にくれる
夕暮れに、どかどかとごみの山は高くなってゆくのだった。
ぶん別もふん別もつかない不明。ありげに怖い題材を黒い笑いで描く、社会派題材
いつもように、肝心要をどこか忘れたすっとこどっこいな外観。不要なはずのごみ
が重大事項。人間本人よりごみの中身に関心。人体がでてきても、変だと自覚しな
がら、ごみの捨て方にまだこだわったり。現実ばなれ、とも言い切れないスレスレ
の怖さ。ごみ道？を極めた老人は、自らごみ化して即身成仏。シニカルでうひー
ねこ。交差する、失踪男・息子の徨う心、途方にくれる母の挿話は痛々しい。
医療進歩の人としての在りよう、尊厳みたいな、を問うて、ふーむねこ。
すかすかな間合い、無機質な空間とか、別役スタンダード演出な印象。でも、
ちょっと重たいのがもひとつ、スラップスティック頂戴、と希望ねこ。
役者。シリアス顔のすっとぼけ加減はさすが。三谷さんの軽い無責任さ加減○。
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