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 boku-makuhari01「阿佐ヶ谷に零れる」

 @阿佐ヶ谷駅北口 名曲喫茶ヴィオロン(2001/11/2-4 9,10 10ステージ)
 全自由 前売1000円(1ドリンク付)完全予約制

 作・演出:岩崎裕司[青年団] 衣装:榊原直美 宣伝美術:maturi
 企画・製作:boku-makuhari
 劇団HP:http://boku_makuhari.tripod.co.jp/

 出演:
 青山麻紀子[青年団]:林のぞみ(水曜と土曜の間借り人)
 和田江理子[青年団]:田原かなえ(のぞみの姉)
 大庭裕介[青年団] :田原(かなえの夫)
 じょじ伊東     :六本木(月曜と木曜の間借り人)の後輩
 西山竜一[無機王] :山本卓也(火曜と金曜の間借り人)
 川本裕之[KAKUTA] :池端実(卓也と共同で借りている)
 小林加奈子     :入交たまえ
 太田宏[青年団](声のみ):六本木

 2001/11/3(土)雨 5:35-6:50PM(1'15) カウンター正面より 客席7割(18人)
 客層:20才代女性7割。一人客半数。野郎は彼氏、ファン、役者。
 客入れ:阿佐ヶ谷駅北口・徒歩10分弱、地図なしでは行き着けない住宅地の小商店街。
 看板で遠目もわかる小さな喫茶店が会場。お向かいはお団子屋さん。カウンターで受付
 するよう、声かけあり。ドリンクはオーダーをとって終演後配布。誘導特になし。
 後方補助をいれて30席ほどでいっぱい。カウンターに正対するのと直交する席。開演
 中は離席不可。席の前後余裕がなく、荷物は膝の上に置くことになるので注意。
 カウンター背後の白い扉、トイレ(の中)が見える位置が○。折り込みパンフ。
 A4 三つ折り。挨拶、簡単な作品紹介、キャスト、予定掲載。次回公演。「僕の言葉
 に訳せない」日程、場所未定。物販なし。

 劇団青年団・岩崎裕司と小林加奈子の企画ユニット。阿佐ヶ谷の住宅地にある古風な
 名曲喫茶での公演。
 会場、セピア色の8坪ほど木造喫茶店。漆喰の壁、大きな黒い梁、天上からいくつか
 のランプ。蓄音機のラッパがそこここ。小さな机に本や小物、レコードが詰まれ。
 入口脇に停まった柱時計、壁にポストカードやチラシ。長手方向左手中央にカウンター
 、上の棚に真空管、古びたシャーシに整然と立てられ沢山。マッチ、アンティークな
 アイロンとかあれこれ雑貨。カウンターの奥にトイレ、表に当番表。ならびに空調の
 格子扉。店内中央の大部分、一段低い柵に囲まれた「居室」。テーブルと椅子、
 炊飯器、古風なTV、脇のテーブルにバナナフィシュとかコミックス、向かって小ソファ。

 客席は柵沿い、Lの字に置かれ。役者まで時に数十センチ、とてもかぶりつき。
 細かな仕草、視線の移ろいがみてとれて素敵。折しも雨天、窓外では傘差す人が
 時折往来。雨音と柔らかいアコースティックのクラシック音楽、心穏やかにして
 開演を待つねこ。

 お話。廃業の名曲喫茶、今はレンタル部屋。一日おき、三人が入れ替わり賃貸。
 日曜はお休み。今日は水曜、借り主のぞみはオーナーである祖父の通夜帰り。姉と
 うまくいっていない模様。彼女の慰めは、月曜と木曜に借りているあの人からの伝言
 そんな彼女の悩みなど、つゆ知らぬ火曜と金曜に借りている山本はなんかのぞみに
 横恋慕。それはさておき。シャイな友人・池端のため、ナンパした女の子と彼を
 部屋で出会わせるのだが…。日常の口げんか、恋愛のもつれ、姉妹のいさかい、
 裏切り、軽めの性倒錯、合意したセックス、合意のないセックス、理由のある殺人、
 理由のない殺人、…。すべてがあって、すべてを見ることはないミクロコスモス。

 想いは澱のように潜み、突然零れ出す。ほとんど時間が止まったような空間。
 場に取り込まれちゃうよな趣◎。トイレ、勝手口や窓外も使い、隠された個々真情
 を描き出す。会話は日常の平易な現代口語。でも高じると文章入ったり、、
 モノローグしちゃうのにもひとつ余分感あり。日常の顔に終始する中、覗かせる秘密
 、劇的な物語がどきどきと面白いねこ。

 時間軸をずらしつ、出会うことがない人のドラマを重ね合わせ、演劇的。種々を
 描きながら、そこにある人がすべてを知ることはない現実、人生そのものを浮か
 ばせ。窓外を往来する、芝居が行われていると知らない人々の視点を重ね、
 さらに世界を広げて○。場を得た舞台の奥深い魅力を楽しむねこ。

 役者。やや生硬ながら、言葉が身に付いた、当て書きキャラ○。公演後半はもっと
 よくなりそう。和田さん。優しい物腰、それが毒ともなる内容に、うむむ。青山さん。
 じりじりの念波を背中越しにだして○。川本さん。情けな男を不器用な味わいでして
 好演。

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