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 パルコ・プロデュース「ウィー・トーマス WEE THOMAS」

 @渋谷 PARCO劇場(2003/8/4-21 20ステージ)
 http://www.parco-city.co.jp/play/
 全指定 前売り当日共6300円
  @水戸芸術館ACM劇場 8/30 1ステージ
  @大阪 シアター・ドラマシティ 9/2-3 2ステージ

 作:マーティン・マクドナー 訳:目黒条 演出:長塚圭史[阿佐ヶ谷スパイダース] 美術:横田あつみ
 照明:佐藤 啓 音響:堀江 潤 音楽選曲:加藤 温 衣装:藤井享子
 ヘアメイク:高橋功亘 演出助手:渡辺千穂 舞台監督:高橋大輔
 製作:伊藤 勇 制作:田中希世子 、毛利美咲 企画・製作:(株)パルコ
 出演:
 板尾創路 :ダニー(パドレイクの父親・イニシュモア出身)
 中山祐一朗[阿佐ヶ谷スパイダース] :デイヴィー(マレードの兄・イニシュモア出身)
 北村有起哉 :パドレイク(INLAの少尉・イニシュモア出身)
 
 保村大和 :ジェイムス(ドラッグの売人・北アイルランド人)
 佐藤康恵 :マレード(デイヴィーの妹・イニシュモア出身)

 三宅弘城[ナイロン100℃大人計画] :クリスティ(INLAメンバー・北アイルランド人)
 六角慎司 :ジョーイ(INLAメンバー・北アイルランド人)
 加藤啓[拙者ムニエル] :ブレンダン(INLAメンバー・北アイルランド人)
 
 2003/8/14(木)雨 2:05-3:53PM(1'47) 前方下手より 客席7割(350人)
 客層:20才代女性7割、あと20才代と中年男性。お友達連れの人多し。
 客入れ:当日券あり、後方に空席多数。折り込みパンフなし。物販。パンフ(A4 
 34ページ 1300円)、ポスターは売り切れ。
 
 知る人ぞ知る?英国作家作品。ロンドンではどっかんと笑いをとったコメディとか。

 舞台。潮風に晒されたように、色彩を欠いた煉瓦造り平屋が斜に置かれ。下手に石垣
 〜家の背後を回る土手。向こうは海らしく波音が聞こえ。上手、玄関ドアから直に
 板敷きのリビング。奥に暖炉、ホームスイートホームとプラカード。壁際に食器と
 薬棚。真ん中に簡素なテーブルと椅子、手前にロッキングチェア。TVなく、クラシ
 カルなラジオがあり。上手に延長した床、ダイヤ型の窓があるドアからバスルーム。

 お話。アイルランド紛争を背景、過激派テロ組織INLA(アイルランド民族解放軍)の
 奇妙な内ゲバを描く。IRAから分離独立したINLAの中尉は異常なまでの愛猫家。その猫
 ウィートーマスが惨殺されているのを近所の青年が見つけてくる。中尉が留守の間、
 猫を預かっていた父親は青年を疑い。そんなことより、猫殺しの嫌疑がかかれば、命
 がないと、二人は必死に隠蔽を考える。実は、猫殺しは中尉をおびき寄せ、殺すため
 の罠、仕掛けたのはINLAの仲間達。まもなく帰った中尉はブチキレ、冷徹で非情な殺
 しの連鎖が始まっちゃう。
 
 血の気が多い、西欧ブラックコメディ。米くってる日本人にはわかりにくい、レアな
 スプラッタ感覚。暴力がとんでもなさすぎて、そんな状況にそぐわないバカバカしさ
 があってな笑いがぽつぽつ。主人公が不条理で現代的。礼節と愛情は持ち合わせてる
 のに、親でも人殺しは日常生活感覚。タガが外れた(掛け具合が違う)ぶっとびキャ
 ラ。そんな奇妙なひずみ加減、バランスが面白いねこ。演出はらしく、クールでドラ
 イ。生臭さがなくて、○、というか生理的に助かり。血抜きをすれば、悲しいほどの
 おばかさだけ残って、大勢に受け入れられるかも。ラストにどんでん返し。暴力の
 虚しさが残り、強くメッセージ性あり。
 
 役者。激しい展開にも距離をおいた、訳知りの演技をして○。北村さん。さらっとキ
 ○ガイを好演。中山さん、三宅さん。おばかぶりが笑いを生んで、舞台の救い。佐藤
 さん。日常と連なったブチキレ演技で北村さんと対、好演。

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