＠下北沢 駅前劇場 (2000/3/2-5 6ステージ)
全席自由 前売2,800円 当日3,300円
作：佃典彦[劇団Ｂ級遊撃隊] 演出：伊藤明子[ストーリーレーン]
照明：Jimmy 音響：青木タクヘイ[ステージオフィス]
舞台監督：古屋治男[椎名町オフィス] 宣伝・舞台美術：岡村美郷
制作：個人企画集団＊ガマ発動期
出演：
中原和宏[STRAYDOG] 個人HP：伊藤 （精肉工場に再就職を乞いに来た）
新納敏正[今井事務所 ] ：？ （工場長 ほか）
木立隆雅＊ ：春岡 （工場 冷凍室長ほか）
蒲公仁 [STRAYDOG] ：伊藤 （こわもての工場・新入ほか）
寺十吾じつなしさとる＊ ：鈴木（あちらの世界のボクシング選手）
宇鉄菊三＊ ：佐藤 （精肉工場 労働員ほか）
木村利幸[満開座] ：山内 （同上）
猫田直＊ ：みっちゃん（謎の女性）
＊＝tsumazuki no ishi
2000/3/4(土)雨 7:05-9:00PM(2'00) 前方より 客席超満員(130人)
客層：20-30才代中心に、おじさんもちらほら。女性過半数。
客入れ：開場時に集まり悪し、ゆっくり埋まる客席。ベンチは中央詰め２回。
桟敷２列追加の盛況。狭いので荷物預かりは積極的にしてほしいねこ。
折り込みパンフ。赤色は薄暗い客電下では読みがたし。物販。佃典彦の
戯曲販売中。
ボクサーもしてるのね役者・蒲公仁の企画。野郎ばっかりの中、紅一点愛らしい
猫田直を一人投げこんでの攪乱？狙い芝居。
舞台。精肉工場の冷凍庫。さむそおぅなグレー無機質配色。正面、搬送用エレベ
ータ、ランプの青と赤が唯一カラー。脇にしけた丸椅子とテーブル。そのまま壁は
斜になって、中間出入り口。袖には蛇口ついたポール、上に出社したら裏返し札。
下手。あばらも見えるよな、肉塊がさげられ、奥に向かい４列にスズナリ。搬送用
のキャスターが隙間からみえ。
お話。ここが職場、になるかもしれないとこね。とめがね目（新納）に連れられた
職場は零下２０℃、精肉工場の冷凍庫。駄洒落好き？のめがねに、愛想笑いの
おじさん（中原）。試験って？といぶかる処にダメとめがね目。今のが試験。愛想
笑いをするような男はここじゃだめ。滅多に笑わない、悪いやつじゃないと。えーと
驚き、なんとか雇ってと泣きが入るおじさん。体力証明と踏み台昇降を始めるが、
無視され。でていってくれと、が鳴られる始末。
そんな内に職員が立ち現れ、性格悪そうなやつらばかり。手伝う内にひとりぼっち
そこに、零下にランニング短パンの不思議少女（猫田）現れ。悔しいなあと繰り返し
、肉塊をサンドバックよろしくパンチ。寒いならと禁止のエレベーターにつれこまれ。
れれれ、職員になんでここにいると起こされてみれば、少女消失。薬でもやってる
のかと、いぶかしがられ、悪そうな新入りも入って、でていけよコール大。
それでも留まるおじさん。ばたばたの周囲に取り残され、また一人。少女出現。
そればかりか、精肉工場は一転ボクシングジムに転換。えー、ここ精肉工場です
よねと訝るおじさん。パンチドランカーで頭がねえと気の毒がられ。折しもジムの
エース（蒲公仁）が精肉工場と同様に、無理なパンチで骨折。同じ体格のおじさん
にジムの体面がためだけに、代役の白保の矢。えー、ボクシングなんか通信教育
でやっただけ…。対戦相手（偽物？？。寺十吾）突然来訪。意外に強いカウンター
がきまっておじさん勝利。ところが、ジムはまた精肉工場に変わっていて。
おまけにやばいことが進行中。あの肉って一体！？。みればコンテナのなかには
人間（寺十吾）。人をミンチにして、始末の商売もしてるのだ。がーん。怖そうで
実は弱気な新人職員・実は刑事も身分がばれてやられ。彼が勘違い自白で、
とんまな言動が続いたおじさんも偽装刑事ということに。生かして帰さないと
絶体絶命。自白強要、裸で冷凍庫に閉じこめられ。
と少女登場。もうダメと弱気のおじさんに怒り。彼女は幼くして逝ってしまった
男の娘という。父親が過ごした年月分成長した姿の彼女。自分が死んでから、
転落続きだった父の人生、そして死んじゃった自分の悔しい気持ちを訴える。
立てよ、とうちゃんと鼓舞。舞台は再びボクシングジム。おじさんはサンドバック
に、ゆっくり着実にパンチを打ち込み始めるのだった。
男芝居に泪一献。佃さんらしい、捻ったブラック風味。二つの世界をシームレスに
行き交いな演劇趣向。伏線な少女を案内役に結ばれ、シュールの雲間晴れて人情
芝居。ふふーん。放り出さずに現実に戻すとこ、捻りすぎないとこが親切。でも
ちょっと物足りなさも感じるねこ。
演出、細かくて粘っこい。悪夢世界な展開にお似合い。他にどんな作品を演出して
きたのかしら、興味ねこ。
役者。演出によく応えてさすが。悪びれない悪者のいやーな雰囲気を巧く表現。
特に新納さん、木立さんが◎。ボクシングジムでは、一転切れる男気芝居を
見せてくれて、これも◎。飛び道具キャラなボクサー役、寺十吾さん。へんてこな
演技でアピール度高し。ボクシング場面は本物の迫力あり。例えば、負け犬
人生のおじさんと打たれ続けるボクサー（蒲公仁）の姿を重ねたり。シュールな
展開の中、リアリティをもたせて○。
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