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 月蝕歌劇団 第35回公演「家畜人ヤプー」

 @大塚 萬スタジオ(2000/5/18-22 8ステージ)
 全自由席A席(椅子席)前売4,100円 エクリプスの会4,000円 当日:4400円
 高中小学生:2,700円 
 B席(桟敷席)前売3,500円 エクリプスの会:3,400円 当日:3,900円
 高校生:2200円 中学生:1,800円 小学生:8,00円

 原作:沼正三(幻冬舎アウトロー文庫刊)脚本・演出:高取英
 音楽:J・A・シーザー 照明:加藤裕一 照明操作:山口慶子
 音響:高木尋士、横田美輪 舞台監督:中井俊介
 舞台美術:小林恵美奈+北崎正人 宣伝美術:吉田光彦 振付:川上史津子
 衣装:ヤマギワ ユミコ、萬谷ふき子 レイアウト:眞鍋ダリヤ
 制作:月蝕歌劇団制作局 石橋真ほか
 出演:
 一ノ瀬めぐみ:クララ (通称ベルリン大学の女王。ドイツ人のお嬢様)
 美里流季:瀬部燐一郎 (クララの婚約者。ニッポン男児)
 麻田真夕:レディ・ジャーゲン (イース帝国・大貴族。野心家)
 野口員代:ドリス (イース帝国・大貴族。レディ・ジャーゲンと対立する一族)
 川上史津子:ポーリーン (ドリスの姉)

 宇井 千住:アンナ・テラス (イース帝国・大貴族)
 大久保鷹:スザン(アンナの妹?!)、燐一郎の父

 時任歩:ジュディ、ヤプー女教師 (イース帝国・貴族)
 ほな美りん:ローガン (イース帝国・貴族)
 小沢里沙:コレット (イース帝国・貴族)
 松井祐二:セシル (イース帝国・貴族)
 吉田恭子:ウィリアム (イース帝国・貴族。クララと接近)

 松本渉:カッパ・ピュー (ドリスのヤプー・エリート)
 成宮観音:ミューピュー (ドリスのヤプー・エリート。ピューの妹)
 杉浦有花:黒奴Fl号 (ドリスの奴隷)
 新月シホ:瀬部百合枝(燐一郎の妹)

 山口擦蔵:コラン博士
 中井俊介:畜人犬ニューマ、軍人青野、黒奴A
 松官芙多葉:メアリー、燐一郎の母
 北沢麻奈美:満州少年、ヤプー子供H
 横田達也:黒奴F2号、山本上等兵
 船戸干瀾:エミリィ、ヤプー子供A
 平山幸女:看護婦A、子宮畜カヨ
 望月六郎:エンノー・オドゥヌー(アンナの臣下)、軍人橋本

 石山浩之(新人):舌人形、軍人田中
 小西智(新人):車輪畜、軍人鈴木
 阿部薫(新人):ヤプー子供F
 森永理科(新人):人形、ヤプー子供E、扇ぐ女
 小林麻美(新人):看領婦B、中国娘
 高橋詩織く新人):メイ、ヤプー子供C
 小渕紗矢香(新人):ベッシー、ヤプー子供G
 野口梨菜(新人):八路軍のスパイ、ヤプー子供D

 2000/5/19(金)曇り 7:40-9:30PM(1'50) 桟敷前方より 客席満員(180人)
 客層:老若男女とりどり。業界関係者か、存在感あるおじさんちらほら。
 客入れ:当日券。指定席売り切れ、桟敷(前方8列)のみ。受付はA,B席、招待席
 毎別で工夫。荷物預かり積極的。スタッフが少ないのか、大わらわ。受付やら
 混雑するので早めのが○。場内誘導常駐。桟敷詰めあり、ややきつめでお尻に
 くるねこ。最前列に飛び散る血糊対応ビニールあり(きれいな服の人は中段以降
 が○)折り込みパンフ。配役、スタッフ、今後の予定掲載。物販。著作本、台本など
 多数。今回のパンフがあったか不明。

 5年ぶり。大久保鷹客演にみたねこ。
 舞台。客入れ時から客席通路、舞台に女性横臥、セーラー服とかで。つまずかない
 よう注意。ブルー系配色。中央に臀部、アヌスとヴァギナ(上方からの水滴状)な
 背景。水滴部分は人形マスクや手が埋め込まれた、両開き扉。両袖に高く小舞台。
 蝋燭や鞭をもったり、狐面の少女がポーズしたりと舞台とパライメージ。
 衣装。黒、赤、ブルーな単色ボンテージスタイル。網タイツ太股もまぶしくな。
 華奢な身体と強固な革製服のバランスに趣。

 お話。ラブラブカップルのクララと燐一郎。ニッポンで結婚も待ち遠しい。と見や
 れば未確認飛行物体。入ってみれば宇宙船?、いや40世紀未来からの難破船!。
 黄色人種、とりわけニッポン人が家具、自慰器具、ペット化された光景。ヤプー
 (ドイツ語で日本人のこと)は私たちの家畜とお嬢様2人・ドリス、ポーリーンは
 ごあいさつ。早速、生ヤプー捕獲と燐一郎は麻痺処理。驚愕のクララ、を愛らしく
 燐一郎に物欲の2人はいいくるめて未来に連れ去り。改造される燐一郎、しだい、
 感化されるクララは愛の言葉とともに、婚約者に鞭。やがて、2人は帝国を分かつ
 覇権争いに巻き込まれていって…。ナチスドイツの選民思想、禍々しくエネルギー
 に満ちた人の暗部。日本人の歴史に重ね浮かばせ、改めて糾弾する意欲作。

 やりたいようにやってるお楽しみ。長編をコンパクトにまとめ、やや無理も異様
 世界しっかり醸し。生硬な少女役者にまじり、怪優・大久保鷹が楽しげに大暴れ。
 面白かったねこ。内容てんこ盛り。ボンテージ女性、半裸男性なSM扮装。あやか
 しな蝋燭、本火の多様。飛ぶ血糊。舞い散る桜の元逝っちゃたりする有り様。
 珍妙なフリークス登場人物。胡散臭い超カガクアイテム。少女マンガな幼顔ヒロ
 インのSMスナイパーな屈折愛。へろへろだけど、殺陣シーンしっかり。なんで
 こう寒いのかな、確信犯な腰砕けギャグシーンちゃかり。プログレしてる、「少女
 革命ウテナ」でもおなじみの歌唱。「私は本当はゾウリムシ♪」などナイスな歌詞。
 即物的な(たまに眼が点)台詞と思わせぶりなイメージシーン。など独特の美意識
 と遊び心で、結成15年も変わらぬ、月蝕らしい舞台。たまにはいいかなねこ。

 人物がよくわかんないとこに困るねこ。舌足らずな語り口なせいか、クララとか
 の心替わりが唐突で?!。刈り込むのとバランス難しいのかな。もうすこし葛藤を
 見える形にしてほしかったねこ。唯一、燐一郎は細かめに心理描写してくれて○。

 役者。美里流季さん。思い入れたっぷり、悲嘆が伝わって○。一ノ瀬めぐみさん。
 かわいい容姿でヒロインらしく。野口員代さん。一ノ瀬さんと対になるといい感じ
 なかわいさ。ドスの利いた演技とのアンバランス○。宇井千住さん。鷹さんのした
 い放題にストイックな演技と容姿で対抗して面白し。大久保鷹。もう暴れまくり。
 なんか居場所なさそうなとほほ加減、ゲス野郎演ずるときの細めのいやらしさ、
 自由自在な遊びの余裕加減、とかみてて微笑み、愛情感じるねこ。

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