くじら企画 第9回公演「夜、ナク、鳥」
＠大阪南港「ふれあい港館」特設野外円形劇場「ラフレシア」
（2003/4/24ｰ27 4ステージ）
全自由 前売・当日清算2300円 当日2500円 中高生1500円
作・演出：大竹野 正典 舞台美術：武川康治 音響：大西博樹 照明：池辺茜
ダンス番長：川田陽子 日替わりまんざい台本：風太郎ほか
宣伝美術：高岡孝充 制作：後藤小寿枝
大阪市助成公演 後援：大阪市 協力：ふれあい港館
ラフレシア円形劇場祭 http://www.bekkoame.ne.jp/ha/ag0214/new_page_8.htm
出演：
林加奈子：ヨシダ（看護婦）
川田陽子[それいゆ］：ツツミ（看護婦）
後藤小寿枝：イケガミ（看護婦）
小栗一紅[流星倶楽部]：ヨシイ(看護婦）
戎屋海老：ヒデキ（ヨシダの奴隷な男。偽造屋、悪事に荷担）
秋月雁：タザワ（ツツミが担当する入院患者。末期ガン）
風太郎：エイジ（イケガミが殺したぐうたら亭主。幽霊として出没）
森田太司：ゴーちゃん（ヨシイの亭主。女をつくって家をでたが、未練たらたら）
2003/4/26(土)曇 7:11-8:58PM(1'43) 入口側上手より 客席9割（100人）
客層：老若男女。子供連れ、20歳代〜中年カップル、友達連れとさまざま
客入れ：会場。駅からの道々、要所に案内掲示あり。ふれあい港館の手前を左折。
音楽が聞こえてくるので、すぐわかり。整理券なし。おでんとお酒がでる、座敷付
テントあり。円形劇場。○10m舞台を、3段ベンチ4ブロックの屋根付客席が囲み。
最上段は背もたれ付。舞台上と四カ所の入口は開け放し、暖房なしなので各自防寒
が必要。足下に巻くビニールシートを希望者に配布。底冷えがするので、もらった
方が○。荷物は原則膝の上、預かりは積極的にはなし。
折り込みパンフ。A3 三つ折り。役者写真と自己紹介。スタッフ掲載。物販不明。
会場、舞台。道路ばかりで殺風景な、コスモスクエア〜ふれあい港館の更地に円形
テント。半透明のビニールで外周壁〜客席上を覆い。舞台真上は青天井、紅色の箱状
ネットをのせ。日が落ちると、自照してきれいなり。透明ビニール傘が花のように吊され
(長山現の散歩道より）。舞台。真ん中にグレーの床とテーブル、箱椅子。端に電話。
取り囲む客席との間はぐるりと地面。戸外場面などで使用。
お話。看護婦達の連続殺人事件が元。看護婦・吉田は見栄っ張りの世話焼きたがり。
職場仲間の苦労をほっておけない友情の持ち主。看護学校の温室育ちな彼女達に現実
の苦難を学んでもらうという、憎さ余っての「友情」ではあるけれど。かつて仲間の
一人がろくでなし亭主に苦しめられているのを見かねて、殺人提案。保険金は投資、
かわよき女性の自分らが独立とマンション購入がために資金運用。それも「友情」
ゆえ。そして、もう一人、ろくでなし亭主に悩む仲間が。あろうことか、ほかのろく
でなし亭主同様、吉田に多額の借金（虚偽の水増しを「友情」故にされ）までして
いる始末。そんなある日、吉田からＳＯＳ。投資した会社が倒産、マンション購入
代金が支払い不可。もうだめ、いや、貸した金は返してもらう、無理なら亭主の保険金
で。困っている仲間を助けることは、献身のナイチンゲール精神と一緒。異常さを訴え
、猶予を乞う仲間を説き伏せ。第二の殺人の夜。ナースキャップを燃やし、その夜
だけ看護婦であることをやめる女達。男女の愛憎、患者への献身、生死の喜びと絶望
を織り交ぜて、補保険金殺人に潜む今を描く。
醒めた視線にも訳知りの共感と同情、濃い役者陣と芝居。ぞくぞく満足、いままで
見てこなかったことを後悔ねこ。野外に関わらず、けれんみ（クライマックスの本火
くらいか）なし。反則じゃないかの舞台は、まるで360度ののぞき部屋状態。緊迫感
ある密やかさ。夜の潜みを醸すドビュッシー音楽。道に誤る人たちの姿を細かな心理
を伺わせつ、激しくまた情感をたたえて、くっきりと描いていく。すっかり引き込ま
れたねこ。脱力コントで箸休め、カルメンダンスの手術で派手趣味、緩急付け。きっ
つい物語も、時に大阪弁で和らげたり、と配慮忘れず。
今のトレンド、簡単な殺人。保険金は死ねば、入金のコンビニエンス。裏返せば、人
の命より金ともとれる最近風潮ともいえ。友情と献身を意趣返しし、殺人に走る浅は
かな看護婦達。しょうがないこととドライに描くその中に、同情と共感の濡れた感情
があって、感じ入るねこ。傷の共有つうの、飲み屋で苦労話以心伝心つうの、か。
割り切れない男女のドロドロを、幽霊亭主との会話や、ラストの死んだ男とのダンス
でした演劇的表現は◎。作劇も訳知りだなあと思うねこ。
［月間一覧］