＠池袋 シアターグリーン(2009/12/5-6 2ステージ)
http://www.geigeki.jp/
全自由席（整理番号付き）一般・学生共通1000円
＠京都 アトリエ劇研 10/16-19 5ステージ
作：菅専助、松田和吉、若竹笛躬 演出：木ノ下裕一（同大学芸術研究科修士2年）
美術：杉原邦生 照明：川島玲子 音響：齋藤学 衣裳：山本容子 メイク：富松悠
舞台監督：米谷有理子 制作：木村悠介、本郷麻衣
出演：（舞台芸術学科在校生および映像・舞台芸術学科卒業生）
伊藤彩里 ：お七
眞栄田貴豊[子供鉅人]：吉三郎
cossi[chikin]：母
三鬼春奈 ：お杉
濵名綾子 ：おひな
諸江翔太朗：武兵衛
2009/12/5(土)曇/雨 3:05-4:14PM(1'09)最前列 客席6割(70？人)
客層：学生多そうな、20-30才代中心に幅広く。男女半々。
客入れ：整理番号順に呼び出し。開場時で20人ほど。荷物預かりあり。1．2mほどの
高台舞台、客席は2列目？から使用。前側が見易いとの誘導あり。折り込みチラシ
少なめ。京都公演の耽美ポスターチラシはもうないのかな。パンフ A4 3ページ。
データと教育理念など掲載。別紙であらすじ、配役など。次回公演。京都×横浜プロ
ジェクト2010「勧進帳(仮)」＠5月 STスポット、アトリエ劇研。演出・美術：杉原邦生
物販なし。カーテンコール1回。
「摂州合邦辻」等作品は上演され続けても、作家本人のことはよく知られていないと
いう、江戸期の狂言作家・菅専助。再発見シリーズ第三弾。
舞台。大胆しごく。高くグレーのでかい平台。中央に鎖が下がり、床をめぐり。
その端はお七の足かせに繋がり。鎖を囲んで蛍光灯の枠。火の見櫓を登る、火刑に
処せられる場面で下がり、相対的にお七を登らせ。役者は後方、舞台外に常駐。
お話。寺小姓・吉三郎と恋仲となったお七。しかし親は富豪・武兵衛との縁談を
進め。さらに、吉三郎が宝剣紛失の咎で命がないと知る。一計を案じたお七は、
宝剣を武兵衛から奪い届ける決心をする。さらに木戸を開けさせるため、火の見櫓の
半鐘を火刑覚悟で鳴らすのだった。
原作の眼目を見事現した、鮮やかな演出。テキストは文語のオリジナル、時々見失う
けど、発話すれば十分理解出来。服装は現代、お七と侍女・お杉はワンピにそれぞれ
揃いの赤と黒カーディガン。丁稚・吉三郎はカジュアルシャツ、一方、富豪・武兵衛
はスーツ姿。それぞれの役柄をよく現し。そっぽを向いて待機、やがてお七に視線を
注いでいく、役者目線が心の動きを判りやすくし。
鎖装置は展開につれ、巻き上げられ。最後、お七役者は中央で身動きが取れなくなる。
巻き上げるのが恋人吉三郎というのが衝撃的。恋人お七と許婚の間に挟まれて、仕事
＝宝刀の探索を抱えて、大わらわ。ささくれ立っていく心が、恋人を追い詰めてしま
うという皮肉、悲しさ。鎖は親や世間の義理という暗喩でもあり、深い。
次いで、蛍光灯の櫓。下降ととも、お七は上昇の見立て。吉三郎への犠牲愛、母や
武兵衛らのしがらみへの理解、二世のちぎりへの希望と悦楽。それらがお七の中で
昇華されていくな、鉛直演出の鮮やかさ。
ラスト。お七の台詞を、役者全員が舞台上でしっかりと聞き取り。それは客席も同様
事の次第、顛末ではなく、思いがこもった言葉を伝え聞き取ること。涙を浮かべる人
、少なからずあり。本歌舞伎現代化の力に頷くねこ。
役者。真摯に取り組み、しっかりといずれも好演。
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