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全自由1500円
劇団ヒロシ軍(長崎)｢一寸先はYｕｍｍy!!Yｕｍｍy!!｣
作･演出:荒木宏志 出演:荒木宏志、中村幸
不思議少年(熊本)｢砂嵐｣
作･演出:大迫旭洋 出演:森岡光、大迫旭洋
宇都宮企画（北九州）「Flag」
作・演出：宇都宮誠弥 出演：片渕高志、西村性那生、文目卓弥
ブルーエゴナク（北九州)｢おはなし｣
作・演出：穴迫信一 出演：穴迫信一、平嶋恵璃香、守田慎之介
非・売れ線系ビーナス（福岡）「ツムツム」
作･演出：田坂哲郎 出演:田坂哲郎、ケ二ー、大竹謙作
司会：福田修志(F' s Company)
審査員：柴幸男(劇作家・演出家・ままごと主宰)
高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー・｢しのぶの演劇レビュー｣主宰)
＋ 観客の皆さん
主催：（公財）北九州市芸術文化振興財団 共催：北九州市
企画・製作：北九州芸術劇場
2016/3/13(日）雨 1:07-3:55PM(2'02/休11/35)最前方 客席満員(180人)
客層：20-30才代中心、中年層も。女性過半数。
客入れ：開場時20人ほど。平床3、雛壇6列。パンフ A4 1枚と投票用紙。
在九州5劇団が短編作品を競い合う「劇トツ×20分」、初参加ねこ。
構成。
・企画委員長 泊篤志〈飛ぶ劇場〉から次第説明。ルールは「上演時間20分以内」
「登場人物は3人まで」。。一昨年・昨年と不思議少年（熊本）が二連覇。
負けたチャンピオンは翌年の司会ということでF' s Companyの福田さんはそのため
だけのために長崎から。投票の持ち点。観客は2劇団選べ、審査員は50点をもって
いること。風の谷の…の音楽とコスプレで司会登場（笑）
・劇団へのアンケートを紹介して上演。
劇団ヒロシ軍(長崎)｢一寸先はYｕｍｍy!!Yｕｍｍy!!｣
お話。友達だった2人が今日からは恋人、やっほー。だが。
思いがけないことはあっても展開せず、替わりに2人で歌いまくり。宏志さんの
歌の下手さに笑い、愛情を感じたりするねこ。
不思議少年(熊本)｢砂嵐｣
お話。少年にはその部屋が世界の全て、本から広がる森羅万象。「友達」と楽しい
だけの日々を過ごすけど、いつしか別れが。
アンバーの服装と照明で無印良品な美しさ。身体表現に長けて、マイムで巧みに
魅せる、俳優の表情や声もくっきりと心地良い。なのに言葉に寄りがち、詰め込み
すぎが気になり。でいて別れる理由が判らないし。うーん、惜しいなあ。
宇都宮企画（北九州）「Flag」
お話。彼女が転居、喧嘩別れしてしまう男女。もやもやしてる男の前に港湾仕切り
のフラッグマン。思うところ助言したりして。
現代口語でモノローグ多用の会話劇。背景や心境の移ろいをあえてか語らないので
こっちももやもや。キッパリしたフラッグマンで風通し良くなるけど、期待のほど
絡まなかったのが残念ねこ。
ブルーエゴナク（北九州)｢おはなし｣
お話。幼なじみからの売れない漫才師クロニクル。婚約者は不満ぶーたれ。
構成、キャラ、演技ともよくできて好印象。不明もうかがい知られる隙間があるのが
○。ラストは厳しい現実、これは演劇の夢で語って欲しかったねこ。
非・売れ線系ビーナス（福岡）「ツムツム」
お話。地獄。贖うため罪人の石積みだけど、聞けばゲーム感覚。と若くも無い水子の
霊。モチベーションがどうこうと喧しいとこに、菩薩様がひょっこり。浮かぬ顔の
訳を聞けば、天国でも本来の意義が失われつつあるという。困ったものだと思案顔。
オトボケ風味のシニカルな問答劇？、コント？。地獄と天国のもやもやした部分を
あえて問うな設定。身も蓋もないダメだしとリプライに失笑しきり。踏み込むと
恐ろしいものが待っているような隠し味も笑いを誘い。40歳の水子、鬼、菩薩の
キャラくっきり。根はいい人で共通した脱力、こんにゃく問答をまったり楽しめ。
ギャグも愉快。天国に2000人しかいないとか笑うねこ。
・審査員講評覚書
劇団ヒロシ軍(長崎)
柴 歌が下手。結局何も起こってない、何もいってない、動いていない。
歌が五曲続くと心地よくなる、意味のなさに。
高野 コメディとしてみた。魅力的な２人の素材を活かしている。感情移入できる
ヒントがない。曲はオリジナルでやってほしかった。
不思議少年(熊本)
高野 予想した演技、あれは子供ではない。ここじゃない抽象世界に入れない。
世界の見せ方はいい。なんでなのかの詳細がわからない。女の子が去る理由が
わからない。雰囲気でなのか。景色は美しかった。
柴 演出に気持ちの悪い瞬間がない。すごいこと(本を開いてマイム表現とか）を
さらりとやっている。切り刻んだ構成で見やすい。美しさが本筋からしているようで
そうではない。4つのモチーフがあったが、描かれているがばらけている。
世界を見せることに時間をとられすぎ。想像の人間とリンクする手前の寓話で
終わってしまったのが惜しい。成長していない美しさの表現が弱い。
宇都宮企画（北九州）
柴 不可解な旗持ち男でどうなるかと期待して見ていた。いつから友達で、それから
の２人が描かれていない。別れられない２人と旗持ちの男の設定が面白い。
高野 前髪で顔が見えない、表情を見せないと損。旗振りと港とリバーウォークの
景色リンクしてみえたのがよかった。何歳か判らない。ラストの気づきは気が
つかない方がいい。
ブルーエゴナク（北九州)
高野 演劇の空気に満ちている。痛々しさを笑いに、演技（？）で作っている。
子供の見せ方がいい。首が長いという紙芝居がよかった。
柴 楽しく観た。漫才が２人の関係性に密接に。劇が生き生きしている。漫才だけど
的確に説明してて分かりやすい。遡ると若くして相方は亡くなっていて、
老人の漫才はねたとわかる。最後まで漫才で、エアでもいいから。
非・売れ線系ビーナス（福岡）
柴 三人の作り方がいいが、そこで終わってしまっている。もっと踏み込んで、
誰か一人に絡む、地獄極楽に絡む劇の方が面白い。
高野 キャラがしっかりしてる。分かりやすく入っていけた。風刺の面からだと
弱い。ギャグは面白い。
・結果発表
観客投票3位67点、審査員1位60点。総合127点でブルーエゴナグ（次点 非・売れ線
系ビーナス）。不思議少年の三連覇ならず。結果に沸く会場。
表彰式。委員長の泊さんからトロフィーと、劇場上演権票が渡され。各劇団から
一言。(負けて）逆に清々しい（ヒロシ）とか。やっと北九州にトロフィーが
帰ってきたと泊さんうれしげ。
小劇場演劇らしい闊達さと工夫がともにある作品ばかり。水準高く、なにより
観ていて面白い作品ぞろいなのが嬉しいところ。ねこは非・売れ線系ビーナス、
ついでブルーエゴナグが気に入り投票。スタッフ、観客ともに盛り上げよう楽しもう
のムードいっぱいなのがまたよく。審査員の思った以上の長く細かな講評はふむふむ
と勉強となり。来年も遠征しようかなねこ。
