＠赤坂見附 赤坂RED/THEATER（2011/10/6-13 13ステージ）
http://www.red-theater.net/
全指定 前売・当日5500円
作・演出：天願大介 美術：加藤ちか 照明：沖野隆一 音響：松本昭
音楽：めいなCo. 演出助手：木村茂之、高澤俊太郎 舞台監督：井村昴
宣伝美術：上野はじめ 制作：ジェイ・クリップ プロデューサー：上谷忠
企画/製作：metro、ジェイ・クリップ
出演：
月船さらら（metro）：鈴子(殺人鬼)、蝉時雨蝶子(さすらいのシャンソン歌手)
若松武史：黒俣(超絶行商人）、垣乃花(憂国の士)
柄本時生：ヒロシ(解体作業員)
鴇巣直樹：亀田(天才科学者)
村上淳 ：金本(元自衛官・トラブル処理屋)
2011/10/12（水）晴 7:06-9:03PM（1'57)後方上手 客席7割(100人)
客層：スーツ男性も多めの大人客席。男女半々。
客入れ：パラパラと空席もまんべんなく埋まり。B列最前。折り込みチラシ少なめ。
パンフ A4 1枚 作品解説。配役とか欲しいところ。物販。パンフ A4 1200円、
台本1500円、Tシャツ2500円、ポスター1000円、生写真500円ほか。全部＋特典目覚ま
し時計セット10000円。 カーテンコール1回1分。
元宝塚女優・月船さらら主宰プロデュース、初のオリジナル作品。
舞台。モノトーンのテーブルと椅子でVIPルーム。カーテンを開けると場末スナック
「牛の腸」、とあるステンドガラス下の入口扉。上手にベルベットスツールとカウン
ター、下手にミニステージ。手前両袖にソファと丸テーブル。
お話。背景。身の程をわきまえず、開発を進めた「日本」。北日本を皮切りに発生
した巨大地震により原発は壊滅し、全土は放射能に汚染されてしまう。無能な政府、
虚言ばかりのマスコミ、やがてクーデターが頻発、無政府状態となり、国際社会で
孤立してしまう。海岸には人面をもつ巨大怪獣の死体が流れ着き、異常現象が多発。
頼みの綱の放射能除去装置も、発明者の天才科学者が昏睡状態となり、万事休す。
臨時政府は、放射能汚染の賠償を迫る国際社会から鎖国を宣言する。
舞台。鎖国前夜、捨てられた港町で唯一営業するスナックに運命のように怪しい
奴らが集う。謎の生物の解体屋はその内臓を珍味として横流しし、快く思わない
地元ヤクザに雇われたトラブル屋は探りをいれている。超絶行商人は魔除けグッズ
を売りながら死に場所を求めている。店の女は、実は世界平和の満願成就のため、
悪い外国の神様に100人殺しの願掛けしてる、美貌の殺人鬼だ。切羽詰まった男女が
因果因縁に引き寄せられ、もの哀しいやら笑っちゃうやら。脱出を図るセレブ達、
方丈記を歌うシャンソン歌手、汲み取り便所の江戸エコ時代に帰れと説く憂国の
先生、秘薬を待つ病床の天才科学者 ら運命の子の姿を交えながら描く、
ディストピアの顛末劇。
わきまえた大人にこそ見て欲しい、ブラック・コメディの快作(怪作？）。徹頭徹尾
シニカルでナンセンス。原発事故ら、風刺たっぷりで毒吐きまくり、スパイシー。
かつてなら不条理だったことが、条理となってしまった今の日本の奇態をガツンと
演劇で言明。虚偽の希望、人生のすばらしさを唱うことにＮＯと叫び。不死となった
主人公というフィクションに立って、生きることに意味はない（アングラ演劇に意味
はない（若松）、無能な政府もマスコミも意味はない＞苦笑）と、からっと明るく
言い放つ。現実と自分とを信じて、ケセラセラとやっていこう、語っていこう、
それでいいのだ、とする小気味よさ、爽快感。俳優はしばしば客席に降りて、
コンタクト。共有共感(共犯？）を増し、ここらライブがあるのが小劇場演劇らしく
て〇。
役者。個性林立。怪優の中の怪優、親父が2人（若松、鴇巣）。あくが強すぎるので
ピンで味をみせてくれ。とりわけて若松さんが放し飼い、アングラ魂にふれて
たっぷり堪能。がちゃがちゃした村上さんと、まったりした柄本さんが相反して、
いい取り合わせ。男子20％なハンサム振りときっぷの良さ、唱えば麗人（でも
コメディアンヌ）な、月船さらさ。女も惚れてしまうがや。
アフタートーク 9:06-9:25PM(19) 6割居残り
村上淳、天願大介、月船さらら
村上 時々出演するが、カットがかからない舞台は楽しい（天願 時々かけたい
時がある、今日は完璧でした）
天願 自由にしてと決めてないところが毎日変わるので面白い。
（あてがきですか）地震が起きて、当初の予定作をやめて、オリジナルを書くことに
した。変えたいけどと俳優達に聞いたらＯＫ。当て書きというより、これくらいは
やってほしいと託して書いている。
村上 地震があって、これだけダイレクトな戯曲だから上演するというのがある。
月船 本が気に入って、嬉しかった。周りからやって大丈夫かと言う声があった
けど。いけないことはないですよね。
天願 何をいってもいい。大劇場の公演はずいぶん前から時間をかけてつくるが、
小劇場ではその時感じたことを正直に、もやもやしていることを早く、現在の舞台に
乗せられる。自分が若い頃に見た演劇はまるで犯罪者か狂人の集団かと思うほど
強烈だった。舞台の魅力は普通では味わえないこと、刺激が味わえること。その時々
を、音楽のライブほどではないが、最短で表現できる。
村上 俳優はもうやるしかない。
月船 劇のフィルターを通して、言いたいことがいえるのは快感。
天願 震災後にアフラックの吹き替えをしていた米国のコメディアンが、ツイッター
へ書き込んだジョークが原因で降板させられた。そんな悪いジョークじゃなかったと
思う。皮肉屋ジョーク混じりに語っている、下らないジョークに乗せて語るのが、
どこまでやるのかが大切。今日の舞台で感じたことをあちこちで喋ってほしい。
（村上 まるで津波や原発事故がなかったかのようにしていて、違和感がある。）
粘っこく繰り返すこと、覚えてもらうことがテーマ。
月船 metroは文学作品をやってきて、天願さん流にアレンジされていて、それも
楽しい。今日のコメディで笑ったみんなは共犯者ですよ。ブラックものをみて
笑ったからには共犯。村上さんとやるのは2回目。なまもので変わるので楽しい。
天願 ト書きでずっと動いていると書いていて、落ち着きがない役。村上さんは
どこまで行くか判らないので危ういし、チャーミング。
月船 みんな収まらない人達で面白い。
月船 今日は元気なお客さんなので、質問がありますかあ？（なし）。
月船 音楽担当の方が福島の方。
天願 深刻な状況のところではないが、東京と福島では事故に温度差を感じていると
いっていて、上演はありがたい、ぶつけてくれと言ってました。
村上 詩がいい。
月船 (ジングルが鳴って）物販PRタイム。お客を呼ぼうと脱ぎました（とポスター)
蝉時雨蝶子の写真、サインを考えて書いてます。DVD（にお客拍手）、大人買いセット
（お客大拍手）。蝶子の声の目覚まし時計もついてます。
村上 (一言）感謝の言葉。天願 小さな所帯ですけど、手造りで志の高い俳優と
やっていきたい。
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