二兎社 26 「兄帰る」
＠三軒茶屋・シアタートラム(1999/6/25-7/11 18ステージ)
全指定4000 （学生2500 劇団のみ）
作・演出：永井愛 美術：大田創 照明：中川隆一 音響：市来邦比古
衣裳：竹原典子 舞台監督：小山博通 演出助手：黒岩亮 制作：安藤ゆかほか
出演：
立川三貴 ：中村幸介
浅野和之 ：中村保 （幸介の弟）
大西多摩恵：中村真弓 （保の妻）
田岡美也子：小沢百合子（幸介の姉）
酒向吉伴 ：小沢正春 （百合子の夫）
飯田和平 ：中村昭三 （幸介の父の弟）
原知佐子 ：前田登紀子（幸介の母の妹）
津田真澄 ：金井塚みさ子（真弓の友人）
1999/7/3(土)雨 2:00-4:40PM(1'25/休15/1'00)上手中段より 客席ほぼ満員(220)
客層：平均年齢層高めに老若男女。女性過半数。
客入れ：当日券。両脇席２０枚ほど。物販パンフなし。
舞台。やたらハイセンスなリビング。雑誌に掲載されそうな。小さな絵画パネルある
淡いモスグリーン壁、ウォールナット床。作りつけの白木食卓、ラック類。上手、
庭はしっかりとガーデニング。野ばらやらが芝生の上に。中央ダイニングリビング
正面開口奧にキッチン、隣がバスルーム。下手に２階への階段、手前に玄関への
開口。壁に子供が書いたらしい親子三人の絵パネル、下にFAXと子供の写真。
お話。広告、情報誌関係の仕事している、おしゃれ指向の若い夫婦。その家に
何十年ぶりかで行方不明の夫・保の兄・幸介が帰ってくる。金銭トラブルで失踪、
今はみるも無惨なホームレス姿で。出直したいという幸介はちゃっかり居候。姉・
百合子も加わり、再就職探しのてんやわやが始まる。
台本巧者・永井愛、さすがの快作。軽やかなテンポ、絶えない笑いの中、日本人の
仕組みつうのを鋭く浮かばせる。「事件」に対処する過程で、建前と本音が赤裸々
に交差。非現実なバカ正論。長いものに卷かれちゃおう主義。保身、自分勝手。
嘘も方便な世渡り、根回し。登場人物の行動はみな思い当たる、日本人な姿。
その内心の動きを鮮やかに活写。お客が思わず自己投影しちゃうほど、くっきり。
人生長い人ほど、現実の体験が重なり見えて、面白さ一層じゃないかしら。
伏線、挿話のちりばめも、興味津々と飽きさせない。胡散臭い・幸介、正論のもの
言いで周囲と折り合わない妻、2人の孤立と交流。妻とその友人の危機感ある
ご近所付き合い。ありげなとこに日常のスリリングさがあり。部屋やチャイム音など
にも、因縁が隠されているのにはうーむねこ。
役者。新劇のベテラン、中核役者中心。達者で安定感ある演技。のらくらしたたぬき
おやじ役の中村昭三さん。いかにもいそうな役所を好演。
［月間一覧］ |