猫のお尻「いとしいいとしいといふ心」
＠大阪 扇町ミュージアムスクエア (2000/3/31-4/2 5ステージ)
全自由 前売 一般2,500円 高校生以下1,500円 当日+200円
作・演出：大前田一（ぴん） 舞台監督：伊藤一刀 照明：池田哲朗
音響：大谷和子 宣伝美術：藤岡やすじ 制作：？
出演：
木村真紀 ：弥生 （旅館女将の妹。高校三年生）
藤原章子 ：女将 （旅館を１人できりもりする。亡夫との娘は今春小学入学）
羽純あかり：横山 （温泉恋愛小説で知られた人気作家。極度に忘れっぽい）
的場久枝 ：里美 （横山の担当編集者。原稿を上げ帰らねばならぬ私事都合あり）
大西明子 ：よしの（ベテラン仲居。優しくてしっかり者） ＊[アクタープロ］
菱川裕子 ：秋 （ベテラン仲居。口うるさいけど乗りはよく優しい。持病腰痛）
南はるか ：八重 （新人仲居。漢字をまるで知らない、どじっ子）
野原早苗 ：早苗（元仲居。客と通じ辞めることに）[パロディフライプロダクョン]
飯野真由美：ゆうべの客 （１人旅の若い女性。亡き恋人の思いで探し中）
藤岡彩加 ：なずな（休職中の大番頭の娘。現役中学生（１年））
大西果林 ：桜 （女将の娘。子役（５、６才？））
長谷川絵里：？（その後、成長した娘・桜かな？）
長谷川里羅：？（同上）
2000/3/31(金)曇｜小雨 7:05-9:05PM(2'00) 前方より 客席９割(180人)
客層：２０才代女性４割、家族関係か中高年客も結構。人生のように老若幅広く。
客入れ：当日と前売りの整理券区別なし（偉い）。ゆったりと埋まる客席。小屋
付き？の２人が常時誘導。後方客を見易い上手に詰めたり、と配慮あり。
折り込みパンフ。配役、スタッフ、予定のみの１枚。無料配布の機関誌に役者イン
タビューとか掲載。物販。歴代公演模様ほかの写真集(A4？1､200円）。戯曲集
（２本づつ３巻まで発売。今回のは２に収録。B5 1,200円）
携帯注意はパフォーマンスで。鳴り続ける携帯に困る女の子がばたばた。立て看板
でメッセージ（墨書達筆なり）。なんかかわいくしてて、ほほえみねこ。
女の子劇団の雄（チラシ）猫のお尻。健気、儚げ、夢みるだけじゃない、逞しく
したたかな「女」を描く猫尻にふさわしい？コピー。９５年初演、恋は古来「戀」
と書いたことにちなんだタイトル作、再演。
舞台。素舞台に布団とか、最小限持ち込み式。正面壁を透過スクリーンに桜花を
映すラストはきれい。夜気に花薫る季節にふさわしいし。
お話。桜の季節になれば、満開も美しい古木をもつ老舗旅館。５年前、恋愛小説の
モデルとなったこともあり、ちょっと有名。仲居志願の子も結構（すぐやめちゃう
けど）。その作家が久々の逗留。不眠のトランス状態でしか、書けない先生。
編集者のお願いもあり、不本意ながら眠らせないための助力に女将同意。寝不足
もうろうな中、５年前のことを回顧する先生。長寿を全うした仲居さんの不在は
判るけど、もう１人男性がいたはずでわ？。
これには一同顔を曇らせ、事情を知らぬ新人仲居だけは怪訝顔。作家当人も
忘れていた５年前の小説を読み始める新人仲居と先生。そこには、悲しみに封印
されていた、自死した女将の夫（をモデル）のこと。彼への女将の妹の秘めた恋が
描かれていて…。華やかにそれ故に切ない桜の季節。亡くした人、残された想い、
別離の不安、大切と留めたい願いが交差する「相聞歌（チラシ）」
微笑みながら、しらず泪ねこ（いい年して恥ずかしいっス）。１１人の人生が丁寧
に描かれ、息づく舞台。演技演出は独特・猫尻調（なのかな）。丁々発止、漫才
みたいポンポン行き交う会話。ばたばたぱたぱたとコミカルな進行（布団で３人
ごろごろ楽しそうとか、あんまり舞台じゃしませんけどする）。先生とか、極端
キャラ。80年代ラブコメマンガな、のほほんさとたははさが天国的。楽しいねこ。
今回ファンお楽しみのラストダンスなし。替わり、冒頭レビューな顔見せあり。
笑いを誘うやり取りの中、はんなりと情感。みんな悲嘆な訳ありだけど、言い出さ
ない優しい人ばかり。言葉は尽くさず、断片のみ。演技な視線や佇まい、言葉の
片端で感情を伺わせる。こんな難しいこと、当然に役者の技量差現れ。稚拙な子も
結構。でも、身の内から湧き、自身を重ねるような、懸命な素直らしい姿には、
上手下手を越え輝く時あり。外観は似ても似つかないけど、つかこうへいの舞台
をふと連想したねこ。
物語の軸は、女将姉妹の救済と再生。かつての悲しみが忘れられない女将と周囲。
悲しみと喜びを小説にしては忘却、今を生きていく作家。かつての想い留めた
小説と逞しい作家との再会が、女将らの凍った心を溶かし、癒していく。穏やかに
咲くラストの桜のと重なって、しみじみねこ。
音楽。ちょっと卑怯にせつな系。女性ヴォーカル、クラシックのピアノ、ストリングス
多用。日本語歌詞と台詞のかぶさりがいいやら、悪いやら。ラストのユーミン
「春よ来い」：いとおしい日々を蘇らす〜な意味の歌詞がすっと舞台にはまりん。
役者。木村さん。切なそう、辛そうな瞳◎。大西さん。斜に注ぐ視線に想いたっぷり
、芝居たっぷり、演歌ちょっぴり。藤原さん。美人。きりりとした演技が場を締め。
南さん。コメディアンヌ。とんまなやりとりから時折覗く切なさ○。藤岡さん。殺陣が
切れる、将来楽しみな中学生。
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