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 野田地図 番外公演「農業少女」

 @三軒茶屋 シアタートラム(2000/9/8-10/9 37ステージ) @大阪10/20-11/8
 全指定前売り当日とも7,000円 当日トラムシート5,000円(バー形の腰掛け)

 作・演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 照明:小川幾雄 衣裳:板倉慶二
 選曲・効果:高都幸男 ヘアメイク:宮森隆行 舞台監督:廣田進
 演出補:高都幸男 美術助手:升平香織 照明操作:吉田泰正
 音響操作:近藤達史 ダンス振付協力:安藤洋子 プロデューサー:北村明子

 出演:
 深津絵里  :百子(東京に憧れて、でてくる少女)
 松尾スズキ :ツツミ(胡散臭いカリスマ)ほか
 明星真由美 :大阪で生まれた女(ツツミの仲間)ほか
 野田秀樹  :山本ヤマモト(百子に恋焦がれる中年男)ほか

 2000/9/9(土)晴れ 6:05-7:45PM(1'40) 手前最前方 客席超満員(320?人)
 客層:20〜30才代中心、年齢層高めシフト。女性過半数。
 客入れ:当日券、はHP参照。10-20枚/回。補助席5,6席、最後尾にバーに
 腰を掛ける席15人用あり。舞台真ん中の対面式客席。遅れてくると注目あびて
 恥ずかしいものあり。ロビーでお茶サービスあり。劇内容に関わるので呑んで
 おくとより楽しめ(チラシもね)。物販。パンフ(B6 500円)。ハンドバックに
 入って○サイズ。インタビュー充実。終演後、最終頁・夏の青空と線路写真に泪
 誘われねこ。

 少数精鋭、小空間の小劇場ファンには溜まらない、番外公演。野田地図、近年出演
 のできる役者達での今回。

 舞台。互いがみえて、ちょっと恥ずかしい対面客席、中央舞台。真ん中階段も舞台
 一部に使用。対岸まで5m、最前列はもう舞台の一部な至近距離。客いじり、もち
 あり。役者毎マニア向けサービス席あり(野田さんは手前ブロック通路脇、奥ブロ
 ックの下手前とか。松尾さんは手前ブロック上手前とか。深津さんは下手前とか)
 黄色床に××文様と幅いっぱいに「線路」。キャスター付箪笥を「客席」に見立て
 たり趣向。透けるカーテンを線路沿いに引き幕。映像投影など効果的に「壁」演出
 今回もシンプルな装置でイメージを膨らませて、かっこよくて素敵。衣装はなんと
 いうか、過剰に全身タータンチェック、ワンポイントつきでうーん。

 お話。南国の片田舎。農家の百子15才は「農業」がきらいで「東京」に恋焦がれ
 てる。つもりだった列車逃避行もひょんなことでホントに。偶然手を貸した、中年
 男・山本は百子にスケベ心勝り勝ちにして恋。二人は東京で再開、同居を始める。
 が、百子の気まぐれに中年山本、気が気じゃない。そのたび熱中のボランティアが
 胡散臭いのだ、浮気に猜疑心なのだ。ナボコフつうかキューブリックの「ロリータ
 」を本歌取り、社会行動学を絡めた恋愛ドラマ。

 近年作に連なる直球、野田秀樹の今日本について考えてること舞台。農業に恋、
 それは今時ないぞな逆説から、実を欠いた日本人のどこかへんてこブームを
 浮かばせ。それと道ならぬ恋路の夢見る刹那な愚かしさ、切なさを重ねてく。
 そんなかっこ悪い、おばかな「片思い」あれかしを手玉にとる悪い輩を暴露。
 ファシズムな歴史の連鎖から警鐘鳴らしつ、撃つ。な、ファン戸惑いの直球正義感
 もの。とはいえ、正義とも悪とも一様ではない人の深みをちゃんと描いて、かつ
 遊びも忘れずな娯楽作仕上げ。ありげな社会派と一線を画し、今回もさすがの
 完成度。に、うむむねこ。

 とテーマは難しいけど、役者芝居めちゃ単純楽しい。四人でずっぱり、面子から
 期待以上の放題加減◎。コケティッシュさにお惚け添える深津さん。胡散臭い、
 変な動き満載、大人計画ファンにとりわけ嬉しい松尾さん。あえて美味しくして
 いないのはマゾ?な野田さん。押し出し強いね、な明星さん。

 始まったばかりなのであんま書かないけど、注意点。危険つうか美味しいところは
 サブステージ。本編そっちのけになるやもしれず、要注意にして必見。細かい
 くすぐり会話、マニア受けねた、ダンスシーン、キスシーン、脱衣シーン、と
 サービスがあちこちで。おなかいっぱいになりつつ、別の席でまた食べて観たくなる
 幕の内舞台。公演後半予定のおかわりが楽しみねこ。

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