にんじんボーン「小津のまほうつかい」MITAKA“Next”Selection参加
＠三鷹市芸術文化センター 星のホール(2001/2/10-12,17,18 5ステージ）
http://mitaka.jpn.org/
全指定 会員前売2,700円 一般前売3,000円 当日3,500円
作・演出：宮本勝行 照明：倉本泰史［A．P．S］ 照明OP：岡野昌代
音響：青木タクヘイ［Stage Office］音響op：大久保友紀［Stage Office］
美術：埋橋真理 装置：高橋英司［C−COM］小道具：宇野圭一［至福団］
舞台監督：高橋大輔［至福団］宣伝美術 Tatsyuya 制作：にんじんボーン
製作協力：ネルケプランニング
出演：
初演(1991 TEAM僕らの調査局)は未見。「續…」は初演キャストとの比較を記載
＊＝「續…」にのみ登場 ・＝本編のみ登場
山口雅義 ：杉山幸二（堅実な脇役映画俳優）
＊おだちなつ：杉山きく（幸二の母）
大西知子 ：杉山幸子（幸二の妹）
＊瀧下 涼 ：安田修平（幸二の大阪の友人）
野中由美子：青木紀子（幸二の幼なじみ）
皆口裕子 ：北川久子（幸二の幼なじみ、幸二の思い人）本編には声だけ。
秋山恭子 ：三浦高子（美人女優。幸二の友人、後に結婚を約束）
大西一郎 ：小野寺辰雄（個性派映画俳優。幸二の悪友）
＊原 寿彦 ：高橋順二（二枚目映画俳優。間宮の友人）
＊内山奈緒美：桂木雪子（きつい性格の美人映画女優）
＊遠藤清弥 ：田沼綾子（西脇の恋人）
＊成田めぐみ：田沼美子（綾子の姉、小野寺の片思い相手）
森田理佐 ：花沢たまえ（間宮の家庭教師生徒、すぐ容姿をからかわれる）
大内めぐみ：高梨洋子（たまえの友達）
・蒲田 哲 ：間宮謙吉（脚本家）
木村方則 ：浅田平一郎（助監督、食い意地、だけじゃないけど、はってる）
中 友子 ：会田早苗（本舞台・銀杏荘大家の娘）
村越保仁 ：西脇康一郎（映画監督。映画は日本のヌーベルバーグと評され）
＊日下有一 ：坂本敬三（脚本家。西脇の友人）
＊宮 利之 ：沼田三平（かけだしの助監督、脚本家）
飯田 茂 ：河合 豊（中堅脚本家）
富浜 薫 ：矢部美佐子（浅田平一郎の婚約者）
2001/2/17(土)晴 2:05-4:15PM(2'10/休20後「續」) 前方より 客席超満員(260人)
客層：20-30才代中心に幅広く。下北沢ではみないおばさん客結構。
客入れ：クロークあり、コート、荷物預かり積極的。携帯注意は休憩中の「着信
確認」した方は〜と具体的に。通路補助席、立ち見あり、４時間超は辛かろうて。
折り込みパンフ。いつもながらA4 14ページのしっかりした内容。挨拶、細かな
役柄設定、役者プロフィール、過去公演データと充実。物販なし。
名匠宮本勝行・TEAM僕らの調査局時代作品(91年未見）、後日談である「續」と
カップリング再演企画。小津監督への熱烈なオマージュを淡々としたタッチで
綴った名作。再会にねこ嬉しくて、鯛平目躍るよ状態。でも、遅刻してすいません
でしたです。
舞台。間口一杯に続き部屋の日本家屋。簡素な作りが郷愁共感な。座卓ある居間、
右手に下宿部屋、左手に書き物座卓、壁に本箱。鴨居に大入り袋が画鋲止め。
いつも開けっ放しの襖障子の向こうに、右手玄関からの廊下。壁に日本映画
ポスター。廊下を右奥へ入るとテーブル、台所。年代毎に映画ポスターや箒が
替わったり、と移ろい、転換をさりげにサイン。
お話。昭和２０年代、松竹大船撮影所。そこからほどなくの下宿・銀杏荘。
明日の映画人を目指す、若者達の明るくユーモラスな群像劇。本編は俳優・杉山、
脚本家・間宮、助監督・平一郎の交流と別れ、そして杉山が遠く離れた恋人の
急死の知らせを受けるまでを描く。
愛おしい切なの幸福、永遠ではない人生の哀しみ。陽気なテンポの中、死と離別
のどうしようもなさを滲ませ、しみじみと味わい深し。物言い、くせ、間合い
など、細やかな演出でそんな人がそこに息づく充実。ふととぎれる会話、見交わす
笑顔や憂い顔に思いは言葉を越えて通い合う。無人の長い間も、その場になにをか
語らせるほど。そして、それぞれの物語がいく枝にも広がってく素敵。
オーディションで選ばれた役者は、小劇場でお馴染み役者から素人まで。それぞれ
の個性、見た目に合わせての配役○。巧拙を越えてのそんな風キャラの造り込み
きちんと。この辺、近年一番の充実度と思うねこ。自然体の演技の中、ちょっと
お芝居なユニゾン、繰り返しやりとり（歌舞伎ならオウム）がくすり笑い生み。
バカをちゃんとバカという、毒舌と暴力も嫌みならず健在。宮本勝行・作品をじっ
くり、しかし長さを全く感じさせず、堪能したねこ。
役者。木村方則さん。おばかなるも憎めない・栃木弁キャラ◎。大西一郎さん。
終始変わらぬ、愛すべき困った君キャラ、さらっと演じて○。大西知子さん。
ちょっととんまな明るさに和むねこ。山口雅義さん。語ればさりげに面白く、
語らずとも悲哀を佇まいに滲ませて、さすが。 ［月間一覧］ |