にんじんボーン「サイレントナイト」
＠下北沢 ザ･スズナリ(2000/11/1-7 9ステージ)
全自由前売り3,500円 当日3,800円
作：村上マリコ 演出：宮本勝行
照明：倉本泰史(A.P.S) 照明OP：田中雅子(A.P.S)
音響：青木タクヘイ(Stage Office) 音響OP：長柄篤弘(Stage Office)
舞台監督：高橋大輔（至福団） 舞台美術：埋橋真里 宣伝美術：Tatsuya
制作；オフィスタップス
出演：
山口雅義 ：伊吹 徹（人気作家）
秋山恭子 ：伊吹早苗（その妻）
宇奈月慎太：中山 猛（人気作家、伊吹の友人、同級生）
新堀真澄 ：田村シズ江（伊吹、中山が恋してた同級生の娘）
石塚義高 ：書生：岩田（伊吹の書生）
宮 利之 ：書生・竹田（伊吹の書生）
村越保仁 ：佐野勘一 （作家志望の青年）
高野裕子 ：佐野あい子（その妹）
大西一郎 ：橋本泰史 （作家志望の青年、勘一と作品を交換読書会）
おだちなつ：若松屋・女将
一箭美賀 ：若松屋・フミ
蒲田 哲 ：木崎裕次（伊吹、中山の同級生）
2000/11/2(木)雨 7:10-9:05PM(1'55) 前方より 客席9割（120人)
客層：老若男女。20才代後半？〜男性過半数。女性美人率やや高し？。
客入れ：ぱらぱらと埋まる客席。傘は各自傘立てへ。場内にもって入った人のは
案内が気を利かせ預かり。頼めばロビーで荷物預かりＯＫ。下手が見易い（どっち
かというと程度）、後方席は暑くなるので前へと、案内あり。折込パンフ。
厚手Ａ４展開式６Ｐ。写真メイン。物販なし。
名舞台「す・ま・い・る」(95)の物語を引き継いで、ちょっと変形した続編。
舞台。昭和20,30年代の懐かしい路地と家屋。廻り舞台で暗転を繰り返しながらの
三景。上手の木製ゴミ箱と下手の冬木立は固定。１景。小料理屋の裏手。木製の
晒された壁にひさしのついた曇ガラス。上手に店舗へのうす緑ドア。一升瓶の木製
カートンでにわかつくりのテーブル、ちょこらん。
２景。トタン塀と板塀に挟まれた路地。トタンには劇場ポスターが貼られて。
３景。畳のお茶の間。小さなコタツ、壁に小だるまに愛嬌の小箪笥、座卓と電気
スタンド。壁に魔除けのほうき（じゃなくてなんだっけ）あり。上手が母屋、下手が
玄関の設定。
お話。三つの出来事がちょっと人物を絡らませながら。
１・小料理屋の裏手、常連の作家二人はにわか仕立てテーブルで新装開店、自分達
だけの飲み場所確保してご満悦。女将と談笑、店の若い子をからかい、書生に
ちょっと小言いったりして。昔話にトリオだった旧友おぼっちゃま・木崎のこと。
と、こんいちわと女性来訪。学生時代の旧友、というか二人の思い人のむすめさん
もう懐かしくて嬉しい二人。
２・作家・伊吹宅の塀外。作家志望の佐野と橋本は互いの作品を路地裏読書会。
皮肉屋で見栄っ張り、でもいいやつな佐野、その妹は優しい橋本に好意を抱いてて
兄ちょっと淋しいかも。
３・伊吹のお茶の間。優しい奥さんと頓馬な書生は、しらず噂の木崎と主人の帰り
をまって歓談中。身なりはいいけど、なんか卑しい木崎。帰った主人に心配顔で
不安を告げる奥さん。察しよく金を準備する伊吹。クリスマスパーティ、招待した
木崎は来ず。その夜、泥棒が入って…。
穏やかにゆったりと過ごす幸福、小事件に際し溢れる慈しみの世界。微笑みながら
ちょっと切なく、しらず涙目ねこ。淡々と交わされる会話、語らずとも察しられる
思い。ちょっとした表情、間合い、細やかに自然に交わしての演技、アンサンブル
◎。もう描かれないドラマまで想われるほど。
役造りというより、そういう思いを抱えた人がちゃんとそこにいる。その充実、
完成度が素晴らしい。演技の巧拙にあわせ巧いことはめた、配役○。静か演技の
パターンにはまらせない、乱丁リズムや毒舌も嫌みならず挿入。嬉しい心配り
なり。中核役者はさりげに名優の域。宮本、山口、そして鎌田、秋山 各さん。
もう４０才だよ、世の中は思いがけないことばかりだ、の山口、鎌田のリアルな
やり取りにしみじみねこ。ラスト近く、かつての思い人を偲んでの、宮本、新堀
さんの会話も胸を打つ。登場しない女性の姿と人生が浮かび、もらい泣きねこ。
本格的に演劇活動再開、以前に増して手応えある役者と作品、と来年の楽しみが
また増え、嬉しいねこ。
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