＠下北沢 ザ・スズナリ(2008/8/14-20 10ステージ)
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全指定 一般3800円・学生2500円
作・演出：タニノクロウ 構成：タニノクロウ、玉置潤一郎、山口有紀子、吉野明
舞台監督：矢島健 美術：田中敏恵 映像：玉置潤一郎 照明：今西理恵
音響：中村嘉宏 特殊メイク：井上悠 演出助手：森準人 宣伝美術：タニノクロウ
デザイン：高市由香里 制作：對島静子 企画制作：庭劇団ペニノ
助成：芸術文化振興基金、東京都、セゾン文化財団
出演：
久保井研[唐組]、飯田一期、五十嵐操、熊谷美香、ラヴェルヌ拓海（子役）、
瀬口タエコ、矢島健、マメ山田
2008/8/17(日)曇 2:06-3:46PM（1'40）中段上手 客席ほぼ満員（130人)
客層：20-30才代中心に幅広く。シニア世代少々。男女半々。
客入れ：ベンチ2、椅子9列の狭め客席。中央通路あるも、早め入場が吉。折り込み
チラシ極厚。アンケートはボードと鉛筆付き。折り込みパンフ B5 3ページ。
配役、スタッフ、予定。次回公演。メジャーリーグ制作 2/4-15「ちっちゃなエイ
ヨルフ」＠あうるすぽっと 物販未確認。 カーテンコールなし。
折り込み別紙「観劇の手引き」に開演前に眼を通すようお願いあり。来日2年目の
ラヴェルヌ拓海君の教育プログラム、そのための疑似家族劇とか。
舞台。こじんまりとした昭和な木造住宅。2階は引き戸付きの小部屋。正面に四畳半
の居間、14インチテレビ、ちゃぶ台など生活感。下手側曇りガラス引き戸から台所
設定。屋根には煙突付き。上手側の廊下は奥で玄関と2階階段へ別れる設定。
転じて下手手前、風呂場、隣に小部屋設定。小さな庭には本土を盛り、家庭菜園。
構成。冒頭、喪服のような黒服の一団が台本？ぼそぼそ、ではと解散。少年に絵を
描かせて親子会話。以降、学校チャイムが鳴る都度、授業＊＝家庭劇が展開。
男は女を守るもの、母親を守れよなど、一見いい感じの親子関係。一人っ子の息子に
母親は二人目がほしいと仄めかすが、父親は覇気がない（倦怠期）。代わり、犬が
飼いたいという息子にひとまず犬小屋を造ってあげる心づもり。
両親が不在の間、少年はマインドフレンドな赤ウインナーの妖精から、うまくいって
ない両親・家庭の危機に立ち向かえと励まされ。屋根裏に潜み、出ては菜園を荒らす
・アル中のばあさんと闘い、退ける。
後半、父親は母親を縛り上げ、首輪と綱をつけ、犬とする。代わり、愛人を連れ込み
昼間からSEX三昧。息子に弟をつくってやろうという心づもり、実践。息子はなぜか
母を犬（母は消失）と認めてしまう。観客視点の父親の後輩は憤まんやるかたないが
犬な女に男の欲望を禁じ得ない。息子は愛人とは相容れず、立ち向かい、ついには
父親の心を取り戻すのだった。 これで授業は終了。
庭には花のツリーを登る子供、それを寂しそうにみつめる父親が残される。児童画に
スライドを投影して終い。
＊１限目社会のじかん「大人とふれあおう」 ２限目家庭科のじかん「食べ物を
大切にしよう」３限目体育のじかん「心と身体をきたえよう」４限目「道徳の
じかん「自由な心をもとう」
一筋縄ではいかぬ怪作と思いきや、なるほどぽきん金太郎な快作。少年のトラウマ
（両親の離別、母を失う、外的な虐め…）と治療な過程が、観客になるほどな教訓
また反面教師なプログラム。加え、追想（追悼?）の装い（黒服、茄子とキュウリ、
花々、星影）をまとい、お盆に哀切な物語を思わせ、しみじみ沁みるねこ。もしや、
少年を知る関係者？、はたまた作家自身？のセラピー演劇かもと邪推もされ。
大胆ながら繊細な発想と演出に、いつもながら驚かされ。妖精、侵入者、「犬」。
肥大する妄想と、緻密な心理描写が不条理も、条理を踏まえた人のありさまを鮮やか
に描き。作家の屈託した脳内がもっと見たい気になるねこ。とりわけ、ジキルと
ハイドに変化しながら、父たることは揺るがない久保井研の演技が秀逸。妖精な赤ウ
インナー・マメ山田が愛らしく、心をくすぐってくれ。
ほか。煙突から煙、風呂場から湯気、本物での食事場面などこだわりの装置や、
母を縛るに亀甲縛り＋巨大あやとり・東京タワーな引き綱をつけるなど、過剰な
ビジュアルもお楽しみ。
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