流星倶楽部「煙草屋 日の丸堂」
＠新宿・タイニイアリス (1997/9/30-10/1 ２ステージ）
全自由 前売り2000当日2300
作：星空ひかり 演出：寺岡永泰
出演：穴見圭司、小栗一紅、住吉真由美、山脇真、新田智美
1997/9/30(火)晴れ 7:35-9:00PM 椅子最前列から 客席満員（７０人、桟敷３列）
客層：老若男女。おじ、おばさんも結構多く、幅広い層でいい感じ。男女半々。
客入れ：開演時間５分遅れなこともきちんと連絡。中央席詰めなど配慮○。結構
早めに満員状態。開演遅めのせいもあるだろうけど、あややと思ったねこ。
大阪の劇団。東京初公演。ウィングフィールド「再演大博覧会」招聘作品とのこと。
舞台。ビルの谷間にある、小さな煙草屋設定（天窓付き）。下手に「たばこ」の
看板と昔の煙草屋：おとうちゃんのお使いか、えらいのう、なおばさんいそうな
小さな売場。隣に古びた引き戸。母屋は畳舞台。こたつが中央。その裏の壁に
手作りラック。古いラジオ、ペイント用品、プラモの箱とか。上手壁には煙草の
カートン一杯の商売用棚。レコードとプレイヤーもあり、主人公がレゲエ聞いて
踊ったり。その他、空き缶とか箱とか、雑然と気になるほどでなくあり。
全体、適度に生活の匂いして、落ちつける部屋印象。初演（96-6浪速グランドロマン
アトリエ）写真みると、棚は全部中央、普通のテーブル、下手に屋根へのはしごあり。
劇場と上演季節に合わせて変えたのかしら。
お話。成りゆきで煙草屋を継ぐことになった男（穴見）。商売に身を入れるでなく
無為に過ごす日々。そんなある日、一匹のネコ（？みたいな子？、小栗）がどこか
らともなくやってきて、そのまま住み着いちゃう。２人の不思議な生活。屋根には
巨大なパイナップル型アドバルーン、裏庭にはパイナップル。なんとわなし過ごす
彼らの元、友人の彼女やクスリ営業男（煙草嫌いなトラウマあり）がやってきて、
和みとどまり、去って行くな一日。
言葉少なくとも伝わる気持ち、じんわりと。ちと切なくも暖かい交流に微笑みねこ。
作風。ごくごく普通の自然な会話と立ち振る舞い。そこに猫そのまんまだけど、
女の子な「ネコ」。男にしか姿が見えない、声だけの常連女性客がいたりする不思議
特に「ネコ」はそんなもんだと、みな周知のよう。世界は最後までそのまんま。
男は南国行きを夢みるけど、温暖化でそのうちに〜な消極的願望でうだうだ。海外
旅行好きな現実的な女友達は、そんな男を気に掛けてる。けど、彼女も果たしても
満たされない思いがあって、そんな彼を否定できない。極端なのは、少年期、事故
でニコチン中毒になって以来、煙草×な営業男。最初煙草×と訴えた男も、結局何
も否定しなくなる。煙草屋にいるのにね。そんな風にして、気がつくと安んじて
長居してしまう人達。ありのままでいることは、不安、でも心地よくもある、それも
悪くないかなと。そんな共感の思いが抑えた会話、仕草、表情の中で、とてもよく
伝わってくる。練られた演技と舞台◎。
「ネコ」の演技◎。男と飛んで体ぶつけ合って遊んだり、すねたり。まるで猫な
魅力、沢山。心のままでいながら、どこか不安げな表情もいい。一生懸命家事する
「ネコ」。でも、自分のことを男がホントに必要としているか判らない。不安な気持ち
からか、颱風の夜、家を飛び出しちゃう。男は探そうとするが思いとどまって、
自分の気持ちが良く判らないから、でも・・。玄関の引き戸をすこし開いたままと
することで、気持ちが推して知られる。こんなさりげな演出がそこここで○。
他の作品も一風変わっているらしい。また、東京で公演してくれないかなあ。
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