新宿梁山泊「青き美しきアジア」
＠藤沢・湘南台文化センター
作：鄭義信 演出：金盾進
1994/9/4(日)3:00-5:50pm 晴 客席５割
ケレンのない叙情性。行き場のない孤独な心と、安住の安らぎ。
移動式回り舞台など、装置もなかなか○。紫テントのプレともいえる劇場版公演。
お話し。一面のサトウキビ。そよぐ海風。月に一番近いと言われる南の島。人々は
土地を守り、日々暮らしている。そこに、観光地にと土地を買い占めに、内地から
兄弟がやってきて・・。土地をめぐる確執。争いのなかの悲恋。破滅と融和。
を、島の場面に、都会の窓際サラリーマン（鄭、黒沼）の姿を交えて描く。
祭祀のような踊りに始まる３０分は、ちともどかしい。争いが始まり、恋、そして
破滅までの中盤は、ぐいぐい。この後の鎮魂で停滞せず、一気クライマックスなら
集中力が、続いて良かったかな。３時間近くで、カタルシスも小な公演。ちと、
このままテントだと辛いかも。
ラスト。行き場のないサラリーマンは、今いる場所に安らぎを見出す。逆に、安住
の地を去る者は、そこに遥かな思いをつなげる。両者の気持ちが、水のようにやわ
らかく心にしみる。静かな余韻の残る幕切れで○。
村松恭子は、ますますきれい。凄味があるほど。近藤優花改め、近藤結宥花は、
また男の子役。衣装も同じだったりする。力強い意志を感じる口元と瞳は、変らず
魅力。朱源実は、なんでも知ってる道化役。辛い展開を笑いで、味わい深く。
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