上海太郎ひとり舞台「センチメンタル・ジャーニー」
＠芝・増上寺境内 野外特設ステージ (1998/10/22-23 2ステージ)
全自由前売り3000 当日3500
構成・振付・演出：上海太郎 振付：室町瞳 出演：上海太郎 ほか７名
照明：大川貴啓 宣伝美術：東学 制作：上海太郎舞台公司
1998/10/22(木)曇り 6:55-8:00PM(1'05) 前方より 客席満員(130人)
客層：20-30才代中心で幅広く。女性過半数。スーツの男性客もちらほら。
客入れ：増上寺前道路・横断待ちのお客に向けて会場案内、暗い境内では懐中電灯
誘導の心配りあり。座席は前後互い違い配置、高台舞台なんで観難いことなし。風
がちとあってしだい底冷え。帰路暖をとるに困らない、お店一杯の浜松町なり。
BeSeTo演劇祭上演プログラム。ねこには「ＳＥＸ」('93)以来の久々ひとり舞台。
会場。外から客席舞台とも見える野天劇場。壁、天幕がないから通行人のタダ見可
といっても、一別するだけで通りすがる人ばかり。横８×奥４ｍくらい黒い高台舞
台。背景は杉の大木と周辺木々。静かな場面では吹く風に葉擦れの音がさわさわ、
ざわざわと。静寂を醸す効果◎。
なにをか誘われるよう、旅に出かけ、いろいろ人生をかいま見ていくオムニバス。
お茶目で楽しく親しみな、物語るマイム。肉体派な無骨な外観に似合わぬ、なめら
かな動き、表情の豊かさ◎。「男の一生」の猫の目のように変わる登場人物の心の
まま、気まぐれなテンポが愉快。「バレリーナ」の悪戯な目つきとか、ねこの琴線
にふれて嬉し。バレエは形をきっちり決めて（みえて）、心地よし。踊り自体のへ
っぽこを笑うような安直なものとなってないのに好感ねこ。「マラソン」は座布団
２枚あげたいおかしさ。追いつ抜かれつを露天劇場を巧くつかった距離感で即物的
に表して愉快。かとちゃん上海に笑うねこ。「スポーツマン」〜「エピローグ」
見果てぬ夢を追う人の絶望と意志をこまやかに描いて感動的。しみじみねこ。
主な構成
それぞれの冒頭、おなじみのギャングスタイル（マラソンではランナー（寒そう）
）の子がタイルカードをもってポーズ。
１プロローグ
男１人。空から降り来るものに思いはせ、胸に宿る気持ちなあこがれな手紙？地図
？に導かれて旅にでる。飛び立つ鳥を追い、見失ったりしながらも。ゆったりとし
た動き、ふわりと包み込む所作。近く今の孤独に沈み、遠くを望むよう移ろう視線
の変化が印象的。
２バレリーナの一生PART1
バレエ養成所なおしゃべりＳＥ。公演の配役発表。私のは？、がーん、これってみ
そっかす。悔しいから名札かえちゃえ。あっ、主役のおねえさま。罵声、飛ばされ
悲しい、悔しい。悔し紛れに握ったこぶしに画鋲あって、痛いし、みじめ。画鋲！
！、これよ、バレエといえばトゥシューズに画鋲よね。白鳥の湖、公演当日。プリ
マの子のに。出番の合間にたばこぷかり。さあ山場、カウンティング、悲鳴高々、
救急車。私は嬉しくて高笑、真っ赤なライトの中で。（寝不足だったので？なとこ
あり、想像での補間あり。画鋲どう仕組んだのか？。トゥじゃ鼻からわかるしね。
）バレエの場面はそれぽく？振付、客席お姉さま方中心に大うけ。
３男の一生
老いてもすけべ心わすれずな、とほほ男の一生。幼年。お遊戯の時間、スカートめ
くり。中学生。初めてのエロ本にびっくり、高ぶってオ◎ニー（を綱のぼり〜陶酔
脱力するマイムで。一部男性客に大うけ）。青年。ボーイ・ミーツ・ガールズ。高
じてダンスで女の子ふりとばし、ときめきの出会い。ポップス、クラシック、フラ
メンコ、ハワイアン、タンゴ、昭和歌謡などと節操なく踊ってアプローチ。ジャー
ジーな曲で大人を、お遊戯な曲で子供に、果ては山羊まで手を出す始末。でもみん
な振られちゃう。老年。金に物言わすとこ変わらず、でも振られる淋しさ。
４バレリーナの一生PART2
（前略）、なんか頭にぶつかっちゃって今度もみじめ。頭にあたる！！、これだわ
と邪気満々。ジゼル、公演当日。ホールの天井にのぼってなにやら落ちもの仕込み。
澄まし顔で村娘な背景で踊り。プリマが立ち位置に、それっ、悲鳴、救急車。私は
嬉しいと高笑い。
５マラソン
舞台後方、大門からランナーの一団が舞台側に走ってくる。意外性に受ける客席。
舞台上。トップランナーは次々脱落後じんへ（その後ろ走りにまた受ける客席）。
腹痛、あごはずれ、鼻血、ランニングパンツ脱げるとかで。迷子を背負って、おろ
おろとほほしてる子がおかしい。はげ頭ぐるぐる眼鏡ドテラな、かとちゃん造りの
おやじ・上海太郎、が応援旗振りながら珍入。いつのまにかトップに。他のランナ
ーはばてて、地面でしんでます。野外の奥行きを活かした、追いつ抜かれつの相対
位置マラソン、そのどさくさがおかしい。
６バレリーナの一生PART3
（前略）、みじめ、お腹もなんか痛いし。これだわ、下剤！！、バレエといったら
下剤よ。ドンキホーテ、公演当日。どうぞ、とみなにクスリもった飲み物配り。や
ったわ、高笑い。室町瞳に替わり、花園美和子が代役。嬉しい私。公演大成功。ど
うかしらと袖から剣がある目で確かめて、一転天真爛漫な表情でカーテンコール。
みんなで乾杯。あれ、お腹が痛い〜、こんどは私が救急車にぃぃ。
７スポーツマンの一生
車椅子に座る男、気が抜けたように。彼の夢な回想。子供時代のボール遊び。初め
てのグローブでしたキャッチボールの楽しさ。誕生日にもらったバットのうれしさ
学生野球時代の苦しさ共にあった、すがしさ。プロで人気者、上り調子に満ちる気
持ち。そして、それらをリセットするかのような事故。看護婦付きじゃないとどこ
にも行けない男のそれでも歩き続けたい思いを描いてく。回想場面の元気はつらつ
、ちと抜けた愉快な場面に微笑、今の悲しみが胸に来るねこ。
８エピローグ
歩き続ける男、高原を山をゆき、吊り橋であろうことか落下、水中へ。やっと探し
当てたそれはボール、ただの、がっかり、蹴りとばして再び旅へ。手紙を胸に朗ら
かに。Ｍナイマン（エナミーゼロの曲？）のせつな系の曲がＢＧＭ、しみじみと
まとめて○。
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