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 劇団世界☆一団「荘厳序曲2025年」

 @下北沢 駅前劇場(2001/1/26-28 4ステージ) http://www.honda-geki.com/
 @大阪 HEP HALL 1/12-15
 全自由 前売2,700円 当日3,000円

 作・演出:ウォーリー木下 舞台監督:城田邦生[劇創ト社]
 照明:大塚雅史[DASH COMPANY] 舞台美術:柴田隆弘 音響:奥村威[T&Crew]
 衣装:金崎めぐみ、こあーる ヘアメイク:とみつるくうこ ほか
 オブジェ:小松造形研究所、真木丸槙 プロデューサー:森重光恵、木部紀子
 出演:(/以降、二部)
 平林之英 :ボク、DJ
 希ノボリコ:ポワロ
 赤星正徳 :弁護士、刑務官1/種を蒔く男、欲望の郵便配達夫
 年清由香 :研究員1/翼のない少年、嫉妬屋
 小松利昌 :WPC所長、ジュージ、運転員/シャドウ
 吉岡晶子 :ポール/S
 工藤丈徳 :ジョン/ナルシスト
 井田武志 :研究員11/へつらい
 東善仁  :刑務官2/あざけり、甘えん坊
 安元美帆子:リンゴ、医者/チャイコフスキー
(椎原小百合は急病のため休演)

 2001/1/27(土)雨 7:05-9:05PM(2'00) 前方より 客席満員(120人)
 客層:20-30才代中心。男女半々。コアな小劇場演劇ファン印象。
 客入れ:場内誘導2名、積極的。荷物預かりが消極的なのは△。背もたれ椅子の
 間にせまいベンチシート2列。桟敷、詰めはなし。当日券5名ほど一時立ち見
 待機も空き席あってよかったね。当日でも受付可、事前TELが○。折り込みパンフ
 、A4にクレジットのみで簡略。物販。未確認で?ねこ。

 5年ぶりの東京公演。神戸大阪じゃその間、人気上昇。満をみたし、再演公演を
 間近に控えて、やる気の新作上演。前回とはうって変わって、満席の会場に溜飲が
 降りたかな?。

 舞台。大小の白い格子タワー(梯子立てかけられ、淡い色ガラスをはめ込み)を
 ハの字・パースペクティブに並べ。

 お話。幼くして父親殺し、未成年免罪なんぞない近未来では死刑犯。ずっと服役
 の「ボク」に課せられたのは、ある男の心への潜入実験体。ほとんど成功しない
 サイコダイビングはまあ事実上刑執行ってところ。刑務所でかわいがってた、
 猫・ポワロと一緒にまるで潜水のように沈み。

 そのころ「地上」では金塊強盗犯たちが侵入して、大騒ぎ。要求は、お宝の在処
 記憶をなくした仲間=被験者の心に入り、その記憶を探せというもの。もめてる間
 にトチ狂った刑務官が銃乱射、皆殺し。サイコダイブしてるボクにそのキチガイが
 いうことにゃ、被験者も死んじゃったらしい、じゃあボクとポアロはどうなってる
 の?。って、いつのまにか、しゃべれてるポアロと。このあとが二部。

 荒くれる海=意識の混乱。宇宙人に追われたりの末、助けてくれたのはS。かつて
 サイコダイブした研究者な意志。自我なパトロールに追われたりしつつ、あきらめ
 ないS、もうひとりの自分なシャドーに勇気づけられるボク。誰も愛せなかった
 ボクの心に芽生えるSへの恋の思い。幼い日の記憶を唯一の幸せに、父親(殺し)
 なコンプレックスに縛られてたボクの心は癒されてく。

 ここからの脱出、ボクを葬ったキチガイへの報復と世界のリセット。後日談。
 猫ポアロはいつのまにか、金塊の記憶をサルベージしていたのだ。やったね。
 猫と音楽、それが人生で大切なことさ。

 心躍り、心深く沁みる意欲的娯楽作。ささやき割せりふで、生活音、効果音。
 ユニゾン、リフレイン、ディレイアレンジもして、多層なポリファー。
 冒頭、ボクの幸せの記憶=なんでもないお茶の間音とか、混乱の中、ボクの言葉を
 疑問形でエコーする猫とか、印象的場面ねこ。
 
 形態イメージのモブの動き、天衣無縫なスムーズさが○。とっても稽古の完成度に
 音楽とかセンスのよさを重ねてスピード感。その選曲○。一部のポップスもいい
 けど、二部のクラシックがなおはまり。夢に定番ドヴィッシー、弾むテンポで
 誰のだっけ?のスラブ舞曲、脱出場面に胸躍るチャイコ「荘厳序曲」。そして幸福
 回顧場面のバッハ「人の喜びを…」にはしみじみねこ。◎予想の大塚照明、期待
 違わず。蒼氓の美しいビジュアルにうっとりねこ。

 ありげな枯れたテーマ、モブシーンはピスタチオ変奏、Sとか人物の心変わりが
 なぜか唐突にあったり変、時々詰まる役者が惜しい、とか文句をいえばあれこれ。
 でも、止まらない勢いと試みの意欲に未来を感じるねこ。キチガイの言動で崩壊
 したり、復讐の悲劇が絶えない醜い世界をちゃんと見つめた作劇も○。見た目の
 ポップさに埋もれてないし。

 役者。小松さん。すべってます、愛嬌あり。希ノボリコさん。あんまり前面でない
 けど、平林さんへのつっこみもナイスなコンビぶり。

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