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 シアターコクーン/Bunkamura製作「労働者M」

 @渋谷 Bunkamuraシアターコクーン(2006/2/5-28 28ステージ)
 http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/
  全指定 S席9000円 A席7500円 コクーンシート5000円

 作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ[ナイロン100℃
 美術:中越司 音楽:伊藤ヨタロウ 照明:原田保 衣装:前田文子
 音響:水越佳一 映像:上田大樹 ヘアメイク:川村陽子
 振付:横町慶子[ロマンチカ] アクション指導:西村良治郎、西村陽一[JAE]
 演出助手:石丸さち子、相田剛志 技術監督:堀内真人 舞台監督:明石伸一
 宣伝美術:永石勝 制作:佐貫こしの他 プロデューサー:加藤真規
 企画・製作:Bunkamura 主催:Bunkamura

 出演:
    現代 悩み事相談実はネズミ講|近未来 私設収容所 /ほか
 堤真一   :牧田(職員。アル中?)|ゼリグ(革命Grリーダ,潜入居住者)
 小泉今日子 :ミミ(職員。悪女?) |リュカ(収容所幹部 謎めいた女)
 松尾スズキ*1:黛(職員。粘着うつ性)|ランプ(収容所員 鬱積を抱える) /父
 犬山イヌコ*2:ミドリ(職員。道徳的)|サキ(取材にくる)  /ロラン夫人/社長
 田中哲司  :目崎(職員。精力旺盛)|クラウス(革命Gr,潜入所員)/窓口の男
 池田鉄洋*3 :益子(職員。自殺?) |トマッソ(革命Gr,潜入所員)/ニセ堤/ギョタン博士
 今奈良孝行*4:三島(職員。うつ性) |ダントン(革命Gr,潜入居住者)/看守の男
 明星真由美 :ミサオ(訪問者)  |ハンナ(革命Gr,潜入所員)/ニセ小泉/教師3

 山崎 一  :森(入り浸る警官)  |ポタージュ(収容所員) /教師1
 秋山菜津子 :モリィ(森の知り合い)|ユードラ(収容所セラピスト)/母/教師4
 篠塚祥司  :宇田(失踪室長の使い)|ピエンタ(収容所員。ゼリグに恨み)/教師2
 貫地谷しほり:アヤカ(故益子の妻) |レナータ(リュカの訪問者) /妹/教師5

 *1[大人計画] *2[ナイロン100℃] *3[猫のホテル] *4[エッヘ]
 2006/2/11(土)晴 2:02-5:22PM(1'59/休15/1'06) 1F最前方 客席満員(810?人)
 客層:20-30歳代を中心に幅広く。女性7,8割。
 客入れ:当日券。中二階立ち見は売切、S,A,2F立ち見は残席あり。最前1列撤去、
 列番の付け替えあり。後半、最前列客に自分の身は自分で守るシート配布(水用
 じゃなし)。長時間につきトイレ長蛇、15分内だけど外へでた方が早いかも。
 折り込みチラシ極厚1cm。パンフなし。物販。パンフ(A4 50ページ 1800円 
 マウスパッド付) 大槻ケンジ対談収録。ポスター700円。 カーテンコール演出
 込みで1回 熱烈拍手も2回目はなし。

 常に新しい演劇レシピを供するKERA、美味しい役者素材を得て、期待の新作酒肴。
 舞台。コンクリートと鉄骨の空間。中央高く、ハの字コンクリ壁部屋。ファンや
 配管が走り、工場敷地内雰囲気。回り舞台となって3方転換。両脇に3階キャット
 ウオークに上がる黒い階段タワー。

 お話。2つの物語世界が交わらずに併走。冒頭にそんなことを前説。戦争により
 壊滅した世界。とある私設収容所は収容者の衣食住を保証するが、その目的が謎。
 搾取の匂いをかぎ取った革命家達は調査すべく潜入するが、収穫はなく、志さえ
 あやふやになってしまう。もうひとつは命の電話相談所。というのは隠れ蓑の
 ネズミ講。所長が失踪し不在、従業員達は互いにいがみ合いながら、身勝手に仕事。
 細々凡々と過ごす彼らだったが、無自覚な悪意に端を発した出来事から、破滅に
 向かってしまう。

 奇抜な趣向、綿密な造りこみで、刺激的もこくまろ旨し。コンビランチみたい、
 味わい2種の欲深サービスな2世界同時。ハードな世界にシュールさと脱力感を
 加味して、KERAらしい収容所。鋭い人間観察眼が冴える、造り込まれた日常会話劇
 の電話相談所。それでどうなるの?と期待と不安で牽引、裏切りもまた期待通りの
 お楽しみ。キャラ違いの2役をくるくると早変わりしてく役者芝居もまた。物語は
 とこどこモザイクが掛かり展開。概ね緻密で判りやすい会話劇なのに、時々不明と
 なる意地悪さ、嫌らしさが素敵。

 勇んで空振り、期せず破滅と対照的に、愚かな人の様を描いて相通じ。今までになく
 湿った感触、相談所のラストなど、視線の寛容さにふーんねこ。

 役者。面倒なキャラ、それを2役こなしてさすがの面々。堤さん。押し出しよく、また
 楽天にからっとした男ぶり○。小泉さん。無自覚な悪意を発する黒い魅力、逞しさが
 アナザーフェイス。松尾さん。伏し目がちの小動物、ねちこい芝居と変な動きから
 目が離せず。犬山さん。内省が伺える、地味キャラ(相談所)がアナザーフェイス。
 秋山さん。晴れやかで潔く、女優魂をみた思いがするねこ。

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