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 THE SHAMPOO HAT 第19回公演「恋の片道切符」

 @下北沢 ザ・スズナリ(2006/3/17-26 14ステージ)
 http://www.honda-geki.com/suzunari.html
 指定席:前売3300円 当日3500円 自由席:前売3000円 当日3200円
 平日マチネ23m 指定席3000円当日3200円 自由席2800円 当日3000円

 作・演出:赤堀雅秋
 舞台監督:高橋大輔+至福団 照明:杉本公亮 音響:田上篤志[atSound]
 舞台美術:福田暢秀 舞台製作:F.A.T STUDIO 宣伝美術・CG:斉藤いづみ
 衣装協力:松本夏記[ミシンミックス] 演出助手:岩堀美紀ほか
 舞台写真:引地信彦 制作:HOT LIPS(三谷郁奈/相田英子)
 企画製作:THE SHAMPOO HAT
 出演:
 野中隆光(野中孝光改め):佐々木孝一(バイトの面接に来た男)
 大堀こういち:金子春男(パチンコ屋店主)
 日比大介  :金子哲也(春男の弟)
 いけだしん[猫のホテル]:古川浩司(力持ち)
 星耕介  [Oi-SCALE] :李秀忠(イ・スチュン)
 多門勝   :中山輝彦(パーマ屋の息子)
 黒田大輔  :杉田伸一(フリージャーナリスト)
 児玉貴志  :田辺稔 (隣人)
 赤堀雅秋  :警官
 原金太郎  :平井二郎(草野球チームの監督)

 2006/3/18(土)曇 7:36-9:20PM(1'44) 中段下手 客席8割(130人)
 客層:20-30歳代中心、男女半々。コアな演劇ファン中心?。
 客入れ:後方とサイドに空席、もったいなし。自由席ベンチ2列、雛壇にパイプ椅子
 10列。上手側を向いた舞台装置のため、端席で下手壁が見切れ(支障はなし)。
 折り込みチラシ多量、輪ゴム止め親切。折り込みパンフ A5 3ページ。挨拶、配役
 、予定。次回公演 10月にスズナリ。 物販。台本1000円。

 久々にみるねこ。
 舞台。朱色の壁、エメラルドグリーンのカーペット。縦横むき出しの天井の梁に
 蛍光灯、正面壁は中程で斜めって、部屋の歪みを伺わせ。上手奥、入口開口。上に
 金日成の肖像。正面少しあけられたサッシと洗濯物、下手にアルミのドア。
 調度は、塗り残しのある上手壁際に流し台と冷蔵庫。中央にソファ、テーブル、
 いくつかの丸椅子と扇風機。下手にロッカーとパチンコ広告のポス類。

 お話。ぱっとしない場末のパチンコ店、その2階、従業員休憩室兼事務所。盛夏と
 いうのになぜか停電中。バイトの面接に現れた男に、在日三世の店主弟は殺気立ち。
 彼の家族に関わる事件の当事者、だからだ。週末の草野球試合のミーティングに立ち
 寄った連中は、暑いしもうなんだかなあ雰囲気。そんなところに、空気を読めない
 不法駐輪トリ締め男。その頃世間では、自民党ホームページに北朝鮮からの宣戦布告
 文。等々、お騒がせの口火を切って…。

 自覚せぬ「戦時下」を非日常の日常から炙り出した秀作。久しく見ない間に達者な
 群像劇スタイルとなってて、ほよよねこ。バイト君とパチンコ店家族の事件や宣戦
 布告怪文書のエピソードを伏線。痛みを負った在日三世と無自覚な悪意をもつ日本人
 、仲間、家族、男女らのいくつもの不一致とあつれきが重層。そこにある感情と理性
 、守るべき誇りと生活のせめぎ合いから「戦時下の日本」という日常を描いていく。
 日本人の(戦争)責任を声高に叫ぶことなく。人の持つ悲しさ、おかしみを添えること
 忘れず。人間ドラマからうかばせてなお、迫るものあり。協調はすれど融和はせず、
 なラストが、厳しくも暖かな余韻を残して○。

 役者。できる役者ぞろい。客演が個性を放ちつつ、世界にとけ込んでさすが。

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