＠三軒茶屋 シアタートラム(2007/6/1-3 3ステージ)
http://setagaya-pt.jp/
全指定 一般3000円 当日3300円 学生2500円 学生当日2800円 (学生証提示)
友の会会員割引2700円 世田谷区民割引2800円
＠滋賀 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール大ホール舞台上舞台 7/28-29 2ステージ
振付・出演：寺田みさこ 美術：高嶺格
照明：高原文江[真昼] 音響：宮田充規[GEKKEN staff room]
舞台監督：浜村修司 技術監督：夏目雅也 振付助手：石井千春
振付協力：砂連尾理 宣伝写真：笠井爾示 宣伝美術：木村三晴
協力：石井アカデミー・ド・バレエ 宮階真紀
制作：橋本祐介、小倉由佳子
主催：砂連尾理＋寺田みさこ 提携：世田谷パブリックシアター
助成：平成19年文化庁芸術創造活動重点支援事業 京都芸術センター制作支援事業
2007/6/2(土)晴 4:10-5:04PM(54)最前方中央 客席満員(200人)
客層：20-30歳代中心、男女半々。
客入れ：A-C席撤去。案内常駐。折り込みチラシ厚め。折り込みパンフ A6 3ページ
カラー写真とプロフィール、予定。次回公演。8/4，5 トヨタ コレオグラフィー
アワード ガラ公演。9月ベルリン公演。 カーテンコール2回1分。
ものとの絡みらで特異な、まさにコンテンポラリダンスを上演してきた砂連尾理＋
寺田みさこ。から、寺田の初自主ソロ公演。
舞台。床の一面は、正面中央の劇場扉とも真っ赤。奥側のくぼみは水槽、ホースは
空気入れ。壁際に椅子、上手にゴミ袋、下手にマイクスタンド。上空、○と□は
バブルマシーン。
構成。コールガールに挑発。あらゆるポーズでフェラチオ鍛錬に余念がない。罰ゲー
ムで踊らされる。つもった泡の中、ダンス。遍歴後、墜ちる。自ら、ゴミ袋の中に
入り処分する。
奇態も奇体、得意なありさまは期待通り。自由なのに不自由、自在なのに足かせを
はめたよにダンス。フェラチオ、ティッシュ詰め、水と泡ら障害と取り組む荒行
仕立て。も奇妙な動きと姿勢も難なく、美しく、驚異のバランスでこなし。昆虫か
サイボーグか、人間離れしたものを感じさせて、ぞくぞくしちゃうねこ。素はおっと
り京美人、理解不能の荒行願望とのギャップもたまらない。
構成覚書
・白ハット、ジャケット、ホットパンツ、ピンヒールにサングラス。コールガール？。
挑発するように壁に寄りかかったり、歩行、ポーズ。床水槽の水が空気で沸き立つ。
・ASA-CHANG&巡礼 12節。カウンティング音楽に合わせて、つきあわせた指を口に抜き
差し、フェラチオな動きを持続したまま、床ダンス。転がり、足を上げ、差し替え。
起立、バレエな動きで屈伸、回転もフェラチオ動作はキープ。足を組み替え、
スキップ。後方の椅子に座り、ばたばた。床水槽の縁に頭。口にティッシュを含む。
はき出して？、フェラチオ継続。
・下手のマイクで１２３と声だし。ティッシュを耳に入れたり。指示の声、罰ゲーム＝
踊る。酔っぱらう、髪を切る。椅子に座るとぶーぶーきっしょん。ゴミを分別する。
座る。指示の声は絶え間なく、続く。ティッシュが置かれた椅子からは水が垂れて
いる。
・ゴミ袋から毛皮とアフロヘアをとりだし身につける。四つんばいでゴミの中に立つ。
指示の声はテキストのモノローグに変わっている。彼女は○○をしなかったを連綿と
読み上げ。
・溶暗。薄暗がりでフェラチオ再開。上空から泡が雪のように降ってくる。下手がまん
丸。上手が□に床に広がる。横に回転しながら、泡の縁にたつ。滑るように動き。
上着を脱いで落とす。足を交差、手首をくねり。音楽はバッハ、パルティータ？。
さらに脱衣、足を抱き、落ち着かず。ブラとパンツ姿でうつぶせ、大の字に寝る。
後ろにはいずって、泡の縁。足を泡に入れ、仰向け。這いずり、廻り。
・低音のリズム音楽と水音。中央で腹ばい。四つんばいで横滑り、生まれたての山羊の
ように立とうとする。
・ヴァイオリン音楽。四つんばい〜立ち、体まさぐり。滑り、回転して上手。壁際、
中腰より低いポーズ。舞台を一周、中央奥の扉前でスポットライト、空を仰ぎ。
シルエットが浮かび。エビぞり、前傾、伸びて崩れる。手の動きをいれ。音楽高揚。
床水槽の縁、水に足を入れて座り、上体をゆらす。
・水槽から光、舞台一面青。直立姿勢でくねる。そのまま水槽へ落ちる。暗転。
・客電点灯。水槽から上がってうろうろ。ゴミ袋へいれて片付ける。客席に降りて、
ゴミを拾う。舞台へ戻り、後ろ向きで全裸となりゴミ袋のなかへ入る。Ｖサイン
した？。袋に入ったまま転がり、水槽へ落ちる。
ポストトーク 5:17-5:54（37）客席6,7割
寺田みさこ、高嶺格、砂連尾理、？（世田谷パブリックシアター ）
抜けや不正確なことをお断りします。
司会：ポストトーク前に、今後のダンス公演の案内。みさこさんはお水につかった等
で準備が立て込んでいる、先に2人のトークを行って、みさこさんを待ちたい。
紹介。一人で踊る機会は？。
砂連尾 :他の振付でバレエで踊る作品はあったが、ソロは初めて。去年位から彼女は
考えていて、3月もずっと部屋にこもりきりで考えていた。京都で週2回、振りを
みてなにかあれば協力をという形。主に2人で作られていた。
高嶺 :わりと最近ですよ。4月半ばまで、みさこさんのイメージができないとかで
待ちの状態。（その間、高嶺さんは一人でイメージをふくらませていた？）
劇場の下見に来たときから何となく考えていた。みさこさんの大枠のアイデアが
ないと進まない。待っている感じで。（みさこさんのイメージを聞いてから、アイ
デアを出していった形？）僕はみさこさんの言葉でこんなことというのを待って
いた、動きをみるとか、不安ならその話を聞くとか。作品に関係ないことでも、
十分にイメージに繋がることはあると思うので。
寺田みさこさん紹介
司会：みさこさんから高嶺さんへ美術をお願いした形ですか。
寺田：はい。（皆さん関西中心に活躍されているが、もともとの面識があっての依頼
か、今回特別な思いがあってか）知り合いは知り合い、だいぶ前から知っていて、
美術とか映像はみせてもらって、すごく好きだった。普段も面白いし。妙な人やな
と思ってて。
みんなに手伝ってもらわないとできないと考えていて。高嶺さんは舞台美術の
専門家じゃないじゃないですか、作家性をぶつけてきてほしい思いがあった。自分
はバレエで発表するとか、舞台で発表するのが前提になっている。その前提にすご
く広く視点をもったひとにつっこんできてほしいなという思いがあってお願いしま
した。
司会：高嶺さんは自分がつくるのと、提供するのと、関わり合いが違ってくると
思うが。
高嶺 :舞台美術をやるときはなにもない、素舞台でやりたいというのがある。きめて
るわけではないが。最初から素舞台がいいじぇないかと。
寺田：素舞台がいいんとちゃう？といいながら。
高嶺 :黒人を100人くらい、床かどうかわかりませんが、その中で踊り続けるのは
どうと言い続けていたが、見事に無視されました。(いまは床は赤ですけど）
司会：砂連尾さんは2人の作業を引いた立場からみて感想とか。
砂連尾 :定期的に相談はうけてきて。会場にとんがったものを出していきたい。
そのためにいままで私たちがやってきたのじゃない切り口で、どこまで過剰に
なれるのか。高嶺さんの作家性とどう向かっていくのか。黒人100人をどう敷き
詰めてとか、製作のプロデューサーも100人だったら集められますといっていて。
どうしていくのかなと。却下になったアイデアがあって、寺田さんがどうしましょ
かというところで、いままでは自分からこうしようだったが。その感じはやめます
と寺田さんから高嶺さんへ言っていたところは、僕には感慨があった。それだけ
とんがっていきたいという思いが、時間をかけてこんな形になったというところと
思う。
司会：2人の作業はどんな感じで。アイデアをだして却下するのか、交換していく
のか、主導権とか。
高嶺 :僕のアイデアが却下になったときに初めて話をさせていただいて。僕はフェラ
チオの話ばっかしてましたよ。ちょうどフェラチオのワークショップの仕事、企画を
していたときで。相手はなんなのかとか、世界に支配されるとか関係の話とかして
いて。汚ればっかですいませんけど、ずっとダンスをやっていたのでコントロール
がある程度効くと。そこに不確定要素を、自分以外の要因で身体がコントロール
不能にしていくにはどうしたらいいかと話していて、じゃあバイブレータを中に
いれて踊ったらどうだと。リモコンを僕がもって操作して、踊れなくしてみようと
買いに行ったんですよ。
寺田：買いにいってこのリモコンもちょっと小さくならへんかとか言っていたら、
お店の人に開発かなんかされてる方ですかといわれたり。何回かね。
司会：結局却下になった？。
高嶺 :ぜんぜんだめなんです。なにもなかったかのように普通に踊ってるんです。
もっとパワーがあるやつをとスーパーオルガスムス…とか買ったが、全然感じて
ない。
寺田：リモコンの調子もわるかったりして。
司会：びわ湖ホールの上演はすごく大きな劇場。オペラホールの舞台の上に客席を
つくって上演されると聞いているが、却下になったこととか変わった作品として
出現するのでしょうか。
寺田：両方やるというのがあったが、焦ってここのことしか考えてない。具体的に
考えていない。だだっ広い空間なのでなにか考えないとダメですね。
司会：そういったことを次はどうすると考え続けることが今日のみさこさんのダンス
にも繋がる気がしたので伺ってみた。感想ですが、ぜひレパートリー的に加えて
発展させてほしいと、非常に力強い作品と感じました。今後の活動としてはソロ
活動を通じて、デュオにつなげてほしいと思っていますが、予定はどう考えて
いらっしゃいますか。
砂連尾 :いい経験になったと思う。夏に振付をやる。16年をやってきて、試しながら
模索していくのかなと。
質問コーナー
Ｑ１ (女性）タイトルの意味
Ａ１ タイトルが先、とりかかるのはぎりぎりになった。愛という言葉をタイトルに
つけるのはむりむりと思っていたが、つけたいなと思いがあった。電子辞書で言葉を
よく探すが、「哀音」という言葉があった。哀しい思いにさせる音調とそのままの
意味なんですが。もともと音楽の長調と短調で、なぜ多くの人が哀しいとか楽しく
なるんだろうという疑問があった。自分の父親がギターを弾くが、短調が自然界に
ある音域があるとか、そのことが印象に残っていた。音楽の普遍性にあこがれが
あって、その言葉を借りちゃえと思ってつけました。（高嶺さんは最初にタイトルは
聞いていました。イメージとか）高嶺 あまり考えていない。
Ｑ２ （女性）結果、泡になったのはどんな経緯
Ａ２ ぱっと思いついただけで、みさこさんのいったことからとか、わかりやすいつな
がりはない。最初は字を書くようなアクションはどうなかと思ったけど、残っちゃう
とどうかな、消すのもいやだなと。泡なら消えてくれるので。アイデアを出したとき
、作品のイメージとあうので進めてほしいと。泡は使ったことがなかったので、
２，３週間前から試行錯誤があっていまの形に。（装置はオリジナル？＞そうです
＞商品になりそうです＞ぜひ買ってください。）市販品の音や出方の問題があって、
自分でつくった。まだ完全とはいえない。コントロールができない。よくわからない
要因で出方がすごく変わる。下で踊るので石けん分、ぬるみがあるやつを使わない
ようにと。みさこさんは普通のダンサーなら踊れないような状態でもやってくれる
ので。
Ｑ３ （男性）バレエの動きにどう向かい合ったのか。コンテンポラリーダンスとの
乖離はどうか
Ａ３ 私にとっては乖離はない。バレエの動きを使おうと思って使っている感じでは
ない。名前がついたバレエのステップもでてきたと思うが、自分のなかでストック
された動きにバレエの動きがあったりというだけで、バレエの動きをつかわないで
いこうとも私のなかでは思わない。
２回公演をやっての印象を一言づつもらい。
寺田：初日はむかえられてよかったと。いいチームでできたなと思って、思いをこう
したいというのに投げかえして。でなにがやりたいのとつっこみももらいながら、
ちょっとづつ、まとめるのが手間取ったが初日があって今日やって、踊っていく中
で変化や発見がありますし、もっとふくらますというか成熟させていく楽しみが
あるなと、そう思いながら踊っていくと思って
高嶺 :プールとか泡マシーンとか実際できるのかと言う感じだったので、感動も
ひとしお。
砂連尾 :京都の芸術劇場で距離をもってみていて、バイブレータの話もいまは笑い話
だが。寺田さんがすごく真剣な顔で、あかんかったんねん、全然自分でコントロー
ルできるんねんみたいな。コントロール下におかれない体を模索して、それだけ
過激に寺田さんを突いてくれる高嶺さんを選んだと思う。泡とかちょっとづつ
彼女の体を刺激してきていて。ものと関わるのだけれども、変なイメージができ
ない即物的にでてくる動きがどう変化していくのかなと、１ヶ月間で格闘するのを
京都で眺めていくんだろうなと思ってます。
司会：コントロールの効かない寺田さんの抑制された動きという矛盾した動きを
見続けていきたいなと思いました。びわ湖ホールもぜひ足を運んでいきたいなと。
３人へ暖かい拍手をお願いします。