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 新国立劇場「ヘンリー六世 三部作通し上演」

 @初台 新国立劇場 中劇場(2009/10/27-11/23 10通し分ステージ)
 http://www.nntt.jac.go.jp/
 S席7350円 A席5250円B席3150円 通し券19500円

 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:小田島雄志 演出:鵜山 仁
 美術:島 次郎 照明:服部 基 音響:上田好生 衣裳:前田文子
 ヘアメイク:馮 啓孝 アクション:渥美 博 演出助手:保科耕一
 舞台監督:北条 孝 芸術監督:鵜山 仁
 主催:文化庁芸術祭執行委員会、新国立劇場
 出演(/=各部区切り):
 浦井健治 : 王ヘンリー六世/←/←
 中嶋朋子 : マーガレット/王妃マーガレット/←
 渡辺 徹 : リチャード・プランタジネット(のちのヨーク公)/ヨーク公/←
 村井国夫 : サフォーク伯/←/森番

 ソニン  : 乙女ジャンヌ/マージャリー・ジャーデーン/皇太子エドワード
 木場勝己 : トールボット卿/ウォーター・フィットモア/猟師、兵士
 上杉祥三 : ウォリック伯/←/←
 岡本健一 : 使者、兵士、モーティマーに付きそう看守、従者/リチャード/←
 中嶋しゅう:グロスター公/←/森番、兵士
 立川三貴 : レニエ/ジャック・ケード/王ルイ十一世、兵士
 金内喜久夫:ベッドフォード公/ロジャー・ボリングブルック、紳士、市民/
       ラットランドの師父、ヨーク市会議員
 菅野菜保之:エクセター公/ソールズベリー伯/一貴族、兵士
 勝部演之 : ウィンチェスター司教ポーフォート/枢機卿ボーフォート/
       ロンドン塔の長官
 鈴木瑞穂 : エドモンド・モーティマー、パリ市長/セイ卿/ヨーク市長

 木下浩之 : 皇太子シャルル/騎士ジョン・スタンレー、市民、兵士/
       オクスフォード伯
 久野綾希子: オーベルニュ伯爵夫人/エリナー・コバム/乳母
 鈴木慎平 : バーガンディー公/市民、クリフォード卿/ペンブルック伯、
       ヨーク市会議員
 今井朋彦 : 使者、兵士、弁護士、従者/エドワード/←
 水野龍司 : サマセット公/←/←

 吉村 直 : 役人、歩哨、ヴァーノン、兵士/シンコックス、市民、兵士/
       騎士ジョン・モンゴメリー
 青木和宣 : ウッドヴィル、騎士ジョン・ファールスタッフ、兵士、老羊飼い/
       市民、肉屋ディック、兵士/ウェストアラモンド伯、
       息子を殺した父親、兵士
 渕野俊太 : ソールズベリー伯、兵士/市民、織物屋スミス、兵士/モンタギュー侯
 那須佐代子: 市民/シンコックスの妻、市民/エリザベス・グレー夫人

 浅野雅博 : 役人、兵士、従者、騎士ウィリアム・ルーシー/
       市民、クリフォード卿/クリフォード卿、兵士
 小長谷勝彦: 使者、兵士、従者、看守、番兵/ジョン・ヒューム、従者、兵士、
        ジョージ・ベヴィス/兵士、父親を殺した息子
 石橋徹郎 :騎士トマス・ガーブレーヴ、 従者、兵士、バセット/
      トマス・ホーナー、艦隊長、兵士/ノーサンバランド伯、兵士
 清原達之 : 従者、兵士、ジョン・トールボット/騎士ウィリアム・スタフォード、
       市民、使者、兵士/兵士、使者、リヴァーズ伯
 城全能成 : オルレアンの私生児/市民、紳士、アレグザンダー・アイデン/
       ヘースティングズ卿

 関戸将志 : ロンドン市長、従者、兵士/バッキンガム公/兵士、使者、従者、
       番兵、急使
 篠原正志 : 従者、兵士、騎士ウィリアム・グランズデール、フランス軍下士官、隊長、
       法王の使節/従者、使者、騎士ハンフリー・スタフォード、市民、兵士
       /ノーフォーク公、従者、番兵、兵士、使者
 小田 悟 : 従者、兵士、歩哨、大使/従者、護衛、鷹匠、ヴォクス、兵士、市民/
       兵士、使者、従者、護衛

 川辺邦弘 : 従者、兵士、斥候/従者、仏軍兵士請願人、護衛、市民、殺し屋、兵士、
       使者/兵士、使者、急使
 松角洋平 : 従者、兵士、門番、隊長、指揮官/従者、請願人、護衛、市民、急使、
       船長、マイケルエクセター公、兵士/エクセター公、兵士
 津村雅之 : 従者、兵士、使者/従者、護衛、市民、殺し屋、兵士、使者/
       兵士、従者、番兵、護衛
 古河耕史 : 従者、兵士、使者、看守、大使/鷹匠、従者、兵士、チャタムの書記、
       市民/兵士、スタフォード卿、騎士ジョン・サマヴィル
 内田亜希子 : 市民/侍女、市民/ボーナ
 前田一世 : アランソン公/ピーター、兵士、市民、兵士ジョージ/ジョージ
 高橋郁哉 : ー/ー/ラットランド

 2009/10/31(土)晴 11:00AM-10:21PM(内訳下記)1F中段下手 客席ほぼ満員(900?人)
 客層:20才代女性と中高年中心の大人客席。女性7,8割。お友達つれ多め。
 客入れ:ロビーに年表、戦場地図、バルコニーに紋章飾り。花束がないので
 すっきり。特別メニュー受付に行列。早め受付が吉。食事はエントランスの空中通路
 にて。各部間の待ち時間はロビー開放。場内のご飯販売はサンドイッチ600円。
 近郊クーポン付き飲食店マップあり。 パンフは希望者、配役とあらすじA4 1枚。

 座席。いつものサイドブロックなし11列。この規模の劇場で近い舞台が素晴らしい。
 上手は前方に池がある分、ちょっと役者と距離感あるかも。最前列は水よけ?防寒?
 の膝掛利用。下手最前列は装置が山状になっていてどうかしらん。
 物販。パンフ B5 いつもより厚い52ページ 1000円。内容充実。Tシャツ2000円。
 マグカップ1200円。マイ箸400円。ペン500円。
 各部の終わりでカーテンコール1回。終演10:19PM カーテンコール2回2分。2回目は
 3割スタオベ、舞台と客席で拍手交換。

 一挙9時間上演の長編50年史劇。3月の蜷川演出では6時間圧縮、構成の河合さん大変
 そう。
 舞台。繰り返される戦争遺跡の体。一面黒く焼けた大地、まるでデススターにつる
 りん。八百屋に傾斜、遙か後方で急坂。下手手前が捲り上がり、現代住居・戸や
 パネル、家電機器の瓦礫。その下に「廃墟の地層」をみせ。上手端に熱で折れた鉄塔
 の残骸。客席手前半分は本水を張った池。飛び込む演出が後半あり。

 お話。15世紀イギリスでおこった王位争奪の内乱。赤バラ記章のランカスター、
 白バラのヨーク家に貴族達が別れて争い。結果、双方の貴族達は疲弊、王権が増強
 する事となる。という「薔薇戦争」と英仏の「百年戦争」が絡み合って展開。

 歴史と人間を快調に描く講談一幕。凝る前のスッキリした初期シェークスピア演芸を
 鵜山エンタメ演出でカラッと仕上げ。9時間もリラックス、ノリノリで楽しめたねこ。

 スタッフワーク○。疾風怒濤と畳みかけ、笑いもとこどこトッピングして飽きさせな
 い演出。活きのいい適度に崩した台詞の脚本。重厚な床と軽やかな布が意味深くも
 美しい美術。そして、期待に120%応える役者芝居。都下の舞台を支えてきた、中堅
 役者達が勢揃い。地元で愛される、おいしい店の得意料理な実力を遺憾なく発揮して
 お持てなしの体。スターシステムでは味わえない滋味にほっこりしたりするねこ。

 で、第一部は木場勝己。低音を効かせつ、小気味の良い台詞回し○。にんまりねこ。
 親子の情愛溢れる場面の泣き芝居もいい味わい。ジャンヌダルク・ソニンとのバトル
 もなかなか。ソニンは超人と村娘の2重人格キャラを熱演。ほか、互いを探り合う
 貴族達を、ベテラン役者達がいずれ狸か狐かの妙技で演じ。静かで熱いバトル模様が
 見物。フランス王家・楽天ラテンチームが箸休めに愉快、腐女子に人気?。

 第二部。宮廷内は祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。さっき威張ってたのに、
 今はしょんぼりな、権勢争いが激化。温厚なヘンリーまで激昂してもう大変。そんな
 修羅場に圧倒されつつ、呆れた笑いもぽちぽち。そんな中で、中嶋朋子、村井国夫演
 じる、鉄火王妃と腹黒貴族の道ならぬ愛、KYな昼メロが面白いねこ。たぶん、ここ
 まで、まじに原作に書いてないんじゃないかしらん。

 第三部。戦いにつぐ戦い、節操のない裏切りの連続。客席もノリノリで、思わず笑っ
 ちゃう笑いがどっかん。阿修羅と化す王妃・中嶋朋子 <> 涅槃の境地なヘンリー・
 浦井健治 夫婦に苦笑しつつ、ハラハラ。強くて弱い、恐ろしくて哀しい、どうしよ
 うもなく女を、中嶋朋子が熱演。とらえ所のない王様、でも戦場でのモノローグが
 優しすぎて泣いてしまいましたねこな、浦井健治。またもや女子の支持を得そう。
 リチャード三世に繋がるリチャード像、岡本健一。姿だけでなく、屈託した心理を
 強くみせてスパイシー。この場大活躍の上杉祥三。鮮やかで達者な演技はさすが。
 屈託した物語と心理が交錯する中、頑固一徹なヨーク公に渡辺徹。小太りの具合、
 脂ぎり方に一本気あり、むしろノーマルで安心。

 第一部 百年戦争
 11:00-12:30(1'30)
 休憩16分
 12:46-13:59(1'13)

 第二部 敗北と混乱
 15:00-16:27(1'27)
 休憩17分
 16:44-18:10(1'26)

 第三部 薔薇戦争
 19:00-20:39(1'39)
 休憩15分
 20:54-22:19(1'25)
 

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