ドラマリーディング 「ピッチフォーク・ディズニー The Pitchfork
Disney」
＠三軒茶屋 シアタートラム (1999/7/29-31 3ステージ)
全自由前売り当日共 1000
作：Ｐ･リドリー 演出：松本修[ＭＯＤＥ] 翻訳：小宮山智津子
照明：大野道乃、中田隆則 音響：松崎俊章、鈴木三枝子
舞台：宇野三津夫、森本真紀 企画制作：世田谷パブリックシアター
出演：
石母田史朗[青年座]：プレスリー・ストレイ
(閉じこもってる兄妹・兄28才）
黒木美奈子[ＭＯＤＥ｣：ヘイリー・ストレイ（同上・妹28才）
堺雅人[東京オレンジ]：コスモ・ディズニー（あるショーを生業。美少年18才）
高田恵篤[元万有引力]：ピッチフォーク・カヴァリエ（コスモのパートナー）
1999/7/30(金)晴・猛暑 7:05-9:15PM(2'10) 前方より 客席7割(180人)
客層：20才代女性中心にとりどり。
客入れ：当日券、開演50分前から。結構残件ありそう。物販パンフなし。折り込み
パンフに必要十分情報あり。
ビジュアルアーティストとして活躍、映画「柔らかい殻」（ねこ未見）でカルトに
知られた映画監督でもあるＰ･リドリー。３つある戯曲の最初のもの(1991ロンドン
初演）とのこと。
舞台。アパートのがらんとした一室。テーブルと椅子がいくつか。背もたれ付２、
なし１、肘掛け付１。奧にコート掛け。床は真っ赤なカーペット。
お話。２人だけ、両親を亡くしてから10年、閉じこもり暮らしているらしい兄妹。
チョコレートが好物、歯は虫歯だらけ、不健康な肌色、たどたどしい物言い。子供
な仕草の彼らは２８才。年寄りなのに子供してる２人は時を止めたよう。買い物に
行き、野良犬に追われたという妹を慰める兄。彼が語る外の世界が核戦争で死滅
した空想に哀しみと安らぎを感じる妹。両親が愛用してた睡眠薬に浸した「おしゃぶ
り」を含み、妹はうとうと。兄は戸外で見かけた美少年を家に招き入れる。気分が
悪そうだったし、彼はとても美しかったから。美少年・コスモは奇妙な大人子供し
た２人に驚き呆れ、訳を探り、諌める。外の世界・言い寄る野郎どもと、日々戦う
彼には、２人の安穏は我慢ならなかったのだ。自分の商売・ショーでのゲテモノ食い
を明かし、例えばとゴキブリを食べて見せ、兄にも食べさせるコスモ。これが現実だ、
といわんばかりに。おびえ、困惑する兄も、コスモの不思議な魅力に引かれたのか、
積極的に追い出そうとはしない。コスモのパートナー・醜い容姿、不自由な体を
見せ物にしているピッチフォークがやってくる。親愛の念を示そうとする彼の姿も
兄には恐怖の的。妹に興味をもったコスモは買い物に出かけさせた、ピッチ
フォークと兄が居ない留守に悪戯をする。睡眠薬に浸した、おしゃぶり替わりの指
敏感さはペニスに劣らず、を含ませイク、コスモ。引き返してきた兄はその場を
目撃。激昂してコスモの指を折ってしまう。退散するコスモ。なにも変わらないかの
ように、2人は森にいる自分達のことを空想し始める。
逃げまくり自閉する、必至な哀しさと滑稽さ。ネガティブな生活のために、生きる力が
労される皮肉。道を違えた悲惨に、うーんねこ。具体的で細かい生理的描写。
グロなところたくさん。暴力と血、汗。ゲテモノ調理の様子とその食感とか。淡々と
しながらも息詰まる感じあり。演出。しだい、リーディング離れていっちゃう。
冒頭は台本片手、卜書きを第三者（高田）が読み、役者の動きを説明（舞台の役者
は座ったきり）。コスモ登場後辺りから役者はしだいに自発し、通常の芝居スタイル。
物語世界に留まっていた２人へ及んだ変化を伺わせる趣向かしらん。リーディング
の制約を逆手に取ってて、ふーんねこ。なら、最後はリーディングに戻るとか
（不自然だけど）なんかもう一工夫ほしい。照明。劇場奧ドアの赤も活かして、
原色系のビビッドなもの。周囲の暗闇と合わせ「生」を伺わせて、これもふーん。
でも冒頭の核戦争な閃光は即物的すぎて、ちと白けるねこ。
役者。堺さん。自信に溢れ、クールで生意気な美少年って雰囲気。黒ラバーな服装
もお似合。立ち姿はさりげにきまり、それに照れがある可愛いげも○。高田さん。
制限された不自由な動きに凄みあり。石母田さん。熱演、もう一味の狂気がほしい。
黒木さん。役柄がそのままのかわいさ（は失礼かしら。）
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