桃園会第18回公演「うちやまつり」（AI･HALLリージョナルシアター）
＠伊丹 AI･HALL(1999/10/8-10 4ステージ）
全自由前売り2500当日2800 高校生以下1800 ペアチケット4500
作・演出：深津篤史 照明：狩野奈美 音効：大西博樹 舞台美術：池田ともゆき、
岡一代 衣装：福本陽子 小道具：松蔵宏明 舞台監督：鈴木田竜二
チラシイラスト：山田賢一 制作：桃園会
はた吉のページ http://plaza2.mbn.or.jp/~hatakiti/index.html
出演：
亀岡寿行：鈴木さんの息子さん
風太郎[わがまま旋風]：佐藤さん
江口恵美：佐藤さんの奥さん
紀伊川淳：山本さん
森川万里：山本さんお娘さん
荒木千童：山田さん
谷野智美：藤原さんの奥さん
藤野節子：田中さん
加納亮子：田中さんの妹さん
はたもとようこ：前田さんの娘さん
松蔵宏明：高木さん
小坂浩之：松田さんの息子さん
川口真理：上田さんの奥さん
1999/10/9(土)晴れ 7:00-8:55PM(1'55?) 前方より 客席８割(150?人）
客層：20-30才代中心に幅広く。男女半々。
客入れ：ゆっくりと埋まる客席。客入れ時から、舞台では若い男女がおしゃべり
しながらキャッチボール。三々五々と役者が集まって始まりな、青年団趣向。
上演台本物販あり。「イルカ・」と「熱帯夜」(800)。
第42回岸田國士戯曲賞を初ノミネートで受賞した作品、再演。初見の劇団。やっと
みられたねこ。初の東京公演(10/23-25）は仕事と重なるので、こちらで。
舞台。芥（あくた）にまみれ、煤けたよなグレー一色（初演、再演時は写真みると
真っ白）。上手に通路を置いた島舞台。高層団地の狭間にある空き地設定。荒れ
放題。上手、うずたかく積まれたゴミ袋、粗大ゴミ、下手に自転車、ラジカセ。
手前、壊れかけた柵の前にベンチ。まではありげな風景。床、ぐねぐねと絡まる
幾多の荒縄、時折朱混入。は舞台をはみ出し客席側に。ゴミの山から天井までに
細いロープが幾本も起ち上がり。上空には鳥避けの同心円目玉がいくつも垂下。
現実と非現実が同居した不思議。タッパが高く広いこのホールの闇を活かしてる
のが○。少しの緊張とともに安らぎも感じさせて、好きな空間。東京ならジァン・
ジァンを思い起こさせるよな。東京芸術劇場ではどうなるかしら。
お話。荒地の行き交う団地住人。互いの素性も隣家でさえしらず。彼らをつなぐ
のは奇妙な噂話し。半年前の夏、連続殺人の汚名をきせられてた主人公。彼を
好奇の目でみる住人達は知りたくも無い醜聞を仄めかしていく。不倫、セックス
レス、近親姦、同性愛、殺人・・。死とSEXの匂いを潜めた、彼らこそイカレテ
いるよう。そんな中、しだいに現実感を無くしてゆく主人公。殺人を犯したのは
自分、それとも・・。怖いのは目の前の混沌ではなく、未だ見えていないもので・・。
精神の荒野の果てを透徹する物語。
エロティック。怖くて美しく心安らぐ、誘惑のような。穏やか顔に荒くれを潜めた
新しいアングラ劇（言葉変？）って印象。インモラルな周囲の行状が思わせぶり
あぶり出し。見たくも無い裏側が覗き見えてくる展開。
奥底にある死(殺人）とエロス、殺人とSEXの同義性を抉り出す。思考でなく本能
衝動に従うこと、それが簡単なことと気づく、恐怖と誘惑。今時に横行する、
猟奇殺人の源に思い巡らすねこ。モラルが歯止めしていたのは性の乱れより
同居する殺しの誘惑であったのかと。
食べられることを知る雄かまきり、フェロモン〜女性がまとう香水下の匂い・・
が本能的衝動のキーワード、メタファーとして現れ。不明の主人公（亀岡）を
捕らえる、ナゾメキ奥さん（江口）が妖しさ強度を増すラスト。象徴的かつ即物的
エロティズムの発散を感じさせる舞台にぞくぞくねこ。思考はそうなんだけど、
それよか体感の芝居印象。興味津々。この前編という新作「熱帯夜」＠名古屋
(10/29-31)、見に行こうかな。
役者。破綻なく、さらりとそつなく演技印象。好奇心に弾む少女役、森川さん。
捕らえどころが無く妖しい奥さん役、江口さん。芝居が違う違和感がはまる、
疎外感感じてる夫役、風太郎さん。がちょっと突出。
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